Anomalyチームが開発する「OpenCode」は、ターミナル操作を基本としたオープンソースのAIコーディングエージェントであり、Claude Codeのような体験をOSSで実現するツールとして注目されています。
クライアント自体は無料でありながら、OpenAIやAnthropic、Google、ローカルLLMなど多様なモデルを自由に選択・接続できる柔軟性が最大の特徴です。
本記事では、OpenCodeの具体的な機能や「OpenCode Zen」を含む料金体系、LSP・MCP連携による拡張性、そして企業導入時に不可欠なセキュリティ・権限設計のポイントについて、2026年1月時点の情報を基に徹底解説します。 point: - OpenCodeは、ターミナルUI(TUI)をベースにファイル編集やコマンド実行を自律的に行うOSSのAIコーディングエージェント - OpenAI、Anthropic、Google、ローカルLLMなど、プロバイダを自由に切り替えて利用でき、特定のベンダーに依存しない柔軟な構成が可能 - クライアント本体は無料であり、コストは接続するモデルのAPI利用料やゲートウェイ「OpenCode Zen」の従量課金のみという透明性の高い料金体系 - LSP(Language Server Protocol)やMCP(Model Context Protocol)と連携し、単なるチャットボットを超えた「開発パートナー」としてプロジェクト全体の文脈を理解 - 企業導入においては、ファイル編集やコマンド実行の権限(permission)管理、および社内ゲートウェイやローカルLLM活用のアーキテクチャ設計が重要となる
目次
OpenCodeとは?
OpenCodeは、「ターミナルから使えるオープンソースのAIコーディングエージェント」です。
TUI(ターミナルUI)を中心に、デスクトップアプリや拡張機能なども含めて“エージェントを開発フローに組み込む”体験を狙った設計になっています。
差分レビュー、ファイル編集、コマンド実行、検証を一連の流れとして回すことを想定した構造を取り、開発作業を“会話だけ”に閉じない点が特徴です。
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なお、同名・類似名のOSSが過去に存在し、混同が起きやすい点には注意が必要です。たとえば 「opencode-ai/opencode」は別系統で、現在はアーカイブされ読み取り専用です。
この記事では、公式ドキュメントと開発が継続している系統(anomalyco/opencode)を前提に整理します。
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Claude CodeやCopilotとの違い
Claude CodeやGitHub Copilot、Cursorなどは、基本的にクローズドな提供形態(SaaS/商用製品)として展開され、導入の手軽さや統合体験が強みです。
それに対してOpenCodeは、クライアント(体験)はOSSで固定しつつ、モデルや接続先を差し替えるという立ち位置が明確です。
つまり、「フロントの体験は統一し、バックエンド(モデル/ゲートウェイ/ローカルLLM)は自由に選ぶ」という構造になっています。
TUI・デスクトップ・IDE連携のラインナップ
OpenCodeの中心は、「opencode」コマンドで起動するTUIですが、それだけではありません。利用形態は大きく次のように整理できます。
- TUI(ターミナルUI)
差分ビューや会話、ファイル参照をターミナル上で完結させる運用がしやすい。
- デスクトップアプリ:
公式リポジトリでもデスクトップ版の配布が案内されています。
- 拡張/連携
MCPやプラグイン等を通じて、外部ツールや既存ワークフローと接続しやすいのが特徴です。
どれを選ぶかは、普段の開発導線(ターミナル中心か、IDE中心か)とチームの運用要件で決めるとスムーズです。
OpenCodeの主な機能と特徴
ここでは、OpenCodeが単なるチャットツールとどう違うのか、その技術的な特徴やアーキテクチャにフォーカスして解説します。
マルチモデル対応とOpenCode Zen
OpenCodeは接続先(プロバイダ)を差し替えることでOpenAI/Anthropic/Google系だけでなく、ローカルLLMや各種互換APIも含めて構成を組めます。
加えて、公式が提供する OpenCode Zen は「テスト・検証済みモデルをまとめて提供するAIゲートウェイ」として用意されています。Zenは任意で、アカウントを作成してAPIキーを発行し、TUIで「/connect」から接続します。
LSP連携とリポジトリ解析
OpenCodeは、単に「チャットでコードを吐かせる」だけでなく、プロジェクト単位での作業(差分適用・ファイル編集・実行・検証)を前提にした動線を持ちます。
そのため、LSPやフォーマッタ、テスト実行などと組み合わせて、“生成→適用→検証”を短いループで回す運用が現実的です。
MCPとプラグインエコシステム
OpenCodeは、MCP(Model Context Protocol)を含む外部連携を取り込みやすい設計です。MCPサーバーへ接続することで、Web取得・DB参照・SaaS API呼び出しなど“コード以外の作業”も一連のエージェント動作に含められます。
ただし企業導入では、プラグインや外部接続は監査・許可制を前提にする必要があります。
クライアント/サーバー構成とパーミッション
OpenCodeを運用で効かせるうえで重要なのが、**「何をエージェントに許可するか」**です。ファイル編集やコマンド実行は便利な反面、誤操作・悪意あるプロンプト・意図しないデータ送信のリスクに直結します。
OpenCodeは権限(permission)を設定で管理でき、編集(edit)やコマンド実行(bash)などの操作を、許可・確認・禁止といった形で制御していく運用が基本になります。
設定項目は「権限」「接続」「共有」などの単位で整理されているため、運用設計時は“どの操作をどのレベルで許可するか”を先に決めるのが現実的です。
OpenCodeの料金体系
OpenCodeはOSS製品であるため、料金体系は一般的なSaaSとは異なります。「結局いくらかかるのか?」という視点で整理します。
OpenCode本体は無料(OSS)
OpenCode本体(CLI/TUI・デスクトップアプリ等)はOSSとして提供され、クライアント自体に月額課金が発生する形ではありません。
費用が発生するのは、接続先のモデル(API)やゲートウェイ利用に依存します。
OpenCode Zenの料金モデル
OpenCode Zen は、OpenCodeチームがテスト・検証したモデルを提供するAIゲートウェイで、**pay-as-you-go(従量課金)**です。
料金は基本的に、1M tokensあたりの入力/出力単価で整理され、モデルによっては Cached Read / Cached Write の単価も示されています。
2026年1月時点の例(1M tokensあたり、USD)は次の通りです(詳細は利用時点の価格表を参照してください)。
- GLM 4.7:Input/Output Free(期間限定)
- GLM 4.6:Input $0.60 / Output $2.20 / Cached Read $0.10
- Qwen3 Coder 480B:Input $0.45 / Output $1.50
- Claude Sonnet 4.5:≤200K Input $3.00 / Output $15.00 / Cached Read $0.30 / Cached Write $3.75(>200Kは単価が異なる:Input $6.00 / Output $22.50)
- Gemini 3 Pro:≤200K Input $2.00 / Output $12.00 / Cached Read $0.20(>200Kは単価が異なる:Input $4.00 / Output $18.00)
- GPT 5.2:Input $1.75 / Output $14.00 / Cached Read $0.175
Mbr>また、クレジットカード手数料は実費で上乗せされ、それ以外の追加手数料は取らない旨が明記されています。
さらにZenは、残高が一定額を下回ると自動で残高を追加する Auto-reload と、ワークスペース/メンバー単位での Monthly limits を備えています。
上限設定とAuto-reloadが干渉し得る注意点も案内されているため、チーム導入時は「上限」と「自動追加」の整合を最初に確認してください。
モデル側の料金(直接利用の場合)
Zenを使わず、各プロバイダのAPIやサブスクを直接使うことも可能です。運用方針としては「社内契約(請求/監査)に寄せる」か「Zenで手軽に検証する」かで分かれます。
GLM Coding Plan(Zhipu Z.ai)
Zhipuは、コーディング用途の月額プラン(GLM Coding Plan)も案内しており、ツール/エディタ拡張と組み合わせて使う導線が用意されています(条件は変動しやすいため、常に公式側の最新案内を前提にしてください)。
また、GLM Coding Planの利用枠は、指定/認定されたコーディング/IDEツールでの個人のコード支援用途を前提としており、一般的なAPI用途には別のAPI/MaaSの利用が案内されています。ここは誤解が出やすいので、チーム導入で“API的に使う”想定がある場合は、最初からAPI側の契約や請求設計に寄せるのが安全です。
Z.ai APIやその他のプロバイダ
Z.aiのAPIを直接叩く場合や、OpenAI・Anthropic・Googleなどを利用する場合は、各社の公式価格(API従量課金やサブスク)がそのまま適用されます。
Enterpriseプラン
企業向けには、ガバナンス・セキュリティ要件に合わせたEnterprise導入が整理されています。SSOや統制、ログ/ポリシー設計などは、公開範囲で整理しつつ、要件に応じて問い合わせる形になります。
OpenCodeの導入方法と基本的な使い方
ここでは、実際にOpenCodeを触り始めるまでの流れを整理します。
インストール手順
CLI/TUI版の導入は、公式が案内しているインストール手順に従います。デスクトップ版を使う場合も、公式リポジトリの案内(リリース/ダウンロード)から取得します。
プロバイダ接続とモデル選定
インストール後は、利用したいモデルに応じてAPIキー等を設定し、TUIで「/connect」から接続先を選びます。Zenを使う場合は、ZenでAPIキーを発行して同様に接続します。
基本的なワークフロー
プロジェクトに対する典型的な使い方は、次のような流れで整理できます。
- プロジェクトルートで「opencode」を起動
- 目的を自然言語で説明(例:この画面をReactで実装したい)
- 提案を受け取り、差分ビューで確認
- 編集を適用し、必要に応じてコマンド実行/テスト
- 結果をもとに再度修正
この一連を短いサイクルで回すことで、生成と検証の往復を「開発のリズム」に組み込みやすくなります。
セッション共有・ログ活用
OpenCodeはセッション共有をサポートしますが、企業利用では「共有の扱い」を最初に決めるべきです。共有は便利な反面、取り扱いを誤るとソースコードや設計情報の流通範囲が曖昧になり得るため、デフォルト設定と許可範囲を先に合意しておくと事故が減ります。
OpenCodeのユースケース別活用パターン
個人利用から企業でのチーム利用まで、OpenCodeの具体的な活用シーンを紹介します。
バイブコーディング/ソロ開発での活用
雑談しながらUIや機能を生やしていくスタイルと相性が良く、TUIで差分を見ながら短いループで開発を進められます。
チーム開発・コードレビュー
チーム開発では「常駐レビュアー+設計補助」として、既存リポジトリの理解支援、影響範囲を意識した修正案、レビューコメント案の生成などに寄せられます。
ドキュメンテーション・調査・SREタスク
READMEや設計書のドラフト、ログ要約、IaC差分の読み解きなど、“コード以外”の作業も連携で支援しやすいのが強みです。
CI/CD連携
CI失敗時の原因整理、変更差分に応じたドキュメント更新案の生成など、パイプラインに“エージェントの判断”を差し込む設計も取り得ます。ただし自動化を強めるほど権限・監査が重要になります。
OpenCodeのセキュリティと企業導入
企業でOpenCodeを導入する際に考慮すべき、セキュリティやアーキテクチャのポイントを解説します。
OSS・ローカル実行ならではのメリット/リスク
OpenCodeにはOSSならではのメリットとリスクが存在します。まず、メリットは次の通りです。
メリット:
- OSSのため、挙動や更新差分を監査しやすい。
- ローカル実行を軸に設計でき、データフローを把握しやすい。
これらは「統制したい企業ほど嬉しい」性質ですが、同時に運用責任も伴います。
次に、リスクは次の通りです。
リスク:
- ファイル編集やコマンド実行を許可すると、誤操作・悪意ある誘導で事故につながり得る。
- “どのモデルに何を送るか”は、結局ネットワーク境界(プロキシ/ゲートウェイ/ポリシー)で決まるため、設計を誤ると情報漏えいリスクが上がる。
特にZenを使う場合、原則として保持しない運用が想定される一方、無料期間の一部モデルなど例外に言及があります。企業では「機密リポジトリはローカルLLM」「それ以外はゲートウェイ経由」など、区分設計が現実的です。
アーキテクチャパターン
企業利用時の代表的な構成パターンは次の3つです。どれを採るかで、監査のしやすさと運用負荷が大きく変わります。
- ローカルのみ:開発者マシン内でローカルLLMだけを使う。データ越境リスクは最小だが、モデル性能/運用負荷とのトレードオフ。
- プロキシ/ゲートウェイ経由:OpenCode → 社内ゲートウェイ → 各モデル/Zen という構成。ログ収集・マスキング・レート制限・監査を一元化。
- ハイブリッド:機密度の高い領域はローカルLLM、その他はクラウドLLMと使い分ける。コスト最適化とリスクコントロールを両立しやすい。
実運用では、まず②か③でガバナンスを効かせつつ、対象範囲を段階的に広げるのが無難です。
他ツールと比較したOpenCodeの立ち位置
競合となるClaude CodeやCopilotと比較した際の、OpenCodeの独自性について整理します。
比較軸とポジショニング
他のコーディングエージェントと比較するときの軸は、おおよそ次のとおりです。
| 比較軸 | OpenCode | Claude Code | Copilot / Cursor |
|---|---|---|---|
| プロダクト形態 | OSS(クライアント) | クローズド | クローズド |
| モデルの自由度 | 高(差し替え前提) | 低〜中 | 低〜中 |
| UI | TUI/デスクトップ等 | ターミナル中心 | IDE中心 |
OpenCodeは、**「OSS × エージェント運用 × 接続先を選べる」**という軸で差別化されます。
エコシステムとしての期待
拡張(MCP/プラグイン)を前提にした思想は、今後のエージェント標準の変化にも追従しやすい一方で、企業利用では“拡張の自由”がそのままリスクになります。したがって、導入時は「許可する拡張・接続先・共有設定・権限」を先に決めるのが現実解です。運用ルールは、権限と共有の扱いを中心に「誰が何をできるか」を明文化しておくと、導入後の炎上を避けやすくなります。
まとめ
最後に、OpenCodeの特徴と、導入に向けた次のアクションを整理します。まず、要点は次の通りです。
- 機能:ターミナル中心のコーディングエージェント体験をOSSで提供。差分レビュー、編集、実行まで“エージェント運用”に寄せられる。
- モデル:接続先を差し替える思想が強く、クラウドLLM〜ローカルLLMまで設計次第で使い分け可能。
- 料金:クライアント本体は無料。費用はモデル課金(API/ゲートウェイ)に依存。Zenは従量課金で価格表が明示されている。
- セキュリティ:権限(permission)と共有設定、データ保持ポリシー(例外)を前提に、運用設計でリスクを潰す。
ここまでを踏まえると、「体験はOSSで統一しつつ、接続先と権限を統制する」設計が、導入時の現実的な着地点になります。
導入の起点は立場によって変わるため、次のように段階を切ると迷いにくくなります。
- 個人開発者:まずは小さな既存プロジェクトで、差分レビュー→適用→テストのループを体験し、どこまで任せられるかを把握する。
- チームリード: “レビュー支援(影響範囲/改善案)”に寄せて試験導入し、レビュー時間と品質の変化を計測する。
- 情シス・AI推進チーム:接続先(社内ゲートウェイ/Zen/直API)と権限(edit/bash)を設計し、共有設定とログ/監査の運用を先に固める。
この段階分けで進めると、コストとリスクを見える化しながら、無理なくスコープを広げられます。







