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SAP HANAとは?料金体系・S/4HANAとの違い・導入メリットを解説

この記事のポイント

  • SAP HANAはインメモリ技術とカラムストア技術を組み合わせた超高速データベースであり、SAP S/4HANAの基盤として機能する。
  • インメモリ処理・カラムストア・OLTP/OLAP統合の3つのコア技術により、従来のデータベースと比較して圧倒的な処理速度を実現する。
  • ライセンスはRuntime版とFull Use版があり、導入形態もオンプレミスとクラウドから選択できる。
  • 2027年問題(SAP ERP 6.0の保守終了)への対応として、SAP S/4HANA(SAP HANA基盤)への移行が急務となっている。
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

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Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

膨大なデータをいかに迅速に処理し経営に活かすかが事業成長の鍵を握る中、注目されているのがSAP社の「SAP HANA」です。
本記事では、SAP S/4HANAとの違いから高速処理を支えるコア技術、料金体系、導入メリット、2027年問題への対応まで体系的に解説します。

SAP HANAとは

SAP HANAの画面イメージ
出典:SAP|SAP HANA

SAP HANAとは、SAP社が開発した超高速なリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)です。データをハードディスクではなくメインメモリ上で処理する「インメモリ」技術と、分析に適した「カラムストア(列指向)」技術を特徴としています。

SAP HANAとSAP S/4HANAの関係

この2つの関係を理解するために、自動車に例えると分かりやすいです。

  • SAP HANA
    圧倒的なスピードとパワーを生み出す「超高速エンジン(インメモリデータベース)」。

  • SAP S/4HANA
    そのエンジンを搭載して走る、会計・販売・生産管理などの機能を持つ「最新鋭の車体(次世代ERP)」。

SAP HANAはデータを超高速で処理するデータベース基盤であり、SAP S/4HANAはそのデータベース上で最高のパフォーマンスを発揮するように設計されたアプリケーションです。S/4HANAを導入する場合、必然的にSAP HANAを利用することになります。


SAP HANAのコア技術

SAP HANAが従来のデータベースと比較して圧倒的に高速な理由を、3つのコア技術で解説します。

SAP HANAのインメモリデータベース

従来のデータベースはデータをハードディスク(HDD)に保存し、処理の都度読み書きしていました。SAP HANAはインメモリデータベース技術を採用し、データをメインメモリ(RAM)上で直接処理します。メモリはHDDに比べてデータアクセス速度が格段に速いため、処理時間が大幅に短縮されます。

データ速度の違い

SAP HANAのカラムストア技術

SAP HANAはデータを列単位で保存する「カラムストア(列指向)」方式を採用しています。例えば「売上金額」の列だけをまとめて保存するため、「全商品の売上合計」といった分析処理では必要なデータだけにアクセスでき、分析クエリのパフォーマンスが向上します。

SAP HANAのOLTP/OLAP統合

従来は日々の取引データを処理するOLTPシステムと、データ分析用のOLAPシステムを別々に構築するのが一般的でした。SAP HANAはその高速処理能力により、単一システム上で両方を同時に実行可能です。データの複製や夜間バッチ処理が不要になり、常に最新データに基づくリアルタイム分析が実現します。


SAP HANA導入のメリット

SAP HANAを導入することで得られる主な効果を整理します。

  • 迅速な経営判断の実現
    最新の売上・在庫・財務状況をリアルタイムで把握でき、データ集計を待つことなく迅速な意思決定が可能になる。

  • 業務プロセスの全体最適化
    生産ラインの稼働状況や在庫データをリアルタイムに分析し、ボトルネック解消や需要変動に応じた生産計画の即時調整が可能。サプライチェーン全体の効率が向上する。

  • 高度なデータ分析基盤の構築
    基幹システムのデータだけでなく、IoTセンサーデータやWebログといった膨大なデータも統合して分析できる。製品の故障予知や顧客の行動予測など高度なデータ活用が実現する。

  • TCO(総所有コスト)の削減
    OLTPとOLAPを統合できるため、別途構築していたデータウェアハウス等が不要になる場合がある。システム構成のシンプル化によりハードウェア費用や保守運用コストの削減が期待できる。


SAP HANA導入の注意点

メリットだけでなく、導入を成功させるために事前に把握すべき注意点も解説します。

  • 初期投資とライセンス費用
    大規模なオンプレミス導入ではハイスペックなサーバーが必要となり初期投資が高額になる傾向がある。メモリサイズに比例するFull Useライセンス費用も企業規模によっては大きな負担となる。

  • 専門技術者の確保と育成
    従来のデータベースとは異なる専門知識が求められる。国内ではSAP関連の技術者が不足しているため、人材の確保や自社内での育成計画を早期に立てることが重要。

  • 既存システムからのデータ移行
    旧世代のSAP ERPからの移行では、データや業務プロセスを新環境に合わせて変換・移行する必要がある。十分な準備期間と専門的な知見がなければプロジェクトが遅延するリスクがある。


SAP HANAの料金体系

導入コストに関わるライセンス形態と導入方法を解説します。

SAP HANAのライセンスの種類

SAP HANAには主に2つのライセンス形態があり、用途に応じて選択する必要があります。以下の表でそれぞれの特徴を整理しました。

ライセンス名 課金体系の目安 利用範囲 最適な用途
Runtime License SAPアプリケーション価値の一定割合 SAPアプリケーション(S/4HANA等)のデータ処理に限定 SAP S/4HANAの導入・利用が目的の場合
Full Use License メモリサイズ(例:64GB単位) SAP製・他社製問わずあらゆるシステムと連携可能 データウェアハウスとして独自分析基盤を構築する場合

SAP S/4HANAを導入する多くの企業ではコストを抑えられるRuntime版が選択されます。Full Use版は自由度が高い分、ライセンス費用は高額になります。

SAP HANAの導入形態

SAP HANAはオンプレミスとクラウドの2つの形態で導入できます。以下の表で両者のコスト構造を比較しました。

比較軸 オンプレミス クラウド(SAP HANA Cloudなど)
初期費用 高額(サーバー等のハードウェア購入費) 低額(または不要)
運用費用 高額(保守・運用人件費、電気代) 利用量に応じたサブスクリプション型
柔軟性 低い(リソースの増減が困難) 高い(必要に応じて変更可能)
管理主体 自社 クラウドベンダー

近年は初期投資を抑えられ柔軟な運用が可能なクラウドを選択する企業が増えています。TCOの観点で慎重に比較検討することが重要です。


SAP HANAと2027年問題

SAP HANAへの注目が高まっている直接的な理由が「2027年問題」です。

保守サポート終了年

多くの企業で利用されている旧世代ERP「SAP ERP 6.0」の標準保守サポートが終了し、後継製品SAP S/4HANA(SAP HANA基盤)への移行が経営課題となっています。利用しているバージョン(EHP)によって期限が異なる点に注意が必要です。

  • EHP 0〜5
    2025年末で保守サポートが完全に終了(延長なし)。

  • EHP 6以上
    2027年末で標準保守が終了。有償の延長保守で最大2030年末まで、さらに条件付きトランジションオプションで2033年まで延長が可能。

いずれにせよサポート終了は迫っており、SAP S/4HANAへの移行が多くの企業にとって重要課題です。2027年問題の詳細はSAP 2027年問題の解説記事をご覧ください。


SAP HANAの導入事例

SAP HANAを導入した企業の活用事例を業種別に紹介します。

SAP HANAによるリアルタイム生産管理(製造業)

ある国内大手製造業は、SAP S/4HANAを導入して生産管理システムを刷新しました。工場内の設備稼働状況や品質データをリアルタイムで収集・分析し、問題発生時に即座に原因を特定・対処できる体制を構築。業務効率化と品質改善の両面で成果を上げています。

SAP HANAによる高速需要予測(小売業)

ある大手小売企業は、SAP HANAを活用して販売実績・天候・SNSトレンドなどの膨大なデータを高速分析する需要予測システムを構築。店舗ごとの最適な在庫配置と効果的な販促キャンペーン立案に活用し、売上向上と在庫ロス削減を両立しています。

SAP HANAによる全社データ基盤統一(海外企業)

ドイツの大手電機メーカーシーメンス社は、世界中の業務システムをSAP S/4HANAで統合する大規模プロジェクトを推進。SAP HANAを全社的なデータプラットフォームとして活用し、あらゆる事業部門のデータをリアルタイムで可視化・分析できる環境を整備しています。


まとめ

SAP HANAは、インメモリ技術とカラムストア技術を組み合わせたSAPの超高速データベースであり、次世代ERP SAP S/4HANAの基盤として機能します。

本記事のポイントを整理します。

  • SAP HANAは「エンジン」、SAP S/4HANAはそれを搭載する「車体」という関係
  • インメモリ・カラムストア・OLTP/OLAP統合の3つのコア技術が圧倒的な高速処理を実現
  • ライセンスはRuntime版とFull Use版があり、導入形態はオンプレミスとクラウドから選択
  • 2027年問題への対応として、SAP S/4HANA(SAP HANA基盤)への移行が急務



SAP HANAの導入やS/4HANAへの移行を検討している場合は、SAP導入SAP移行の記事もあわせてご覧ください。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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