この記事のポイント
- 神戸に設立された「Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe」の活動と成果について紹介しています。。
- 国内外の企業やスタートアップが連携し、AIやIoTを駆使したイノベーションを推進しています。
- 川崎重工業はマイクロソフトと連携し、ロボティクス技術の開発に取り組んでおり、神戸ラボがそのハブとなっています。
- ユーハイムはAIオーブン「THEO」を開発し、菓子製造における新たな技術革新を目指しています。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
地域産業のイノベーションを加速させる新たな拠点として神戸に誕生した「Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe」が、開設から半年が経過し、その活動を本格化しています。
ラボでは、AIやIoTを駆使したプロジェクトを短期間で市場投入できるよう支援し、毎週のスプリント開発が行われるなど、技術開発の新たな場として期待が高まっています。
また、川崎重工業との連携やユーハイムが開発したAIオーブンなど、具体的な産業の事例を通して、神戸ラボがどのように企業の変革を促しているかを見ていきましょう。
Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe が開設半年、イノベーション創出に向けた活動を本格化
神戸市と連携して2023年10月に開設された「Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe」(神戸ラボ)が、開設から半年を迎えました。
3月21日に開催されたプレスツアーでは、これまでの活動や施設の運用状況などが紹介されました。神戸ラボは、AIやIoTを活用したイノベーションの創出と産業振興を目指す施設で、地域活性化にも貢献することが期待されています。
ツアーでは、地元企業の活用事例や、神戸市のイノベーションへの取り組みなども紹介されました。
国内外から高い関心、毎週開発が行われる神戸ラボ
神戸ラボの平井健裕所長は、開設以来、多方面から高い関心が寄せられていることを説明しました。これまでに90社を超える企業が訪れ、400名以上の人々が見学に訪れています。
また、ラボの利用申し込み件数は55件に上り、今年に入ってからは毎週のようにスプリント開発が実施されているとのこと。神戸ラボでは、企業や組織が運用したいAIやIoTを活用したプロジェクトを、アイデアからマーケットインまでの時間を月単位で加速させることができます。
マイクロソフトの専任技術者が1対1で個別にサポートしながら開発を行う体制が整えられています。
Microsoft 神戸ラボの利用状況
川崎重工業がロボティクス分野でマイクロソフトと連携
川崎重工業株式会社は、半世紀を超える産業用ロボットの歴史を持ち、ロボットソリューションを用いた労働力不足の解決策を探ってきました。
2022年からマイクロソフトとの協業を推進し、神戸ラボの誘致にも関わってきました。
現在は、インダストリアルメタバースの実現に向けた共創や、ソーシャルロボット「Nyokkey」に生成AIを組み込むプロジェクトに取り組んでいます。
技術開発本部副本部長の加賀谷博昭氏は、「神戸ラボがハブとなって、同じ課題を持つ開発企業やスタートアップ、アカデミアといろいろな協調ができるようにしたい」と述べました。
ロボティクス分野におけるMicrosoftと川崎重工業の連携
職人技とAIの融合が生んだバウムクーヘン専用AIオーブン
株式会社ユーハイムは、職人技のバウムクーヘンを焼ける小型のAIオーブン「THEO」を開発しました。代表取締役社長の河本英雄氏は、「地球の裏側にバウムクーヘンを届けたい」という思いから、このプロジェクトを始動させました。
THEOの開発には、Microsoft AI Co-Innovation Labの技術が活用されました。河本氏は、「菓子作り職人のフードテックであり、理想に近づけるために新しい道具を使うことに抵抗がないパティシエであったからこそ、AIとも親和性が高かった」と説明しました。
今後は、物流、レシピの著作権、販売方法でもDXを生み出すことに挑戦するとしています。
バウムクーヘン専用オーブン:THEOの開発指針
出典:Microsoft