AI総合研究所

SHARE

X(twiiter)にポストFacebookに投稿はてなブックマークに登録URLをコピー

DXにおけるセキュリティとは?基本要素・対策手法・成功事例をわかりやすく解説

この記事のポイント

  • DX推進におけるセキュリティの3つの基本要素(機密性・完全性・可用性)をCIAトライアドとして解説
  • 多要素認証・ゼロトラストセキュリティ・マイクロセグメンテーションの具体的な対策手法を紹介
  • セキュリティ人材の確保・利便性とのバランス・段階的導入・組織の意識改革が対策のポイント
  • 毎日放送・LIXIL・同志社大学のセキュリティ対策成功事例から実践のヒントを紹介
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が加速する中、サイバー攻撃の高度化や情報漏えいのリスクが増大しており、セキュリティ対策は企業にとって不可欠な課題となっています。2026年現在、生成AIを悪用した攻撃手法も登場しており、従来のセキュリティ対策だけでは十分とはいえない状況です。
本記事では、DXにおけるセキュリティの基本要素(CIAトライアド)から、多要素認証やゼロトラストセキュリティなどの具体的な対策手法、対策のポイント、そして実際の成功事例までわかりやすく解説します。

DXにおけるセキュリティとは

DXにおけるセキュリティとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が進む中、企業が取り扱うデータ量は飛躍的に増加しています。クラウドサービスの活用やリモートワークの普及により、社内外のネットワーク境界が曖昧になり、サイバー攻撃のリスクも高まっています。

情報セキュリティとは、JIS規格「JIS Q 27000」によると、以下の3つの安全性を確保することと定義されています。これらは頭文字をとって「CIAトライアド」と呼ばれます。

機密性(Confidentiality)

機密性とは、許可されている人だけが情報にアクセスできる状態を指します。アクセス権限の管理、特定の端末からのみアクセスを許可する設定、多要素認証の導入などで対策することができます。不正アクセスや情報漏えいを防ぐために、機密性の確保は最も基本的なセキュリティ要件の一つです。

完全性(Integrity)

完全性とは、ファイルやシステムのデータが改ざんされていない状態を指します。データの整合性をチェックするためのハッシュ関数や、アクセス履歴を記録する監査ログを活用することで対策できます。完全性が損なわれると、業務上の意思決定に誤りが生じるリスクがあります。

可用性(Availability)

可用性とは、ユーザーが必要なときにいつでもシステムにアクセスできる状態を指します。機密性や完全性が確保されていても、システムが使用できなければ意味がありません。サイバー攻撃や障害が発生しても影響を最小限に抑え、復旧までの時間を短くすることが重要です。定期的なバックアップや障害発生時の復旧手順の整備が有効な対策です。

DXにおけるセキュリティの対策

DXにおけるセキュリティの対策

DXを推進する上で有効なセキュリティ対策として、以下の4つの手法があります。

多要素認証

多要素認証とは、複数の認証要素を組み合わせることでセキュリティを強化する方法です。「IDとパスワード」に加えて、顔認証や指紋認証などの「生体認証」、SMSやメールによる「ワンタイムパスワード」など、異なる種類の認証を組み合わせます。

二段階認証は「IDとパスワード」と「秘密の質問」のように同じ種類の情報を2回確認するものですが、多要素認証は異なる種類の認証要素を使うため、より強固なセキュリティを実現できます。Microsoftのレポートによれば、多要素認証によりアカウント侵害攻撃の99.9%以上をブロックできるとされています。

2026年現在、Microsoftは主要クラウドサービスの管理操作においてMFA(多要素認証)を必須化しており、多要素認証はDXセキュリティの標準的な対策となっています。

ゼロトラストセキュリティ

ゼロトラストセキュリティとは、社内外を問わずすべてのアクセスを「信頼しない」という前提で検証するセキュリティモデルです。「決して信頼せず、常に検証する(Never Trust, Always Verify)」という原則に基づきます。

従来のセキュリティモデルでは、社内ネットワークは安全であると考える「境界型防御」が主流でした。しかし、クラウドサービスの普及やリモートワークの拡大により、ネットワークの内外の境界が曖昧になっています。ゼロトラストの考え方を取り入れることで、不正アクセスの防止や情報漏えいに対する包括的なセキュリティ対策を構築できます。

マイクロセグメンテーション

マイクロセグメンテーションとは、データセンターやクラウド環境において、アプリケーションやサービスごとにネットワークを細かく分割する技術です。各セグメント間の通信を個々に管理・制御することで、仮に一つのセグメントが侵害されても被害を最小限に抑えることができます。

ゼロトラストセキュリティを実現するための具体的な技術の一つであり、内部からの攻撃やラテラルムーブメント(横方向の攻撃拡散)に対して効果的な防御を提供します。

セキュリティ意識の向上

セキュリティ対策は、情報部門や経営陣など特定の部署だけで取り組むものではありません。組織全体でセキュリティに対する意識を向上させることが重要です。DX担当とセキュリティ担当が組織全体に情報共有を行い、研修などの社内教育を通じて一人ひとりがセキュリティに対する意識を高めることが不可欠です。

DXセキュリティ対策のポイント

DXセキュリティ対策のポイント

DXにおけるセキュリティ対策を効果的に進めるために、以下の4つのポイントを押さえましょう。

  • セキュリティ人材の確保・育成
    セキュリティ人材の不足は深刻な課題です。ISC2の2025年版サイバーセキュリティ人材調査によると、日本では42%が「必要な人材を確保できない」と回答しており、世界平均の29%を大きく上回っています。採用活動に加え、既存社員のリスキリングを通じたセキュリティ人材の育成が必要です。

  • 利便性とセキュリティのバランス
    セキュリティを強化すると認証回数が増え、導入・運用コストも高まります。従業員の負担が増えると生産性の低下にもつながるため、社内の状況に合わせて利便性とセキュリティの最適なバランスを見極めることが重要です。

  • 段階的な導入
    新しいセキュリティ対策を一度に全面導入するのではなく、段階的に実施することでリスクを最小限に抑えつつ効果を検証できます。最も対策が必要な部分から重点的に取り組み、その後システム全体に展開する方法が効果的です。

  • 組織全体の意識改革
    すべての従業員がセキュリティの重要性を理解し、対策に取り組む必要があります。セキュリティに関する一貫した経営方針を定め、継続的にセキュリティ研修を実施しましょう。生成AIを悪用した巧妙なフィッシング攻撃なども増加しているため、最新の脅威に対する啓発も重要です。

DXにおけるセキュリティ対策の成功事例

DXにおけるセキュリティ対策の成功事例

実際にDX推進においてセキュリティ対策に成功した企業・機関の事例を紹介します。

毎日放送

株式会社毎日放送は、テレワーク拡大に伴うセキュリティリスクへの対応として、Ciscoの多要素認証ソリューション「Cisco Secure Access by Duo」を導入しました。VPN利用者に対するセキュリティを強化し、社外からでも安全に業務を行える環境を整備しています。

社内全体に展開した結果、約650名のVPNユーザーが安全に社内システムを利用できるようになり、セキュリティと利便性の両立を実現しました。

LIXIL


LIXILは、Akamaiのゼロトラストセキュリティを導入し、組織全体のセキュリティを強化しました。すべてのアクセスを検証するゼロトラストモデルにより、セキュリティリスクを大幅に低減しています。

リモートワークや外部からのアクセスが増加する中でも、安全かつ効率的に業務を継続できるようになりました。セキュリティを犠牲にすることなく、業務の柔軟性と生産性を向上させた事例として注目されています。

同志社大学


同志社大学は、Ciscoのマイクロセグメンテーション技術を導入し、学内ネットワークのセキュリティを強化しました。ネットワークが細かくセグメント化され、各セグメント間の通信が厳密に管理・制御されるようになっています。

その結果、学内での不正アクセスや内部からの攻撃リスクが大幅に低減され、重要なデータの保護が徹底されました。セキュリティポリシーを細かく適用することが可能になり、学内ネットワーク全体の安全性が向上しています。


バックオフィス業務をAIで自動化 AI Agent Hub

AI Agent Hub

Microsoft Teams上でAIエージェントが業務を代行

経費精算・請求書処理をAIが自動実行。インボイス制度・電帳法にも対応し、金融機関レベルのセキュリティで安心導入。

まとめ

DXにおけるセキュリティについて、以下の3点が重要です。

  • CIAトライアドを基本として対策を設計する
    機密性・完全性・可用性の3つの基本要素を理解し、自社のDX環境に合わせたセキュリティ対策を設計することが出発点です。多要素認証やゼロトラストセキュリティなど、複数の対策を組み合わせることで包括的な防御体制を構築できます。

  • セキュリティ人材の確保と組織全体の意識改革が不可欠
    セキュリティ人材の不足は世界的な課題であり、特に日本では深刻です。人材の確保・育成に加え、組織全体でセキュリティ意識を高める取り組みを継続的に行うことが求められます。

  • 利便性とのバランスを保ちながら段階的に導入する
    セキュリティ強化は業務の利便性とトレードオフになりやすいため、段階的な導入で効果を検証しながら進めることが成功の鍵です。毎日放送やLIXILの事例のように、適切なソリューションを選択することで、セキュリティと利便性の両立は十分に可能です。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

AI導入の最初の窓口

お悩み・課題に合わせて活用方法をご案内いたします
お気軽にお問合せください

AI総合研究所 Bottom banner

ご相談
お問い合わせは
こちら!