この記事のポイント
ChatGPT EnterpriseはOpenAIの大規模企業向けAIサービスで、高度なセキュリティと無制限のGPT-4利用が特徴
中小企業向けのChatGPT Teamは月額$25-30/ユーザーで、基本的な機能とセキュリティを提供
Copilot EnterpriseやAzure OpenAI Serviceなど、他の企業向けAIサービスとの比較も重要
企業規模、セキュリティニーズ、予算に応じて最適なサービスを選択することが重要
APIを利用した自社開発など、カスタマイズ性の高い選択肢も視野に入れるべき

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
この記事では、企業利用に特化したChatGPTプラン「ChatGPT Enterprise」の概要と料金体系、そして個人向けや他の法人プランとの違いについて解説しています。
さらに、新たに発表された中小企業向けプラン「ChatGPT Team」についても触れ、両プランの特徴や料金について詳細をお伝えします。
また、これらのサービス以外にも、Microsoftが提供する「Copilot Enterprise」やOpenAIの「ChatGPT API」など、企業に適したAIサービスについてもご紹介しています。
AIの企業導入を検討中の方は必見の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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ChatGPT Enterpriseとは
ChatGPT Enterpriseは、OpenAIが提供する法人向けのChatGPTプランであり、大規模なビジネス利用に対応した最上位のサービスです。
通常のChatGPT(無料プランやPlusプラン)は個人ユーザーを主な対象としていますが、Enterprise版では、セキュリティやプライバシーの強化、管理機能の充実、高速なパフォーマンス、API利用枠の拡張など、企業利用に必要な機能が包括的に提供されています。
参考:OpenAI
ChatGPT Enterpriseの特徴
ChatGPT Enterpriseは、グローバル企業の厳格な要件にも応える、高度なセキュリティ・管理機能・サポート体制を備えた法人向けAIプランです。OpenAIからの専用サポートを受けながら、安心して業務にAIを導入できます。
ChatGPT Enterpriseの特徴一覧
以下は、ChatGPT Enterpriseの特徴一覧表です。
カテゴリ | 特徴 |
---|---|
モデルとパフォーマンス | GPT-4oを無制限に利用可能(Teamより高いメッセージ上限とコンテキストウィンドウ) |
モデルとパフォーマンス | 複数のリーズニングモデルにアクセス(o3-mini、o3-mini-high、o1、o1 pro mode) |
モデルとパフォーマンス | 長文や大容量ファイルにも対応可能な拡張された入力処理能力 |
業務支援機能 | Deep research、キャンバス、プロジェクト、データ分析などの業務支援機能 |
業務支援機能 | カスタムGPT(ワークスペースGPT)、ファイルアップロード、検索機能 |
セキュリティ・プライバシー | 提供データはAI学習に使用されない(デフォルトで除外) |
セキュリティ・プライバシー | カスタムデータ保持、静止時・転送時の暗号化(AES-256 / TLS 1.2+) |
セキュリティ・プライバシー | SOC 2 Type 2、CSA STAR準拠 |
コンプライアンス | GDPR、CCPA等のプライバシー法制への対応 |
ユーザー管理 | SCIM、SSO、ドメイン認証対応 |
ユーザー管理 | ユーザー分析、GPTごとのアクセス制御 |
サポート体制 | Enhanced Support(優先サポート) |
サポート体制 | 専任アカウントチームによる導入支援・トレーニング・合算請求 |
管理機能と可視化
組織全体でのAI活用を、安全かつ柔軟にコントロールできます。
- 機能別のきめ細かなアクセス制御と管理設定
- ユーザーの利用状況・エンゲージメントに関する可視化インサイト
- グループ単位でのGPT利用権限の管理
専用サポートと導入支援
AI導入を確実に成功に導くための支援体制も万全です。
- OpenAI アカウントチームによる個別サポート
- 導入計画に応じたオンボーディング・トレーニングの提供
- 契約単位での合算請求対応も可能
このように、ChatGPT Enterpriseは単なるAIツールではなく、企業のAI活用を本格的に支援するための包括的なソリューションとして設計されています。
ChatGPT Enterpriseの料金体系
ChatGPT Enterpriseは企業向けの有料サービスになりますが、詳細な値段は公式に公開されていません。
以下はOpenAI公式ホームページ記載のChatGPTの価格表です。利用を希望する場合はOpenAIに問い合わせる必要があります。
ChatGPT Enterpriseの価格体系
中小法人向けプランに「ChatGPT Team」が発表
ChatGPTの法人向けプランはこれまで「ChatGPT Enterprise」のみ提供されていましたが、2023年11月7日に新しく中小企業・組織向けプランとしてChatGPT Teamが追加されました。
ChatGPTteamは、動きの速いチーム向けに設計されたサービスです。
参考:OpenAI
この中小企業向け向けプランでは、1ユーザーあたり年間請求で月額$25(約3,759円)もしくは月間請求で月額$30(約4,511円)で価格が設定がされています。
セキュリティ面は「ChatGPT Enterprise」に及ばないものの、利用されたデータはデフォルトでChatGPTのトレーニングから除外されるため、組織利用に適していると言えます。
ChatGPT EnterpriseとChatGPT Teamの比較
以下の表は、ChatGPT EnterpriseとChatGPT Teamの主な機能、スピード、回答精度、セキュリティ面などの比較を示しています。
ChatGPT Enterprise vs ChatGPT Team
特徴 | ChatGPT Enterprise | ChatGPT Team |
---|---|---|
ターゲットユーザー | 大規模な組織や企業 | 中小規模のチームやプロジェクト向け |
主な機能 | 高度なカスタマイズ、高速な回答、高精度 | シンプルなインターフェース、標準的な回答精度 |
スピード | 高速 | 一般的 |
回答精度 | 高精度 | 一般的 |
セキュリティ面 | 高度(優先カスタマーサービス) | 標準的なセキュリティ機能 |
ChatGPT Enterpriseは大規模な組織や企業向けのサービスなのでChatGPTが提供する最高レベルのサービスを利用でき、特に企業としてはセキュリティ保護も徹底しているので安心です。
中小規模のチームやプロジェクトで利用し、ChatGPT Enterpriseが提供しているような最先端の高性能サービスを必要としない場合やシンプルなインターフェースを好む場合はChatGPT Teamを選ぶと良いでしょう。
企業やグループの規模やニーズに合わせて、適切なサービスを選択してください。
【関連記事】
ChatGPT Teamとは?料金や使い方、Plusプランとの違いをわかりやすく解説
その他の企業利用向けAIサービス
紹介したChatGPT EnterpriseやChatGPT Teamプラン以外にも、企業利用に適したAIサービスは多数展開されています。
ここでは、その中でもメジャーである Microsoft Copilot と OpenAI API、Azure OpenAI について解説していきます。
Copilot Enterprise (旧:Bing Chat Enterprise)
1つ目にご紹介するサービスはMicrosoftが提供するCopilot Enterprise です。
Copilot Enterprise
Microsoft 365 の一部ライセンス(法人向け)に加入している場合は、法人向けにセキュリティが強化された Copilot Enterprise が追加費用なしで利用可能です。
該当のライセンスに加入していない場合は1ユーザーにつき月額$39で利用可能です。
Copilot Enterpriseの価格
実際にログインすると以下の様な画面に移ってプロンプト作成を開始できます。
Copilot Enterpriseプロンプト作成画面
Copilot Enterpriseスマートフォン版プロンプト作成画面
Microsoft Copilotは一般ユーザー向けにも提供されていますが、エンタープライズ版では入力データの履歴が保存されない事や、セキュリティ面が強化されているなど、大規模な組織や企業での利用を想定した特徴を持っています。
【関連記事】
➡️Microsoft Copilot(Bing AI)とは?できることや使い方、料金体系を徹底解説
OpenAI(ChatGPT) API
2つ目にご紹介するサービスはOpenAI社の提供するChatGPTのAPI(OpenAI API)です。
ChatGPT APIは、開発者が自社のアプリケーションやウェブサイトにChatGPTの機能を組み込むことができるサービスです。
ChatGPT API (参考:OpenAI)
ChatGPT APIは、カスタマイズ性が高く、開発者が自分のニーズに合わせてChatGPTを調整できるため、自社開発や社内向けチャットボットの作成など、ビジネスにおける様々な用途に活用できます。
また、OpenAI社によって「データの保護」や「セキュリティの確保」が行われているため、外部向けサービスの開発においても安心して利用できます。
【関連記事】
➡️ChatGPTに自社データを学習させる方法!セキュリティ面や活用例も解説
Azure OpenAI Service
3つ目にご紹介するのは、Microsoft社が提供するAzure OpenAI Serviceです。
Azure OpenAI Serviceは、Microsoftの信頼性の高いクラウドプラットフォームと、OpenAIの先進的な言語モデルを組み合わせた強力なソリューションです。
Azure OpenAI Serviceの主な特徴
- セキュリティとコンプライアンス
Azureのセキュリティ機能と監視ツールを活用することで、企業はデータの機密性を維持しつつ、コンプライアンス要件を満たすことができます。
- スケーラビリティ
Azureのクラウドインフラストラクチャを利用することで、大規模なAIワークロードに対応可能です。必要に応じて、リソースの拡張や縮小が容易に行えます。
【関連記事】
➡️Azure AI Studioとは?その主要機能をわかりやすく解説!
- 統合性
他のAzureサービスとシームレスに連携できるため、既存のシステムやデータソースとの統合が容易です。これにより、AIの価値をより迅速に実現できます。
- カスタマイズ性
Fine-tuningや追加学習により、自社のデータやドメイン知識に基づいてモデルをカスタマイズできます。これにより、ビジネスに特化したAIソリューションの開発が可能となります。
企業がAIの導入を検討する際に、セキュリティ、スケーラビリティ、統合性、カスタマイズ性を重視するなら、Azure OpenAI Serviceは最適な選択肢の一つといえるでしょう。
まとめ
今回の記事では、ChatGPT Enterpriseの料金や特徴に加え、企業利用に適した他のAIサービスについても幅広く解説しました。
ChatGPT Enterpriseの料金は公式サイトでは公開されておらず、導入を検討する場合はOpenAIに直接問い合わせる必要があります。そのため、料金が明示されており、組織の規模に応じて柔軟に契約できる**「ChatGPT Team」プランも有力な選択肢**となります。
また、ChatGPT以外にも、GitHub Copilot for Enterprise や ChatGPT API など、用途に応じたさまざまな法人向けAIサービスが提供されています。
利用目的・予算・セキュリティ要件・管理機能の違いをふまえ、自社に最適なサービスを選定することが重要です。