この記事のポイント
ChatGPTを活用することで、仕様書作成の「たたき台」を高速に生成し、業務を効率化できる
成功の鍵は「事前情報の整理」「目的別プロンプトでの生成」「人間によるレビュー」の3ステップ
要件定義や基本設計で使える、コピー&ペースト可能なプロンプトテンプレートを具体的に紹介
AIの出力は鵜呑みにせず、曖昧な表現、実現可能性、セキュリティ要件などを人間がレビューすることが不可欠
機密情報や個人情報はプロンプトに絶対に入力しないなど、セキュリティ対策の徹底が重要

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
「仕様書の作成に膨大な時間がかかる」「要件定義で何から手をつければいいか分からない」
プロジェクトの成功を左右する仕様書ですが、その作成は多くの担当者にとって大きな負担となっています。この課題に対し、ChatGPTをはじめとする生成AIは、強力な解決策となり得ます。
本記事では、AIを活用して仕様書作成を効率化・高度化するための具体的な手法を、専門家の視点から網羅的に解説します。
コピーして使えるプロンプトのテンプレートから、AIの出力を鵜呑みにしないためのレビューの勘所、実務で安全に使うためのセキュリティ上の注意点まで、実践的なノウハウを提供します。
AIは仕様書を作成できるか?そのメリットと留意点
「AIは仕様書を作成できるか?」という問いへの答えは、「YES」であり「NO」でもあります。より正確に言うならば、AIは仕様書作成の『作成者』ではなく、人間の思考を加速させ、品質を高めるための強力な『Co-pilot(副操縦士)』です。
このセクションでは、AIを単なる効率化ツールとして捉えるのではなく、仕様書作成という知的生産のプロセスにどのような変化をもたらすのか、その本質的なメリットと、人間(Pilot)が担うべき重要な役割を解説します。
AIがもたらす4つの変化
AIを活用することで、仕様書作成のプロセスは以下のように進化します。

- 圧倒的なスピードによる「たたき台」の生成
従来、数時間かかっていた機能一覧や要件の洗い出しを、AIは数分で生成します。これにより、人間はゼロから考える時間を削減し、生成されたたたき台を基に、より深い検討やレビューに集中できます。
- **客観的な視点による「発想の拡張」
人間は無意識のうちに自身の経験や知識のバイアスに縛られがちです。AIに客観的な視点から質問を投げかけたり、代替案を提案させたりすることで、自分だけでは思いつかなかった要件やリスク、新たなアイデアの発見につながります。
- 思考の「構造化」とドキュメント化の支援
頭の中にある曖昧なアイデアや断片的なキーワードをAIにインプットするだけで、それらを論理的に整理し、仕様書の形式に沿った構造化された文章へと変換してくれます。これは、特に非エンジニアが開発者とコミュニケーションを取る際の強力な橋渡しとなります。
- **対話による「要求の深掘り」
AIは、仕様について24時間いつでも相談に乗ってくれる優秀な思考のパートナーです。「この要件の背景は?」「他に考えられる選択肢は?」といった対話を繰り返すことで、要求事項を多角的に検討し、より解像度の高い仕様へと磨き上げることができます。
AI活用の限界と『人間の介在』が不可欠な理由

AIは強力なCo-pilotですが、プロジェクトの成功を左右する最終的な操縦桿を握るのは常に人間です。AIには決して代替できない、人間が担うべき役割が存在します。
- アカウンタビリティ(説明責任)の欠如
AIは生成した内容に責任を持ちません。仕様書の最終的な品質と、それによって生じる結果(開発の手戻りやプロジェクトの成否)に対する全責任は、レビューし、承認した人間が負う必要があります。
- ビジネスコンテキストの深い理解
AIは、企業の文化、過去のプロジェクト経緯、競合との力関係、ステークホルダー間の政治的な配慮といった、言語化されていないビジネスコンテキストを理解できません。これらの暗黙知を仕様に反映させるのは、人間の重要な役割です。
- ハルシネーション(事実誤認)のリスク
AIは事実と異なる情報を、もっともらしい形で生成することがあります。特に技術的な仕様やデータに関する記述は、必ず人間がファクトチェックを行い、その正しさを保証しなければなりません。
このAIと人間の役割分担を明確に理解することが、AIを仕様書作成に活用する上での大前提となります。
以下の表は、AIと人間の理想的な役割分担をまとめたものです。
| 領域 | AIの役割(Co-pilot) | 人間の役割(Pilot) |
|---|---|---|
| 戦略・意思決定 | 選択肢や論点を提示する | プロジェクトのゴールを設定し、最終的な仕様を決定する |
| 情報生成・構造化 | たたき台や草案を高速に生成する | 生成された内容をレビューし、ビジネスコンテキストを加えて修正・追記する |
| 検証・品質保証 | 矛盾点や考慮漏れを指摘する | ファクトチェックを行い、仕様の品質と実現可能性に責任を持つ |
| アカウンタビリティ | なし | 全ての成果物に対して説明責任を負う |
AIとの協業は、単なる作業の委譲ではありません。AIというCo-pilotの能力を最大限に引き出し、人間はより高度な判断と責任を担う。これが、AI時代の新しい仕様書作成の姿です。
AIによる仕様書作成の実践プロセス|基本の3ステップ
AIで仕様書を作成する際の、具体的な進め方を3つのステップで解説します。
このワークフローに沿って進めることで、AIの能力を最大限に引き出し、手戻りの少ない効率的なドキュメント作成が可能になります。

ステップ1:AIへの「事前情報」を整理する
AIは、与えられた情報以上のことは知りません。高品質な出力を得るためには、インプットの質が重要です。まず、これから作るシステムやサービスの情報を、以下のような項目で箇条書きで簡潔に整理します。
- プロジェクトの背景と目的
- ターゲットユーザー
- 解決したい課題
- 主要な機能のアイデア
この事前情報が、後続のプロンプトの効果を大きく左右します。
ステップ2:目的に合ったプロンプトで「たたき台」を生成する
事前情報が整理できたら、それを基にAIへ指示を出します。次の章で紹介するテンプレートを参考に、「要件を洗い出して」「機能一覧を作って」といったように、目的に合ったプロンプトを使って仕様書のたたき台を生成させます。
ステップ3:生成された内容を「人間」がレビュー・修正する
AIが生成したたたき台は、あくまで下書き(ドラフト)です。内容に事実誤認はないか、プロジェクトの意図と整合性が取れているか、考慮すべき点が抜けていないか、といった観点で、必ず人間が責任を持ってレビューし、修正・追記を加えて仕様書を完成させます。
【コピーして使える】仕様書作成プロンプトテンプレート集
この章では、様々な開発フェーズでコピーしてすぐに使える、具体的なプロンプトを紹介します。
まずは基本形となる役割設定の方法を理解し、その後、ご自身の目的に合ったプロンプトを活用してください。
プロンプトの基本形:AIへの役割設定
AIに特定の専門家として振る舞ってもらうことで、出力の質と思考の精度が向上します。全てのプロンプトの冒頭に、以下のような「役割設定」の一文を加えましょう。
# 命令書
あなたは、経験豊富なITコンサルタントであり、プロジェクトマネージャーです。クライアントの曖昧な要求から、開発者に伝わる明確な仕様書を作成するプロフェッショナルとして、以下の要求に回答してください。
【要件定義】プロジェクトの骨子を作るプロンプト
プロジェクトの初期段階で、全体像を固めるためのプロンプトです。
プロンプト例1:目的や課題を整理する
# 前提条件
以下の情報をもとに、プロジェクトの「背景」「解決したい課題」「達成すべきゴール」を構造的に整理してください。
# 入力情報
- サービス名:社内向け備品管理システム「Stock-Repo」
- ターゲットユーザー:弊社全従業員(約500名)
- 現状の課題:備品の在庫管理がExcelで行われており、リアルタイム性がなく、誰が何を持ち出したか不明瞭。棚卸しに多大な工数がかかっている。
- サービス概要:QRコードを使って備品の貸出・返却を手軽に行えるようにし、在庫状況をWeb上でリアルタイムに可視化するシステム。
プロンプト例2:機能要件・非機能要件を洗い出す
# 前提条件
上記の「Stock-Repo」プロジェクトにおいて、実装すべき「機能要件」と、考慮すべき「非機能要件」を、それぞれ網羅的にリストアップしてください。
【基本設計】具体的な仕様に落とし込むプロンプト
洗い出した要件を、より開発者に伝わる具体的な設計書に落とし込むためのプロンプトです。
プロンプト例3:機能一覧を表形式で作成する
# 前提条件
「Stock-Repo」の機能要件をもとに、詳細な機能一覧をマークダウンのテーブル形式で作成してください。
カラムは「大機能」「小機能」「機能概要」「優先度(高・中・低)」としてください。
上記のプロンプトにより、以下のような構造化された機能一覧のたたき台を得ることができます。
| 大機能 | 小機能 | 機能概要 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| 備品管理 | 備品マスタ登録 | 備品情報(名称、カテゴリ、数量、管理番号)を登録する | 高 |
| 備品管理 | 備品情報編集 | 備品情報を更新し、状態や名前変更に対応 | 高 |
| 備品管理 | 備品削除 | 不要備品を削除(論理削除を想定) | 中 |
| 備品管理 | 備品カテゴリ管理 | カテゴリ追加・編集・削除 | 中 |
| 備品管理 | 在庫数管理 | 初期在庫登録・在庫増減管理 | 高 |
| 備品管理 | QRコード生成 | 備品に紐づくQRコードを自動発行 | 高 |
| 備品管理 | 画像添付 | 備品の画像添付(識別性向上) | 低 |
| 貸出管理 | QR貸出登録 | QRコードを読み取り貸出処理を行う | 高 |
| 貸出管理 | 手動貸出登録 | QRスキャン不可の場合に手動入力 | 中 |
| 貸出管理 | 貸出情報表示 | 現在貸出中の備品一覧表示 | 高 |
| 返却管理 | QR返却登録 | QRコード読み取りで返却処理 | 高 |
| 返却管理 | 手動返却登録 | QRスキャン不可の場合に手動入力 | 中 |
| 棚卸し | 棚卸リスト生成 | 保有備品リストを生成し棚卸対象を確認 | 高 |
| 棚卸し | 棚卸チェック | スキャンによる棚卸チェック | 中 |
| 棚卸し | 棚卸結果出力 | 差分表示、未返却一覧、CSV出力 | 中 |
| 履歴管理 | 貸出履歴照会 | 貸出/返却履歴を検索表示 | 高 |
| 履歴管理 | 履歴検索フィルタ | ユーザー、備品名、期間で検索 | 高 |
| 履歴管理 | CSVエクスポート | 履歴情報をCSV出力 | 中 |
| 利用者管理 | 認証(SSO) | 社内アカウント基盤と連携してログイン | 高 |
| 利用者管理 | 権限管理 | 管理者/一般ユーザー権限 | 高 |
| 利用者管理 | アカウント同期 | 社員情報(氏名/ID)を同期 | 中 |
| 通知 | 未返却アラート | 返却期限超過時に通知(メール/Slack) | 中 |
| 通知 | 在庫不足通知 | 在庫閾値以下でアラート通知 | 中 |
| UI/UX | ダッシュボード | 貸出状況、在庫数、未返却件数の可視化 | 高 |
| UI/UX | スマホ対応 | QR運用を考慮したレスポンシブUI | 高 |
| UI/UX | 検索・フィルタ | 備品一覧/履歴の検索・絞込 | 高 |
| UI/UX | 並び替え機能 | 名称、カテゴリ、状態でソート | 低 |
| システム管理 | ログ管理 | 操作ログ、エラーログの参照 | 中 |
| システム管理 | バックアップ管理 | 日次バックアップ、復元対応 | 中 |
プロンプト例4:画面遷移図をMermaid記法で作成する
# 前提条件
「Stock-Repo」の主要な画面(ログイン、備品一覧、備品詳細、貸出申請)の画面遷移図を、Mermaid記法の`graph TD`で記述してください。
AIが生成した仕様書のレビューと品質チェックリスト
AIの生成物は完璧ではありません。最終的な品質を担保し、プロジェクトの成功に責任を持つのは人間の重要な役割です。
このセクションでは、AIが生成した仕様書のたたき台をレビューする際に、特に注意して確認すべき項目をチェックリスト形式で紹介します。このリストを活用し、レビューの精度を高めましょう。
仕様書品質チェックリスト

- □ 前提条件や制約事項は明記されているか
プロジェクトのゴールやスコープ、技術的な制約などが具体的に記述されているかを確認します。
- □ 曖昧な表現が残っていないか
「適切に」「なるべく」「できるだけ」といった、開発者が解釈に困る曖昧な表現が使われていないかを確認し、具体的な数値や定義に修正します。
- □ 用語の定義はプロジェクト内で統一されているか
- 例えば「ユーザー」という言葉が、エンドユーザーを指すのか、管理者を指すのか、文脈によってブレていないかを確認します。
- 例えば「ユーザー」という言葉が、エンドユーザーを指すのか、管理者を指すのか、文脈によってブレていないかを確認します。
- □ 実現不可能な技術や矛盾した要件が含まれていないか
- AIが提案した技術が、本当に現在の技術レベルや予算内で実現可能か、チームのエンジニアとすり合わせます。
- AIが提案した技術が、本当に現在の技術レベルや予算内で実現可能か、チームのエンジニアとすり合わせます。
- □ セキュリティとプライバシーに関する要件が考慮されているか
個人情報の取り扱いや、不正アクセス対策など、セキュリティ面での要求が定義されているかを確認します。
- □ AIの出力にハルシネーション(事実誤認)が含まれていないか
AIが生成した固有名詞、数値、APIの仕様などは事実と異なる場合があります。必ず公式情報などで裏付けを取ります。
このチェックリストは、AIとの協業における「人間の専門性」を発揮するためのツールです。AIのスピードと網羅性を活用しつつ、人間の批判的思考力で品質を担保することが、AI時代の仕様書作成における成功の鍵となります。
AI仕様書作成でよくある失敗と対策
AIは強力なツールですが、使い方を誤ると期待した成果は得られません。
ここでは、AIを使った仕様書作成で多くの人が陥りがちな3つの典型的な失敗パターンと、それを回避するための具体的な対策を解説します。

失敗1:AIへの「丸投げ」で内容の薄い仕様書になる
最も多い失敗が、AIに曖昧な指示だけを与えて「丸投げ」してしまうケースです。これでは、誰でも書けるような一般的で具体性のない仕様書しか生成されず、実用には至りません。
- 悪い例:
「ECサイトの仕様書を作って」
- なぜダメか?:
どのようなECサイトなのか、ターゲットは誰か、競合との差別化要素は何か、といった重要な文脈が全くないため、AIは当たり障りのない機能(商品一覧、カート機能など)をリストアップすることしかできません。
ステップ1:事前情報の整理」で解説した準備を行い、プロジェクトの背景や目的をAIにインプットしましょう。AIを思考のパートナーと捉え、対話を通じて要件を深掘りしていく姿勢が重要です。
失敗2:出力結果の「鵜呑み」で矛盾や間違いに気づかない
AIはもっともらしい嘘(ハルシネーション)をつくことがあります。生成された内容をファクトチェックせずにそのまま仕様書に転記してしまうと、後工程で致命的な手戻りが発生する原因となります。
-
悪い例:
AIが提案した最新の技術やAPIを、実現可能性を調査せずにそのまま要件に記載してしまう。
-
なぜダメか?:
AIが提案する技術は、存在しない、非推奨になっている、またはプロジェクトの要件に合致しない場合があります。
AIの出力は必ず「たたき台」として扱いましょう。特に技術的な記述、数値、固有名詞については、必ず公式ドキュメントを参照したり、チームのエンジニアに確認したりするなど、人間によるレビューと裏付け調査を徹底してください。
失敗3:セキュリティリスクの軽視による情報漏洩
利便性を優先するあまり、社内の機密情報や顧客情報をプロンプトに含めてしまうケースです。これは、意図せず重大な情報漏洩インシデントを引き起こす可能性があり、絶対にあってはなりません。
- 悪い例:
「以下の顧客リストを分析し、新しいサービスのターゲット層を提案して。リスト:[顧客名、メールアドレス...]」
- なぜダメか?:
入力したデータがAIの学習に利用され、他のユーザーへの回答として出力されてしまうリスクがあります。
個人情報や機密情報は、いかなる場合もプロンプトに含めないでください。データを扱う際は、情報を抽象化・匿名化するか、入力データを学習に利用しない設定(オプトアウト)が可能な法人向けAIサービスを利用するなど、セキュリティ対策を徹底しましょう。
AI仕様書作成の精度を向上させる5つのコツ
AIからの出力品質は、プロンプトの質に大きく左右されます。ここでは、単に「良いプロンプト」を紹介するだけでなく、なぜそれが有効なのかという「思考のフレームワーク」を5つのコツとして解説します。
初心者の方が陥りがちな「悪い例」と比較することで、明日からすぐに使える実践的なスキルが身につきます。

コツ1:AIに明確な「役割」と「ゴール」を与える
AIに特定の専門家として振る舞ってもらうことで、出力の視点や語彙が最適化されます。
- 悪い例:
備品管理システムの機能一覧を作って。
- 良い例:
あなたは経験豊富なPMです。これから開発する備品管理システムの機能一覧を、開発者が見て分かりやすいように網羅的に作成してください。
役割を与えることで、AIは単なるテキスト生成ツールから「PMアシスタント」へと役割を変えます。これにより、PMが通常考慮するであろう項目(例えば、優先度や実装の難易度など)を自発的に提案してくる可能性が高まり、出力の質が向上します。
コツ2:制約条件とアウトプット形式を具体的に指定する
期待するアウトプットの形式を明確に伝えることで、後工程での手作業が格段に減ります。
- 悪い例:
機能一覧を考えて。
- 良い例:
機能一覧をマークダウンのテーブル形式で作成してください。カラムは「大機能」「小機能」「機能概要」としてください。
AIは指示が曖昧だと、自由な形式(例えば長文の箇条書き)で出力してしまいがちです。テーブル形式などを指定することで、そのままドキュメントに貼り付けられる構造化されたデータが得られ、手戻りを防ぎます。
コツ3:一度にすべてを求めず、対話しながら深掘りする
長文で一度に指示するよりも、短い対話を繰り返す方がAIは文脈を正確に理解します。
- 悪い例:
(長文で)プロジェクトの背景はこれで、要件はこれで、機能一覧とDB設計とテストケースを全部作って。
- 良い例:
まず機能要件を洗い出してください。→(出力後)ありがとうございます。では次に、その機能要件を元にDBのテーブル設計案を考えてください。
一度に多くの要求をすると、AIは重要なポイントを見失いがちです。人間同士が会話するように、一つのテーマが終わってから次のテーマに移ることで、AIは文脈を踏まえた、より精度の高い回答を生成できます。
コツ4:良い例をいくつか提示する(Few-shotプロンプティング)
望ましいアウトプットの例を示すことで、AIはそのスタイルを模倣し、出力の質をコントロールできます。
Few-shotプロンプティングとは?
AIにいくつかの模範解答例(Shot)を与えてから質問することで、回答の形式や質を誘導するテクニックです。
- 悪い例:
ユーザーーストーリーを作って。
- 良い例:
以下の例を参考に、別のユーザーーストーリーを3つ作成してください。例:「管理者として、備品の在庫数をリアルタイムで確認したい。それは棚卸しの工数を削減するためだ。」
この手法は、特定のフォーマットや文体で文章を生成させたい場合に特に有効です。AIに「お手本」を見せることで、アウトプットのブレを少なくし、期待通りの結果を得やすくなります。
コツ5:不足している情報を逆質問させる
AIに能動的に思考させることで、人間側の考慮漏れや前提条件の曖昧さを発見できる場合があります。
- 悪い例:
(指示を出して終わり)
- 良い例:
(指示の最後に)この仕様を考える上で、不足している情報や確認すべき点があれば、私に逆質問してください。
この一文を加えることで、AIは単なる指示待ちのツールから、プロジェクトのリスクを共に考える「パートナー」へと昇華します。AIからの思わぬ質問が、プロジェクトの成功率を高める重要な気づきに繋がることがあります。
【最重要】AI利用時の注意点とセキュリティ対策
AIの利便性の裏側には、情報セキュリティのリスクが存在します。特に企業で業務に利用する上では、必ず遵守すべき注意点があります。ここを疎かにすると、重大な情報漏洩インシデントに繋がりかねません。
機密情報・個人情報は絶対に入力しない
顧客情報、未公開の技術情報、個人情報などをプロンプトに含めてはいけません。入力データが意図せずAIの学習に使われ、外部に漏洩するリスクを常に念頭に置く必要があります。
AIサービスの利用規約を確認する
利用するAIサービスの規約(特にデータポリシー)を必ず確認し、入力データがどのように扱われるかを把握しましょう。多くの法人向けサービスでは、入力データを学習に利用しない(オプトアウト)設定が可能です。
社内のセキュリティガイドラインを遵守する
会社でAI利用に関するルールが定められている場合は、そのガイドラインを必ず遵守してください。不明な点があれば、情報システム部門やセキュリティ担当者に確認することが不可欠です。
AI仕様書作成に関するよくある質問(FAQ)
AIを活用した仕様書作成に関して、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1. プロンプトはどのAIサービスで使えますか?
本記事で紹介したプロンプトは、ChatGPをはじめ、GoogleのGeminiやAnthropicのClaudeなど、高性能な大規模言語モデル(LLM)であれば同様に機能します。ただし、AIのモデルによって得意・不得意があるため、出力結果には差が生じます。
Q2. AIが生成した仕様書をそのまま使えますか?
いいえ、そのまま使うべきではありません。前述の通り、AIの生成物には事実誤認や文脈のズレが含まれる可能性があります。必ず人間が専門的な知見に基づいてレビューし、修正・追記を加えて完成させる必要があります。AIはあくまで「たたき台」を作成するアシスタントと捉えてください。
Q3. 仕様書作成に特化したAIツールはありますか?
汎用的な対話AI以外にも、ドキュメント作成を支援するAI機能は増えています。例えば、プロジェクト管理ツールのClickUp AIやドキュメントツールのNotion AIは、要件の整理やタスクの洗い出しといった仕様書作成に関連する業務を効率化する機能を備えています。
AI導入でお悩みの方へ
まとめ:AIを賢く活用し、仕様書作成を次のステージへ
本記事では、AIを活用した仕様書作成の具体的なプロセス、プロンプトのテンプレート、そして成功のための重要なポイントを網羅的に解説しました。
- AIは仕様書作成の強力な「アシスタント」であり、時間のかかる作業を大幅に効率化する。
- 成功の鍵は「事前情報の整理」「的確なプロンプト」「人間によるレビュー」という3ステップのプロセスにある。
- AIの出力を鵜呑みにせず、最終的な品質と責任は人間が負うという意識が不可欠。
- 機密情報を入力しないなど、セキュリティ対策を徹底することが企業利用の絶対条件。
AIを賢く活用することで、仕様書作成は単なるドキュメント作業から、より創造的で本質的な「価値設計」のプロセスへと進化します。この記事を参考に、あなたのプロジェクトにAIアシスタントを導入し、業務の効率化と品質向上を実現してください。









