製造業界におけるAIおよびデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入事例をご紹介します。
製造業界では、IoT(モノのインターネット)を活用したシステム、ロボット技術、ビッグデータの活用が多く報告されています。AIの導入方法は業界ごとに異なり、採用されるシステムも多岐にわたります。
この記事を通じて、 「導入アイデア・利用可能なサービス・導入のポイント」 の参考になれば幸いです。
弊社ではAI導入の最初の窓口としてAI総合研究所を運営しています。導入に関するお悩みは、ぜひ弊社にご相談ください。
導入事例概要
トヨタ、AIエージェントで開発スピード向上
トヨタ自動車は、生成AIエージェントシステム「O-Beya」を導入することで、新型車の開発スピードを大幅に向上させています。
O-Beyaは、エンジニアの知識を蓄積し、共有する仮想の大部屋を形成します。このシステムにより、多様な専門分野のエンジニアが24時間365日アクセス可能となり、AI技術を活用してより速く効率的な車両開発を実現しています。
導入の背景
自動車産業では、電気自動車や自動運転車などの新技術の導入が求められています。トヨタ自動車も例外ではなく、新型車の開発速度を上げるためにAI技術の導入を進めてきました。この背景には、ベテランエンジニアの大量定年退職が迫っており、知識の継承が喫緊の課題として挙がっていました。
元々の課題
トヨタ自動車では、新技術の導入に伴い、開発しなければならない項目が急増していました。バッテリーや充電設備、エンジン、トランスミッションなど、多岐にわたるハードウェアやソフトウェアの開発が求められました。一方で、ベテランエンジニアの知識を次世代にどう引き継ぐかという課題も抱えていました。
解決策
トヨタは、Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用してO-Beyaシステムを構築しました。
このシステムには、エンジン、バッテリー、振動、燃費性能など多岐にわたる9つのAIエージェントが実装されており、AI技術を用いて分野ごとの専門知識を提供します。このシステムにより、エンジニアは自身の質問に対し、複数のエキスパートから同時に回答を得ることができます。
さらに、Cosmos DB、Azure Functions、AI Searchなどを組み合わせて、単なるキーワード検索を超えた文脈理解を行うRetrieval-Augmented Generation (RAG)を構築し、より高度な情報検索を実現しました。
効果
O-Beyaシステムの導入により、約800人のエンジニアが毎月数百回もシステムを活用しており、新型車の開発速度が向上しました。特に、エンジニアが過去の設計データや最新の法規制情報、ベテランエンジニアの手書き文書を容易に検索・参照できるようになったことで、情報探しにかかる時間が大幅に短縮されました。
また、排出ガス測定機器の仕様など、詳細かつ正確な専門的回答を得ることで、技術開発の方向性を迅速に決定できるようになりました。これにより、トヨタのパワートレーン部門ではエンジン、トランスミッション、ドライブシャフトなど、生産に必要な全てのコンポーネントの開発をスムーズに行えるようになりました。
出典
Azureで実現するAIエージェント開発
AI総合研究所では、Microsoft Azureを活用したAIエージェントの設計、実装、PoC(概念実証)を包括的に支援しています。Microsoftの生成AIパートナーとして、最先端の技術と確かな知見を活かし、お客様のビジネス課題に最適なソリューションをご提案します。
そもそもAIエージェントとは?徹底的に解説したものはこちら。
AIエージェント導入のメリット
- 業務の効率化: 定型業務の自動化や迅速な意思決定を実現。
- カスタマーエクスペリエンスの向上: 自然な対話型AIによる顧客満足度の向上。
- イノベーションの創出: AIエージェントを活用した新しい価値の提供。
AIエージェントの活用例
- コンタクトセンターの自動化: お客様からの問い合わせ対応を24時間体制でサポート。
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