目次
日本マイクロソフト 折川 穣氏に聞く — 生成AI事業化支援プログラム3年目の現在地とPoCから本番実装へ
「集大成」と呼んだ1年を振り返って — IQ・業界特化エージェント・マルチエージェントの3つの節目
261社・100事例・Microsoft 365 Copilot活用率約94%
次の打ち手 — 深掘った業種事例 × 手軽なAIエージェント体験
Azure経験がなくても参加可能 — 他クラウド中心のSIerにも開かれている
日本マイクロソフト 折川 穣氏に聞く — 生成AI事業化支援プログラム3年目の現在地とPoCから本番実装へ
2026年6月16日に開催された日本マイクロソフト株式会社(以下、日本マイクロソフト)主催のクローズドイベント「AI Agent Day – AI Agent 集大成 –」終了後、生成AI事業化支援プログラムを推進する折川 穣氏(日本マイクロソフト エンタープライズパートナー統括本部 AIビジネス推進本部 本部長)にお話をうかがいました。
同プログラムは2026年で3期目を迎え、261社のパートナー企業が参加し、約100のAI Agent(以下、AIエージェント)事例が生まれているフェーズに入っています。本記事では、Microsoft 365 Copilotの定着(ペネトレーション=導入後にどれだけ現場で使われ浸透しているか)という課題、業種別実装が本格化する2026年〜2027年の展望、そしてPoCから本番実装へと進み、パートナー連携でAIエージェント市場を立ち上げる次の打ち手までを、インタビュー形式でお届けします。

日本マイクロソフトで生成AI事業化支援プログラムを推進する折川 穣氏
「集大成」と呼んだ1年を振り返って — IQ・業界特化エージェント・マルチエージェントの3つの節目
―― 今回、生成AI事業化支援プログラムの「AI Agent 集大成」というテーマでイベントを開催されました。この1年はどんな1年だったと振り返られますか?
折川氏:2025年初頭は、コールセンターや社内業務支援を中心に、業務領域ごとのAIエージェント活用が注目を集めていました。一方、多くはまだPoCや初期導入の段階にあり、本格的な業務変革には至っていないケースも少なくありませんでした。その後、金融や小売、製造業などで業界特化型のユースケースが増え始め、11月のMicrosoft IgniteではIQが発表されるなど、エコシステム全体が大きく進化しました。こうした流れを経て、マルチモデル・マルチエージェントの活用が本格化する転換点として2026年を迎えたと感じています。
生成AI事業化支援プログラムでは、発足当初から業界ごとのAIエージェント事例の共有と実践支援に取り組んできました。この1年で、マルチエージェントの活用によってAIの適用領域はさらに拡大し、パートナー様やお客様とともに数多くの新たな取り組みを生み出すことができたと捉えています。
プログラム3年目の現在地と業種別実装の本格化
261社・100事例・Microsoft 365 Copilot活用率約94%
―― 生成AI事業化支援プログラムは現在、規模としてはどのくらいになっていますか?
折川氏:プログラムを発起して、3期目が終わるタイミングになります。計261社のパートナー様にご参画いただいて、100以上のAIエージェント事例を作ることができました。AIエージェントの普及に関しては一定の役割を担えたと思っています。
一方で、AIエージェントの現場での活用が十分に拡がっているかというと、まだそうではないと考えています。Microsoft 365 Copilotについても、2026年の3月時点で日経225企業の約94%が活用しているという数字は出ていますが、実際には「まだ定着化がしきれていない、導入はしたものの十分に活用できていない」といった声も聞かれます。そうした浸透・定着という意味でも、今後さらに活用を加速していく必要があるというのが、現状の課題感です。
2026〜2027年は業種別実装の本格化と「実装の難所」
―― 日本マイクロソフトでは、7月から新しい年度が始まるとのことですが、2026年7月からの次の1年をどのように見ていますか?
折川氏:日本マイクロソフトは7月期初なので、このタイミングでまた次の年度になりますが、今後は製造業やサプライチェーン、ヘルスケアなど、業種・業界での企業実装がさらに加速される見通しです。
そこで障壁になりうるのが、ERP連携やオンプレミス連携、データガバナンス・AIガバナンスといった領域です。ここはパートナー様にとっては新たなビジネスオポチュニティになり得る。そこが明確に分かった1年間でもありました。次の1年では、いわゆるPoCから具体的な企業実装を進めていく足掛かりを作っていきたいと考えています。
次の打ち手 — 深掘った業種事例 × 手軽なAIエージェント体験
―― そうした課題を踏まえて、次の打ち手として考えていることはありますか?
折川氏:浸透という意味でも、もう少し加速していかなければと思っています。一つは、深掘りした業種・業界別の事例を作っていきたいということ。もう一つは、AIエージェント・マルチエージェントの事例や体験を、より皆さんが手軽に入手できる場を創出していきたいですね。
参加の門戸は広く — パートナー登録があれば参加可能
広く開かれた門戸と、サポートパートナーによる支援
―― プログラム参加について、これから検討されるパートナー企業向けにメッセージはありますか?
折川氏:基本的にはより広げていきたいと思っています。興味のあるパートナー様がいれば、ぜひお問い合わせ・ご参加登録をいただければと思います。
パートナー様に対するサポートについても、CSPインダイレクトプロバイダー(Microsoftのクラウド製品を再販しつつ、他のパートナーの導入を技術・販売の両面で支援する立場のパートナー)として、東京エレクトロン デバイスさんをはじめとしたパートナー様にご支援いただけるような座組を作ることが決まっています。「AIエージェントに取り組みたいけれども、何から始めていいかわからない、技術的なところを相談したい」というケースは、その受け口として本プログラムをご活用ください。また、業界特化のイベントにはお客様もご参加いただくため、パートナー様にとってもお客様との接点をつくる機会になると思っています。

プログラムへの参加・参画について語る折川氏
Azure経験がなくても参加可能 — 他クラウド中心のSIerにも開かれている
―― これまでMicrosoft Azure(以下Azure)を扱った経験がない、または別のクラウドを中心にされてきたSIerやパートナーでも参加できますか?
折川氏:参加していただいて大丈夫です。実際のところ、MAICPP(Microsoft AI Cloud Partner Program:パートナー制度)に登録していただいていれば受け付けているので、排他的にする必要はないですし、ほかのクラウド基盤を中心に手がけてこられたパートナー様が参加していただいても、まったく問題ありません。
今後もプログラムでは業界に特化したAIエージェントの事例を広くキャッチアップできる機会を提供する予定です。ビジネス規模の拡大を目指されているパートナー様にとっては新しい商機になると考えていますので、積極的にご登録をいただければと思います。
接点は3つ — Microsoft Teamsチャネル × イベント × ラーニング
―― パートナーとの接点はどのように設計されていますか?
折川氏:接点としては、Microsoft Teamsチャネル、リアル/オンラインのイベント、そしてラーニングの場の3つを用意しています。
特にイベントの中で初学者向けのラーニングセッションを設けているので、AIに取り組み始めたばかりのエンジニア・新卒・新人の方にも積極的に参加していただきたいですし、先ほど申し上げた東京エレクトロン デバイスさんや、プログラムをサポートいただけるようなパートナー様の力を借りていただいて、AIエージェントの取り組みの加速につなげていければ、と思っています。
PoCから本番実装、そして「共創」フェーズへ
グローバルの本番実装速度に追いつく
―― 世の中的に、AIエージェントはまだPoC段階で止まっているプロジェクトも多いと思います。これから1年で、どのフェーズに進むべきと考えていますか?
折川氏:「生成AIを使って何かしらのアウトプットを出そう」というフェーズは、一定脱したかなと感じています。
もちろん、PoCは引き続き重要なフェーズですが、グローバルのAIエージェントの利活用環境を踏まえると、「いかに早いタイミングで本番実装ができるか」というところは一つの勝負だと思っています。そこは、パートナー様と共に知恵を振り絞り、知見を共有し合うことによって加速させられると思いますし、お客様も同じ業界の中でつながりを作って、同じ悩みを持っているAI推進担当者同士のネットワークを通じて新しいヒントを得ていただくのは非常に効果的だと考えています。AIに特化して、しかも業界ごとにこうした場があるというのは、あまり世の中にはないので、その貴重な場の一つとして使っていただきたいですね。
「事業化支援」から「共創」へ — 次のフェーズに向けて
―― 今後、プログラムの方向性として考えていることはありますか?
折川氏:いまは「生成AI事業化支援プログラム」という名称で、どうしても事業化を「支援する」フェーズにとどまる印象があります。なので、次のフェーズでは、日本マイクロソフトがパートナー様を支援するというよりも、パートナー様と市場を「共に創っていく」というメッセージに転換していきたいと考えています。
AI Agent Day 2026 開催レポートはこちら
本インタビューが行われた「AI Agent Day – AI Agent 集大成 –」では、AI総合研究所(LinkX Japan株式会社)も登壇いたしました。当日の登壇内容を整理した開催レポートは、こちらの記事でご覧いただけます。
→ Microsoft AI Agent Day 2026 開催レポート — 「AI Agent 集大成」が示したエンタープライズAIエージェントの現在地
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※ Microsoft、Azure、Microsoft Teams、Microsoft 365、Microsoft Igniteは、米国 Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
※ Microsoft 365は、Microsoft Corporationが提供するサービスの名称です。





