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Difyの商用利用ガイド!ライセンスと料金、利用規約を解説

この記事のポイント

  • Difyは原則商用利用可能だが、独自の追加条件があり、特に「マルチテナント」での利用に厳格な制限がある
  • 社内業務システムでの利用や、特定クライアント1社向けの受託開発は、追加の商用ライセンス不要
  • 複数の顧客にSaaSとして提供する「マルチテナント」利用や、「Powered by Dify」ロゴの削除には商用ライセンスが必須
  • 料金プランは管理不要の「クラウド版」と、自由度の高い「セルフホスト版」の2形態がある
  • セルフホストのCommunity版は無料だが、ビジネスの安定稼働には商用サポート付きのEnterprise契約が推奨される
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。


「オープンソースのDifyをビジネスで使いたいが、どこまでが無料でどこからが有料なのか?」「商用利用でライセンス違反にならないか不安…」
Difyは非常に強力なLLMアプリケーション開発プラットフォームですが、そのライセンス体系は独自であり、商用利用の可否について判断に迷う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、このDifyの商用利用について、その全貌を徹底的に解説します。
ライセンスの基本原則から、無料で利用できる範囲、そして商用ライセンスが「必須」となる具体的なケースまで、詳しくご紹介します。

Difyの商用利用|最初に理解すべき公式ライセンスの原則

Difyの商用利用を考える上で、その根幹となる公式ライセンスの内容を正しく理解することが最初のステップです。

Difyの商用利用について

Difyのライセンスとは?「追加条件付きApache 2.0改変ライセンス」

Difyのコミュニティエディション(セルフホスト版)は、「追加条件を伴う、Apache License 2.0の改変版(a modified version of the Apache License 2.0, with the following additional conditions)」というライセンスの下で提供されています。

これは、一般的なApache License 2.0が持つ広い利用許可を基盤としつつ、Dify独自の商用利用に関する制限条項が追加されたものです。この「追加条件」こそが、商用利用の可否を判断する上で最も重要なポイントとなります。

参考: Dify Open Source License


【最重要】Difyの商用ライセンス契約が「必須」となる2つのケース

Difyの公式ライセンスでは、商用ライセンス契約が「必須」となる条件が明確に定義されています。以下のいずれかに該当する場合、必ずDify(LangGenius, Inc.)との間で書面による契約を締結しなくてはなりません。

Difyの商用ライセンス契約が「必須」となる2つのケース

1. マルチテナント環境でSaaSを提供する

これは最も重要な禁止事項です。ライセンス規約には以下のように明記されています。

Unless explicitly authorized by Dify in writing, you may not use the Dify source code to operate a multi-tenant environment.
(訳:Difyによる書面での明示的な許可がない限り、Difyのソースコードを使用してマルチテナント環境を運用することはできません。)


ライセンス規約では「1テナント = 1ワークスペース」と定義されています。つまり、あなたのサービスが、不特定多数の顧客(A社、B社など)に対して個別のワークスペースを発行し、月額課金などで利用させるビジネスモデルは、この禁止事項に直接該当します。

2. Difyのフロントエンド利用時にロゴを削除・変更する

DifyのUIに表示されるロゴや著作権情報の扱いについても、明確な制限があります。

In the process of using Dify's frontend, you may not remove or modify the LOGO or copyright information...
(訳:Difyのフロントエンドを使用する過程で、ロゴや著作権情報を削除・変更することはできません。)


これは、Difyが提供するUIコンポーネント(web/ディレクトリ以下の全て)を利用する場合に適用される表示義務です。自社ブランドのサービスとして見せるためのロゴの削除や変更(ホワイトラベル化)は、商用ライセンス契約が必須となります。

ただし、この制限には重要な例外があります。

This restriction is inapplicable to uses of Dify that do not involve its frontend.
(訳:この制限は、Difyのフロントエンドを伴わない利用には適用されません。)


つまり、DifyをバックエンドAPIとしてのみ利用し、フロントエンドUIを独自に開発する場合は、このロゴ表示義務の対象外となります。


Difyの無料商用利用が可能な範囲

上記の「必須ケース」に該当しない、シングルテナント(単一組織)での利用は、ライセンスの範囲内で広く許可されています。

Difyの無料商用利用が可能な範囲

1. 社内業務システムとしての利用

最も代表的な利用例が、自社の業務効率化です。

  • 例1: 社内規定に関する問い合わせに自動で回答するFAQチャットボット
  • 例2: 営業日報を要約・分析するツール


これらの利用は、完全に自社組織内に閉じたシングルテナント利用であり、追加のライセンスは不要です。

2. 特定クライアント1社向けの受託開発

開発会社が、特定のクライアント企業1社のためだけに専用のシステムをDifyで構築し、納品する場合もシングルテナント利用と見なされます。このシステムは、納品先であるクライアント企業内でのみ利用されます。

3. Difyをバックエンドとして利用するアプリケーション

Difyをバックエンドサービスとして利用し、フロントエンドを独自に開発するアプリケーションも、ライセンスの範囲内で商用利用が可能です。

前述の通り、この場合はロゴの表示義務もありません。ただし、サービスがマルチテナントに該当しないことが前提となります。


Difyの料金体系|クラウド版とセルフホスト版の概要

Difyには、Dify公式がサーバーを管理する「クラウド版」と、自社でサーバーを構築・運用する「セルフホスト版」の2つの提供形態があります。

クラウド版の料金プラン

サーバー管理が不要で、サインアップ後すぐに利用を開始できるサブスクリプションモデルです。インフラを意識することなく、アプリケーション開発に集中したい場合に最適です。

クラウド版の主な料金プランを紹介します。

プラン名 月額料金 おすすめのユーザー像
Sandbox 無料 個人、学習・機能検証が目的の方
Professional $59〜 個人開発者、スタートアップ、小規模チーム
Team $159〜 中小企業、複数人での本格的な開発チーム
Enterprise 個別見積もり 大企業、高度なセキュリティやサポートが必要な組織

※注意: 料金は2025年11月時点の情報です。最新の料金や詳細な機能比較は、必ずDify公式サイトでご確認ください。

セルフホスト版の料金プラン

自社インフラ上で自由に構築・運用が可能です。データの保管場所やセキュリティポリシーを自社で完全にコントロールしたい場合に選択します。

セルフホスト版には主に3つのプランがあります。

プラン名 料金 主な特徴と対象
Community 無料 オープンソース版。技術的な自由度が高い。コミュニティサポート。
Premium 要問い合わせ 商用ライセンスと公式の優先サポートが付属。クラウドマーケットプレイス経由で提供。
Enterprise カスタム (年間契約) 高度なセキュリティ機能、SLA、専門サポートが付属。大企業向け。


Communityプランは無料ですが、サーバー費用や保守運用のための人件費が別途発生します。これらの運用コストも考慮して、総費用を判断することが重要です。


Difyの商用利用に関するFAQ

Difyの商用利用に関して、特によくある質問とその回答をまとめました。

Q1. 自社のユースケースがライセンス違反か判断できません。どうすれば良いですか?

公式ドキュメントを確認しても判断に迷う場合は、Difyに直接問い合わせるのが最も確実です。公式ライセンスファイルにも記載されている通り、以下の窓口で質問を受け付けています。

  • 公式問い合わせ窓口: business@dify.ai

自己判断で進めることはリスクを伴います。ユースケースを具体的に説明し、書面での回答を得ておくことを強く推奨します。

Q2. Difyで開発したアプリの著作権は誰に帰属しますか?

ユーザー(開発者)に帰属します。Difyの利用規約(Terms of Service)では、ユーザーが作成したAIアプリケーションを含むコンテンツの所有権はユーザーにあるとされています。

Q3. 日本語での商用サポートは受けられますか?

はい、可能です。Difyは日本の公式パートナー企業と提携しており、日本語での商用ライセンス契約(Enterprise Edition)や技術サポートを受けることができます。

まとめ:公式ライセンスを正しく理解し、安全にDifyを活用しよう

本記事では、Difyの公式ライセンスドキュメントに基づき、商用利用の条件を解説しました。最後に重要なポイントを振り返ります。

  • Difyのライセンスは「追加条件付きApache 2.0改変版」である。
  • 商用ライセンス契約が「必須」となるのは以下の2ケース。
    1. マルチテナントSaaSとして不特定多数の顧客に提供する場合
    2. DifyのUIを利用する場合の「Powered by Dify」ロゴを削除・変更する場合
  • APIのみの利用はロゴ表示義務の対象外だが、マルチテナント制限は適用される。


Difyは非常に強力なツールですが、その力をビジネスで最大限に活用するためには、ライセンスの正しい理解が不可欠です。本記事と公式ドキュメントを参考に、自社の利用ケースが規約に準拠しているか必ず確認してください。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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