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AIによってなくなる仕事、なくならない仕事をランキング形式で解説!

この記事のポイント

  • AIは特に情報収集やコミュニケーションといった「知識労働」タスクで活用が進んでいる
  • 代替されやすい仕事は、AIの得意分野(情報提供、問い合わせ応答など)とタスクが重なる職業
  • 通訳者、ライター、カスタマーサービスなどが代替されやすい一方、看護助手や配管工など物理的・対人ケア職は影響が少ない
  • AI時代になくならない仕事には、戦略的意思決定、高度な対人関係、0→1の創造性、身体性の4要素が重要
  • AIを使いこなす仕事、創り管理する仕事、人間的価値で勝負する仕事、AI社会を支える新しい仕事が増加する
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。


「AIによって自分の仕事がなくなるかもしれない…」そんな不安を感じていませんか?ChatGPTなどの急速な進化は、私たちの働き方に大きな変革をもたらそうとしています。
しかし、AIがもたらすのは脅威だけではありません。一部の仕事が代替される一方で、全く新しい仕事が生まれ、人間の役割も変化していきます。
本記事では、Microsoft Researchの最新データに基づき、AIと雇用の未来について徹底的に解説します。
AIに代替されやすい仕事の特徴、具体的な職業ランキング、そしてAI時代でも価値を発揮し続ける「なくならない仕事」の4要素、さらには今後需要が増える仕事まで、詳しくご紹介します。

「AIによって仕事が奪われる」は本当か?

「AIによって仕事が奪われる」という言葉は、昨今よく耳にするフレーズです。急速な進化を続けるAIは、私たちの社会に着実に普及しており、その影響は無視できません。

結論から言えば、AIによって一部の仕事が代替されることは、今後大いに起こりうるでしょう。

技術の進化と仕事の変化

この変化は、過去の技術革新の歴史を振り返ると理解しやすいかもしれません。かつて人々は徒歩で移動していましたが、馬車が登場し、やがて一家に一台の自動車が当たり前の時代になりました。

この過程で、飛脚や馬車の運転手といった仕事は新しい技術に取って代わられていきました。AIがもたらす変化も、これと同様の大きな構造転換と捉えることができます。

技術の進化と移動様式の変化
技術の進化と移動様式の変化

AI普及の現状と未来予測

AI市場は世界的に急成長しており、その影響は広範囲に及んでいます。

次の図は、Microsoftが発表した実際のAI利用データ(Microsoft Copilot)と、米国の労働市場全体の作業内容を比較したものです。AIがどのような領域で特に活用されているかが一目でわかります。

AIの利用実態と労働市場全体の比較
AIの利用実態(青・赤)と労働市場全体(灰色)の比較。情報収集(Getting Information)やコンピュータ作業(Working with Computers)など、知識労働に関する活動でAIが突出して利用されていることがわかる。(出典:Microsoft Research


この図が示すように、AIの活用は物理的な作業よりも、PC上で完結する「知識労働(ナレッジワーク)」に大きく偏っていることが分かります。

特に「情報収集」「情報解釈」「コミュニケーション」といった活動で、AIは労働市場の実態以上に活用されています。AIは特定の領域で人間の作業を強力に支援・代替するツールとして急速に普及しているのです。


AIによって代替されやすい仕事の特徴

AI、特に生成AIに代替されやすい仕事には、どのような共通点があるのでしょうか。前章で見た「知識労働への偏り」というマクロな傾向から、より具体的な業務の特徴へと掘り下げていきます。

AIが得意とするタスク

まず、以下の図は、AIとの対話で最も頻繁に見られる作業内容のトップ25を、ユーザーの目的(左)とAIの行動(右)に分けて示したものです。
AIが担う作業内容トップ25
最も頻度の高い作業内容。ユーザーは情報収集や執筆を目的とし(左)、AIは情報提供や問い合わせ応答といった行動で応えている(右)。(出典:Microsoft Research)


この図から、ユーザーは「情報の収集」や「文書の作成」をAIに求めているのに対し、AIは「問い合わせへの応答」や「情報提供」といったサービス提供者の役割を担っていることが分かります。

AIの役割分担:「支援」と「実行」の境界線

AIは全てのタスクを同じようにこなすわけではありません。以下の表は、AIが「支援」するタスクと、AI自身が「実行」するタスクの間にある、興味深い違いを示しています。

AIによる支援と実行の比較
AIが支援する作業と実行する作業の比較。物理的な活動や取引は「支援」が多く、他者へのトレーニングや助言は「実行」が多い。(出典:Microsoft Research)


この表が示すように、AIは物理的な活動(運動)や他者との取引(購入)といった現実世界でのタスクは「支援」するにとどまる一方、他者を「教える・訓練する」といった知識ベースのタスクはAI自身が「実行」する傾向が強いことがわかります。

これらのデータを踏まえると、代替されやすい仕事の特徴は以下の3点に集約されます。

タスクと職業の結びつき:AIはどのような仕事に影響を与えるか

では、AIが得意とするこれらのタスクは、具体的にどのような職業に大きな影響を与えるのでしょうか。論文の Figure 5 は、その関係性を見事に可視化しています。

AI影響度が高い職種と、その要因となる作業内容の関係性
AI影響度の高い職種とその要因となる作業内容の関係性。左の「作業」が右の「職業」のスコアにどう貢献しているかを示している。(出典:Microsoft Research)


この図を見ると、例えば「顧客への情報提供」や「問い合わせへの応答」といった作業が、「カスタマーサービス担当者」や「セールス担当者」のAI影響度を大きく押し上げていることが分かります。

このように、ある職業がAIに代替されやすいかどうかは、その職業を構成する個々の「タスク」が、どれだけAIの得意分野と重なっているかによって決まるのです。これが、AIによって代替されやすい仕事の最も本質的な特徴と言えるでしょう。


AIで「なくなる仕事」ランキング

前章では、AIが得意とするタスクが特定の職業に大きな影響を与える構造を解説しました。この章では、その分析に基づいた具体的な職業ランキングを、データと共に紹介していきます。

【Microsoft】AIによって大きく変わる職業トップ40

それでは具体的なランキングを、以下の表で確認してみましょう。これはAI適用可能性スコアという「①仕事との関連度」「②タスクの成功率」「③AIがカバーできる範囲」を総合的に評価した、信頼性の高い指標を元に作成されています。

AI適用可能性スコアが最も高い職業トップ40
AI適用可能性スコアが最も高い職業トップ40。スコアは、仕事との関連度(Coverage)、タスクの成功率(Cmpltn.)、AIがカバーできる範囲(Scope)を基に算出されている。(出典:Microsoft Research)


この表を見ると、1位の「通訳者・翻訳者」から始まり、ライター、カスタマーサービス担当者、さらには政治学者や数学者といった、言語能力や情報処理能力が中核となる多様な知識労働の職業が上位を占めていることが分かります。

【世界経済フォーラム】将来予測に基づくランキング

次に、世界経済フォーラムが予測する、今後5年間の雇用の未来を見ていきましょう。以下の図は、最も需要が減少する職業と、逆に最も成長する職業をまとめたものです。

2023年から2027年の間に最も成長する職業と、最も減少する職業
2023年から2027年にかけて最も成長が早い職業(左)と、最も急速に減少する職業(右)の予測。(出典:世界経済フォーラム)


この図が示すように、AIやデジタル化の影響を直接受ける事務職や窓口業務が減少する一方で、AIやサステナビリティといった新しい時代の要請に応える専門職が大きく成長すると予測されています。
これらのランキングは、AIがもたらす雇用の「破壊」と「創造」の両側面を浮き彫りにしています。


AI時代でも「なくならない仕事」とは

AIの進化は目覚ましいですが、人間の能力のすべてを代替できるわけではありません。では、AIの影響を受けにくい仕事にはどんな特徴があるのでしょうか。このセクションでは、まずデータからそのヒントを探り、最後に「人間にしかできない仕事」の4つの本質的な要素を導き出します。

ユーザー満足度データから見るAIの「限界」

なくならない仕事のヒントは、AI自身の「不得意」なことに隠されています。以下の図はは、実際のユーザー満足度からAIの得意・不得意を示したもので、非常に興味深い結果となっています。

ユーザー満足度から見るAIの得意・不得意
ユーザー満足度から見るAIの得意・不得意。文章作成(Write material)や情報調査(Research healthcare issues)の満足度は高い一方、データ分析(Analyze scientific data)やデザイン作成(Create visual designs)の満足度は低い傾向にある。(出典:Microsoft Research)


この図からも分かるように、現状のAIは「文章作成」や「情報調査」といった言語系のタスクでは高い満足度を得ている一方、「データ分析」や「ビジュアルデザイン」といったより専門的・創造的なタスクでは評価が低い傾向にあります。
この「AIの限界」こそが、人間が価値を発揮し続ける領域を示唆しています。

AIの影響を受けにくい職業ランキング

この「AIの限界」を示すデータは、AI適用可能性スコアが最も低かった職業のリストとも一致します。

AIによってなくならない仕事
AI適用可能性スコアが最も低い職業。看護助手、配管工、トラック運転手など、物理的な作業や対面でのケアが中心の職業が並ぶ。(出典:Microsoft Research)


この表から、物理的な作業や、現場での対人ケアが中心の職業は、現在のAIによる影響が極めて小さいことが分かります。

業界別に見るAIの影響が小さい分野

さらに、業界全体で見てみましょう。以下の表は、業界グループ別のAI適用可能性スコアをまとめたものです。

業界グループ別のAI適用可能性スコア
業界グループ別のAI適用可能性スコア。建設・採掘や医療サポート、農業といった分野は影響が小さいことがデータで示されている。(出典:Microsoft Research)

このデータからも、建設、医療サポート、農業といった、物理的な作業や高度な対人スキルが求められる業界では、AIの影響が限定的であることが裏付けられています。

データから導き出す「人間にしかできない仕事」の4要素

これらのデータを踏まえると、AIが不得意とし、今後も人間にしかできない価値を提供できる仕事には、4つの重要な要素があることがわかります。

① 複雑で戦略的な意思決定

AIは過去のデータに基づく最適化は得意ですが、前例のない状況や、倫理観・価値観が問われる複雑な利害関係の中での意思決定はできません。答えのない問いに対して責任ある決断を下す能力は人間にしかありません。

  • 具体例:
    経営者、事業開発責任者、コンサルタント、研究者、政治家、裁判官など。

② 高度な対人コミュニケーションと信頼関係の構築

仕事の多くは、論理だけでは動きません。相手の表情や声のトーン、場の空気を読み取り、共感を示しながら信頼関係を築く能力は、極めて人間的です。特に、相手の心に寄り添い、深いレベルでの納得感や安心感を与える仕事はAIには代替不可能です。

  • 具体例:
    医師、看護師、カウンセラー、教師、介護士、組織のマネージャー、トップセールスなど。

③ 創造性と「0→1」の非連続的な発想

AIが生み出すものは、基本的に学習データに基づいた「組み合わせ」や「再構成」です。既存の枠組みを破壊するような全く新しい概念、心を揺さぶる独創的なアート、世の中を変える革新的なビジネスモデルなどを無から生み出す「0→1」の創造性は、人間に固有の能力です。

  • 具体例:
    アーティスト、デザイナー、作曲家、起業家、基礎科学者など。

④ 身体性と現場での臨機応変な対応

現実世界での物理的な作業は、予測不能な事態の連続です。マニュアル通りにはいかない現場の状況を五感で察知し、身体を使って柔軟に対応する能力は、現在のロボット技術では実現が困難です。

  • 具体例:
    建設作業員、配管工、電気工事士、料理人、美容師、外科医、農家など。

AIによって「増える仕事」「新たに生まれる仕事」

AIは既存の仕事を代替する一方で、これまで存在しなかった新しい市場や役割を生み出し、雇用を創出する強力なエンジンでもあります。

これまでのデータ分析で、AIが「定型的な情報処理」や「知識の提供」を得意とすること、そして「戦略的な意思決定」や「高度な対人コミュニケーション」を苦手とすることが明らかになりました。このAIの得意・不得意こそが、今後どのような仕事が増えていくのかを予測する最大のヒントとなります。

ここでは、AIの特性を踏まえ、今後需要が拡大する仕事を4つのカテゴリーに分けて解説します。

① AIを使いこなし、生産性を爆発させる仕事

AIは、多くの知識労働者にとって仕事を奪う脅威ではなく、能力を拡張する「最強のツール」となります。AIに面倒な作業を任せ、人間はより創造的で戦略的な業務に集中することで、個人の生産性は飛躍的に向上します。

  • 具体例:
    • マーケター: AIに市場データの分析や広告文の草案作成を任せ、自身はブランド戦略やクリエイティブな企画立案に集中する。
    • プログラマー: AIに定型的なコード生成やデバッグを任せ、自身はより複雑なシステム設計やアーキテクチャの構築に集中する。
    • コンサルタント: AIに膨大な資料の要約や情報収集を任せ、自身はクライアントとの対話や本質的な課題解決に集中する。

② AIを創り、管理する仕事

AIという新しい産業そのものが、巨大な雇用を生み出します。AIを開発する側、そして社会に実装し、安定的に運用する側の仕事の需要は、今後も爆発的に増え続けます。

  • 具体例:
    • AIエンジニア/機械学習エンジニア: AIアルゴリズムやモデルそのものを開発する仕事。
    • データサイエンティスト: AIの学習に不可欠な高品質のデータを整備・分析する仕事。
    • MLOpsエンジニア: 開発されたAIモデルを、社会で安定的に運用・管理するための専門職。

③ AIにはできない「人間的な価値」で勝負する仕事

AIが平均的な知識労働を代替することで、逆に「AIには絶対にできないこと」の価値が相対的に高まります。「なくならない仕事」の章で解説した4要素(戦略性、対人関係、創造性、身体性)を極めた専門家は、より一層求められるようになります。

  • 具体例:
    • トップセールス/組織マネージャー: 複雑な人間関係を理解し、高い共感力でチームをまとめ、顧客との強固な信頼を築く。
    • クリエイティブディレクター: AIが生成した素材を使いこなしつつも、最終的には独自の感性で世界観を創造し、人の心を動かす。
    • 戦略コンサルタント: AIの分析結果を踏まえつつ、最終的には経営者として倫理観やビジョンに基づいた複雑な意思決定を行う。

④ AI社会を支える新しい仕事

最後に、AIが社会インフラとなることで、これまで存在しなかった全く新しい役割が生まれます。これらは、AIと人間社会が円滑に共存するための「調整役」とも言える職業です。

  • 具体例:
    • プロンプトエンジニア: AIから最高品質の出力を引き出すための「対話の達人」。
    • AI倫理専門家/AI監査人: AIの判断が公正かつ倫理的であるかを監視する「番人」。
    • AIインテグレーション・スペシャリスト: 企業の既存業務にAIを導入・統合する「橋渡し役」。
    • AIトレーナー: AIに専門知識や自然な対話を教え込む「教師」。

これらの新しい職業は、AI時代におけるキャリア形成の新たな可能性を示しています。

AI駆動開発


まとめ

本記事では、実際のAI利用データを含む複数の調査を基に、AIが雇用に与える多角的な影響を、理由と共に解説しました。

実利用データは、AIが特に知識労働やコミュニケーション業務で強力なツールとして活用されていることを示しています。自動化により一部の仕事が減少する一方で、AIを開発・活用する専門職や、AIの倫理を考えるといった全く新しい仕事が生まれています。

この変化の時代を生き抜くためには、AIにすべてを任せるのではなく、継続的な学びと適応能力、そしてAIにはない人間独自の強み(戦略性、共感力、創造性、身体性)を伸ばしていくことが不可欠です。個人、企業、政府が協力してAI時代の雇用問題に取り組み、AIを脅威ではなくパートナーとして活用することで、より豊かな社会を実現できるでしょう。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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