この記事のポイント
この記事は、NVIDIAとAlphabetの子会社Intrinsicが進めるAI支援ロボット操作技術について述べています。
NVIDIAの「Isaac Manipulatorプラットフォーム技術」とIntrinsicのソフトウェアが統合され、ロボティクスの認識と意思決定能力が向上しています。
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監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
AIとロボティクスの可能性を広げる新たな技術が注目されています。
両社のコラボレーションにより、NVIDIAの「Isaac Manipulatorプラットフォーム技術」とIntrinsicの革新的なソフトウェアが組み合わさることで、ロボティクスの認識力や意思決定能力が大きく向上。
特にグラスピング技術の分野での革命が期待されます。この結びつきが今後の産業自動化にどのような変革をもたらすのか、その内容と展望について解説してまいります。
NVIDIAとIntrinsicのコラボレーションによるロボティクスの未来
2024年5月6日、シカゴで開催されたAutomateトレードショーにて、NVIDIAとAlphabet傘下のIntrinsicは、ロボティクス技術の進化に一石を投じるコラボレーションを発表しました。
この提携により、NVIDIAのAIと「Isaac Manipulatorプラットフォーム技術」がIntrinsicのソフトウェアと統合され、産業自動化の新たな価値を生み出しています。
AIを活用した基盤モデルの開発により、ロボットはこれまでにない認識と意思決定能力を実現し、特にロボティックグラスピングの分野で革新が期待されています。
IntrinsicのCEO、Wendy Tan Whiteは、このコラボレーションによって、開発コストの削減やエンドユーザーの柔軟性向上が可能になると述べており、産業界全体にとって大きな影響を与えることが予想されます。
左:従来のワークフロー / 右: NVIDEAのIsaac Manipulator技術
より良いロボットグリップを目指して: Isaac Manipulatorの役割
ロボットにおけるグラスピング(物を掴むこと)は、非常に重要なスキルですが、これまで多くの課題がありました。
しかし、NVIDIAのIsaac Manipulatorは、その問題を解決する可能性を秘めています。Isaac Manipulatorは、動的な操作タスクのためのモジュラーなGPU加速ライブラリであり、AIモデルトレーニングとタスクの再プログラミングを効率化します。
Intrinsicは、NVIDIA Omniverseプラットフォーム上のIsaac Simを使用して、グラスピングのための合成データを生成し、これを利用してTrumpf Machine Toolsの顧客向けプロトタイプを作成しました。
これにより、コストを削減しつつ、ロボットのグラスプポーズやロボットモーションを生成し、実際の作業環境での展開へと繋がります。
今後、このコラボレーションによって、より多くのロボティクスおよび自動化タスクが実現されることが期待されています。
Automateでのデモンストレーションと今後の展望
NVIDIAとIntrinsicは、Automateトレードショーにて、彼らのコラボレーションの成果を実際にデモンストレーションしました。
5月7日のセッションでは、NVIDIAのシニアリサーチサイエンティストAdithya MuraliとIntrinsicのチーフサイエンスオフィサーTorsten Kroegerが、スマートピックアンドプレース自動化のデモを披露しました。
このデモは、Intrinsicのロボティクスソリューション開発環境FlowstateとNVIDIAのIsaac Manipulatorを活用し、ロボティクスとAIの進歩を具体的に示すものです。参加者たちは、ロボティクス技術の最前線を垣間見ることができ、今後の産業への適用が期待されています。
このようなコラボレーションは、AIの力を借りてロボティクスの新たなステージへと進むことを示しており、産業界にとって革新的な変化をもたらすことでしょう。
出典:NVIDEA