この記事のポイント
- この記事では、日本交通株式会社がIP無線システムからクラウドベースの「スマ配」システムに移行した点について詳細に説明しています。
- 革新的なCRMを基盤とした「スマ配」の導入により、オペレーターの処理能力が20%向上した事例が紹介されています。
監修者プロフィール
坂本将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
タクシー配車のあり方が大きく変わりつつある現代において、日本交通株式会社は既存のIP無線配車システムを革新し、「スマ配」というクラウドベースのシステムを導入しました。本記事では、その背景となるタクシー業界のデジタル化の必要性、以前のIP無線配車システムのリミット、そして新システム「スマ配」が実現する業務効率化と顧客満足度の向上について詳細に解説しています。Microsoft Azureを基盤とするCRMプラットフォーム、「All-Gather CRM V3」を活用したこの新システムは、オペレーターの処理能力を20%も向上させるなど、同社のサービス品質を大きく改善しました。
活用できるAIおよびDX導入事例を多様な業種でご紹介します。昨今のビジネス現場では、自社サービスに生成AIを活用する事例、自社効率性の向上の事例が多く報告されています。AIの導入の活用法は、業界ごとに異なり、採用されるシステムも多様です。
この記事を通して 「導入アイデア・あなたに使えるサービス・導入のポイント」 の参考になれば幸いです。弊社ではAI導入の最初の窓口としてAI総合研究所を運営しています。導入のお悩みはご気軽に弊社にご相談ください。
【導入事例概要】
日本交通株式会社の企業ロゴ
日本交通株式会社は、首都圏の交通インフラを支える大手タクシー企業です。スマートフォンアプリによる配車注文が普及する一方で、電話注文のニーズが根強い中、IP無線配車システムの更新を機に、クラウド上のCRMパッケージ「All-Gather CRM V3」を活用した革新的な無線配車システム「スマ配」を導入しました。これにより、オペレーターの処理件数が20%向上するなど、業務効率化と顧客満足度の向上に成功しています。
【導入の背景】
タクシー業界ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が高まり、スマートフォンによる配車注文が一般化しています。しかし電話による注文もまだ多く、その対応が必要でした。また、コロナ禍における作業環境の変化に対応するため、オペレーターの分散稼働が求められていました。これを受け日本交通は、従来のIP無線配車システムのサポート終了を契機にシステムのクラウド化を検討することになりました。
【元々の課題】
同社では、乗客のニーズに迅速に対応するため、長年高い完成度で運用されていたIP無線配車システムを利用していましたが、システムを支えるベンダーの撤退により更新が困難となっていました。またオンプレミス環境のためコロナ禍での分散稼働ができないという問題が生じていました。
【解決策】
日本交通はソリッドアドバンスの提案を受け、Microsoft Azure上に構築されたCRMプラットフォーム「All-Gather CRM V3」を活用し、「スマ配」という新たな無線配車システムを構築しました。このシステムでは、顧客情報の管理、乗務員との連携、配車指示などのCRM機能が活用されています。
All-Gather CRM V3を活用したスマ配
【効果】
「スマ配」の導入により、オペレーターの処理件数は前システムと比較して20%アップしました。顧客からの電話処理件数も以前より増加し、オペレーターおよび乗務員の意見を反映しやすくなりました。システムの拡張性と改修により社員の負荷が軽減されました。今後もシステムのブラッシュアップにより、フットワークが軽くなってほしいと期待が寄せられています。
スマ配利用の様子