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Microsoft AI Agent Day 2026 開催レポート — 「AI Agent 集大成」が示したエンタープライズAIエージェントの現在地

Microsoft AI Agent Day 2026開催レポート — 「AI Agent集大成」が示したエンタープライズAIエージェントの現在地

日本マイクロソフトが主催する生成AI事業化支援プログラムの参加パートナー企業向けクローズドイベント「AI Agent Day – AI Agent集大成 –」が、2026年6月16日(火)に日本マイクロソフト本社(品川)の対面会場とオンライン(Microsoft Teams)のハイブリッド形式で開催されました。

本レポートでは、当日の発表内容や議論のポイントを振り返るとともに、日本マイクロソフトで本支援プログラムを推進する折川 穣氏へのインタビューを通じて、プログラムの現在地と今後の展望をお届けします。

AI Agent Day 2026開会の様子
「AI Agent Day – AI Agent集大成 –」開会の様子


AI Agent Day 2026の開催概要と「集大成」というテーマ

「AI Agent Day」は、日本マイクロソフトが生成AI事業化支援プログラム参加パートナー向けに開催している招待制イベントです。これまでは業界別のテーマを中心に実施してきましたが、2026年6月開催の今回は、パートナー各社による先進的なAIエージェントの取り組みや最新事例を共有する場として企画されました。業界の枠を越えて知見を持ち寄り、AIエージェント活用のさらなる発展につなげることを目的に、プログラム全体を総括する現時点での「集大成」という位置づけで開催されました。

項目 内容
開催日時 AI Agent Day – AI Agent集大成 –
開催期間 2026年6月16日(火)14:00 – 17:00
開催形式 オンライン(Microsoft Teams)+ 対面(日本マイクロソフト本社セミナールーム)
主催 日本マイクロソフト株式会社
対象 AI Agent事業の戦略・提案・実装・コンサルティング担当者
参加資格 生成AI事業化支援プログラム参加パートナー企業

AI Agent Dayオープニング
オープニングセッションの様子。


「生成AI事業化支援プログラム」とは何か

日本マイクロソフトが運営する「生成AI事業化支援プログラム」は、生成AI領域でのビジネス拡大を目指すパートナー企業に向けて、情報共有、イベント、ラーニング、各種支援窓口などを提供し、AIエージェントの事業化を後押しするパートナーコミュニティです。第3期を迎えた本年は、発表時点で261社のパートナー企業が参加するエコシステムへと成長しています。

本プログラムでは年間を通じて、特定業界に特化したAIエージェントの事例を共有するイベントを開催しています。今回の「AI Agent Day」はその中でも、業界を問わず活用できるAIエージェントの最新トレンドや進化をテーマとした横断的なイベントとして開催されました。当日はMicrosoftに加え、6社のパートナー企業が登壇し、それぞれの取り組みや最新事例を紹介しました。

第3期 生成AI事業化支援プログラム 参加261社のパートナーロゴ一覧
第3期 生成AI事業化支援プログラムには、当日アナウンス時点で261社のパートナー企業が参加


Microsoft Build 2026のアップデート — 日本マイクロソフトによる解説

まず、日本マイクロソフトから、2026年6月2日に開催されたMicrosoft Build 2026のアップデートを軸に、MicrosoftのAI Agent戦略の現在地が解説されました。

示されたのは、「AIが自律化するほど、モデル・コンテキスト・ツール・セキュリティをまたいだフルスタックの統合が重要になる」という方向性です。Microsoft Build 2026では、エージェントに文脈を与えるコンテキストレイヤMicrosoft IQや、多数のエージェントを横断的に管理・統制するAgent 365、CopilotからAutopilotへと進化するScoutなど、AI Agent関連のアップデートが発表されました。またこれらを展開していくパートナーに期待することを参加者に伝えました。


パートナー6社の登壇から見えるAI Agent実装パターン

ここからは、その登壇内容を1社ずつ見ていきます。各社の登壇テーマと当日スライドの要旨を順にご紹介します。

SCSK株式会社 佐藤氏 — SCSK KPIオントロジーを使った事業分析

SCSK KPIオントロジーを使った事業分析
SCSK株式会社 佐藤氏による「SCSK KPIオントロジーを使った事業分析」発表の様子

SCSK佐藤氏は、Microsoft Fabric+ オントロジーで事業分析エージェントを実装する取り組みを紹介。KPI・組織・戦略テーマといった業務概念のつながりをFabric IQ Ontologyで構造化し、Foundry Agent Serviceを司令塔として、社内データに市場・事業環境などの社外データも組み合わせて意味のある推奨施策まで導く構成です。佐藤氏は「データを集めるだけでは事業分析は成立せず、データのつながりをAIに教えることで初めて『AIに対して我々の事業はどんな事業なのかを伝えられる』」と、オントロジー型アプローチの考え方を語りました。

LinkX Japan株式会社 坂本氏 — Microsoftスタックをフル活用するAI Agent Hub

AI Agent Hubサービス概要
LinkX Japan坂本氏による「AI Agent Hub」サービス紹介の様子

LinkX Japan(弊社:AI総合研究所運営企業)坂本氏は、自社ソリューションAI Agent Hubを「AI Agentを量産し、全社に展開する」をコンセプトに、エージェントを1つずつ作るのではなく全社で量産・運用できる基盤として紹介しました。顧客のAzureテナント上へ100%構築するフルAzure構成を採用し、Microsoft Teamsを実行基盤、Microsoft Fabricをデータ基盤、Azureをインフラとして、管理基盤・業務特化UIテンプレートまでを含む4つの基盤・5層スタックで構成されています。SAPなどの基幹システムをはじめ、業務・基幹・顧客接点の各種システムを横断的に接続。デモでは、Teams上で「先月の業務自動化レポートを出して」と話しかけるだけで申請数・自動化率・完了率が即座に可視化される様子が示されました。

日本ビジネスシステムズ 高松氏 — AIエージェント最前線 攻めと守りの実践戦略

JBSにおけるCopilot&エージェント定着化施策の変遷
日本ビジネスシステムズ 高松氏による「JBSにおけるCopilot&エージェント定着化施策の変遷」説明場面

JBS高松氏は、攻めと守りの両輪を意識したAIエージェント実践戦略を共有。JBSリアルショーケース(自社業務でCopilotを徹底活用し定着化知見を蓄積)と、お客様向けJBS AI Agent Factory構想(お客さまが自走してエージェントを「作り、育て、使い続けられる」組織文化を実現)の2軸を提示。高松氏は「Copilotを入れること」より「Copilotで何を実現するのか?を意識しつつ、使い続けられる組織を作ること」を重視すると語りました。

株式会社NTTデータグループ 渡邉氏 — ビジネス展開を見据えたAgentの管理戦略

Smart AI Agent® とAgent 365
株式会社NTTデータグループ 渡邉氏による「ビジネス展開を見据えたAgentの管理戦略 — Smart AI Agent® における実践 —」発表の様子

NTTデータグループ 渡邉氏は、自社のSmart AI Agent® コンセプトのもと、パーソナルエージェントが経理・法務・業務など複数の特化エージェントと連携し、自律的なタスク実行を通じてお客様の業務・ビジネスを変革する将来像を紹介しました。Agent 365のプライベートプレビュー検証においては、「全顧客のデータを抜きたい」という不正プロンプトに対して、Azure Monitor / M365管理センター を通じて、大量リクエストの検知・トレース・エージェントIDの特定・ブロックまでの一連の動作を確認したことが共有されました。次の一手として、「AI Ready Data」のためのデータエージェントと、観測性と制御性を確保するために、ガバナンスを担うガーディアンエージェントが紹介され、企業が10万〜100万エージェントを扱う時代を見据えた管理戦略が示されました。

株式会社日立システムズ 架谷氏 — IQを活用した業績分析エージェントの取り組み

IQを活用した業績分析エージェント
株式会社日立システムズ 架谷氏による「IQを活用した業績分析エージェントの取り組み」発表の様子

日立システムズ 架谷氏は、自社の アシスタントAIシリーズ の全体像と、研究中の業績分析エージェントを紹介。同シリーズはMicrosoft IQ層(Work IQ / Fabric IQ / Foundry IQ)とMicrosoft Fabricを組み合わせ、業績分析・設備故障診断・KDB分析・ヒアリングシート作成・設計書レビューなど多数の業務領域で実装が進んでいます。今回紹介された業績分析エージェントは、このうちFabric IQ(分散したデータを横断的に集めて構造化・分析する役割)とWork IQ(幹部の視点をアウトプットに反映する役割)を組み合わせ、「必要な情報が見つからない」「分析が表面的になる」「幹部の関心とずれる」という3つの課題を解決する構成です。シリーズ全体は「IQによる開発の拡張」と「Microsoft 365 E7(Agent 365)によるエージェント統治の強化」の2軸で設計され、増えていくエージェントの権限管理・動作監視・不審挙動検知までを一元的に担う基盤として位置づけられています。

株式会社ヘッドウォータース 宇田川氏 — Advanced Specializationの特典を使ってAIの社会実装を加速させる発想

Advanced Specializationの特典 — 現場活用の取り組み
株式会社ヘッドウォータース 宇田川氏による「Advanced Specializationの特典 — 現場活用の取り組み」発表の様子

ヘッドウォータース 宇田川氏は、Microsoft Advanced Specialization認定を「特典をもらう」ではなく「特典を使ってAIの社会実装を加速させる」と再定義する発想を共有。GTM(横断推進)・営業(機会創出)・技術(価値実現)の3つの力を束ね、「やり切る実行力」を中心に置く推進フレームを提示しました。本セッションの後半では、日本マイクロソフトの高木氏からCloud Accelerate Factory(Azureへの移行・新規構築を技術支援するMicrosoftの共同デリバリープログラム)が紹介され、パートナーと組み合わせることでPoC → 本開発・横展開・縦展開を一貫して進める考え方が共有されました。


日本マイクロソフト 折川氏インタビュー — プログラムの現在地と次の一手

イベント終了後、日本マイクロソフトで生成AI事業化支援プログラムを推進する折川 穣氏に、プログラムの現在地と次の一手について伺いました。

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▶︎インタビューの詳細は別記事 日本マイクロソフト 折川 穣氏に聞く — 生成AI事業化支援プログラム3年目の現在地とPoCから本番実装へ にてお届けしています。
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日本マイクロソフト 折川氏インタビュー
日本マイクロソフト 折川氏インタビューの様子

折川氏のお話から見えてきたのは、生成AI事業化支援プログラムの現在地と、その先にある展望です。プログラムは3年目を迎え、261社のパートナー企業が参加するコミュニティへと成長し、これまでに約100のAIエージェント事例が創出されています。また、Microsoft 365 Copilotの利用も約94%(日経225企業のうち)まで広がるなど、生成AI活用は着実に拡大しています。一方で、「導入」から「定着」への移行は依然として大きなテーマであり、日常業務への浸透や活用の深化にはさらなる取り組みが必要であるとの認識も示されました。

今後は、製造業やサプライチェーン、ヘルスケアなど業界別実装がさらに加速していく見通しです。その中で、ERP連携やオンプレミス環境との接続、ガバナンス対応といった実装上の課題は、パートナーにとって新たな価値を生み出す機会にもなります。業界別ユースケースのさらなる具体化や、AIエージェントを手軽に体験できる機会の拡大、そしてPoCから本番実装への移行を進めていくことが、今後の重要なテーマとして挙げられました。

プログラム自体も、事業化を支援するコミュニティから、パートナーと共に市場を創造する「共創」のフェーズへと進化しつつあります。生成AIやAIエージェントの活用が実証段階から本格展開へと移る中、その変化をパートナーエコシステム全体で加速していこうという意思が、今回のインタビューを通じて伝わってきました。

インタビューの最後に、折川氏は次のように語りました。

「グローバルの動きを見ていると、いかに早く本番実装に移していけるかが勝負だと思っています。そこはパートナーの皆様と知恵を振り絞って、知見を共有し合うことで、加速させられると思っています。」(折川氏)


まとめ — 「集大成」の先 にあるもの

2026年6月16日の「AI Agent Day – AI Agent集大成 –」は、Microsoft AI Platformとパートナーエコシステムが事業実装フェーズに足並みを揃え始めたことを象徴するイベントとなりました。

生成AI事業化支援プログラム サポートパートナー
生成AI事業化支援プログラムのLearningパートナー(AKKODiS)・Salesパートナー(東京エレクトロン デバイス)が紹介された場面

AI総合研究所(LinkX Japan)もパートナーとして参加するこの生成AI事業化支援プログラムは、Microsoftとパートナーが一体となってエンタープライズAI市場を立ち上げるための共創の場です。AI Agentの事業化を検討する企業は、ぜひこのプログラムを活用し、Microsoft + パートナーのエコシステムの中で、自社の強みを活かしたAI Agent導入・運用・組織展開を検討してみてください。

本支援プログラムのSalesパートナーである東京エレクトロン デバイス株式会社は、Azure相談窓口 を運営しています。Azureを起点としたAIエージェント/業務システム連携の導入・PoC・本番化についてのご相談を受け付けています。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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