この記事のポイント
- Runway Gen-3 alphaは画質、一貫性、精巧さが向上した最新の動画生成AIモデル
- Motion Brush、Director Mode、リップシンク、Image to Videoなどの主要機能を搭載
- プロンプト入力で動画を生成、カメラワークや詳細な指示が可能
- 有料プラン(Standard以上)で利用可能、クレジット制で追加購入も可能
- 商用利用可能だが、プランによってウォーターマークの有無や利用条件が異なる
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
AI技術の進化により、動画生成が簡単にできる時代が到来しました。
プロンプト入力で自由自在に動画を作成し、ビジネスシーンやクリエイティブな活動を支援するRunway Gen-3 alphaは、その最先端を走るツールです。
本記事では、その使い方から料金体系、さらに商用利用における注意点まで、幅広く解説を行います。最新の動画生成AIモデル「Runway Gen-3 alpha」の魅力を、Motion BrushやDirector Modeの改良、プロンプトの活用法など、具体的な機能紹介を交えながらご紹介していきます。
Runwayを利用してどのようにしてクリエイティブな世界を広げていけるか、この機会にチェック、お試ししてみてはいかがでしょうか。
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目次
Runway Gen-3とは
Runway Gen-3 は、Runway aiが発表した最先端の動画生成AIモデルです。
2世代目にあたるRunway Gen-2に比べて、Gen-3は動画の画質・一貫性・精巧さが大幅にパワーアップしています。
また、Runwayのメイン機能である「Motion Brush」や「Director Mode」にも改良が加えられており、より複雑なシーンの生成やシネマティックな動きなどに対応できるよう設計されています。
こちらはサンプルとして弊社が実際に生成した動画になります。
生成AI特有の破綻が全くなくなった訳ではありませんので、その部分も確認いただけたらと思います。
モーニングルーティーン動画サンプル
例えば、
- 4秒頃の顔の回転に対して顔が見えにくい
- 時計の部分
- その後のブラシを当てる箇所が耳に近い
- パンの横にある植物が浮いている
などが挙げられます。
Runway Gen-3の主な機能
Runway Gen-3の主な機能としては、以下の4つが挙げられます。
- 改良されたMotion Brush
- アートディレクション機能
- リップシンク
- Image to Video(画像から動画を生成)
プロンプトの作成のコツなど詳細を説明していますのでぜひご覧ください。
改良されたMotion Brush
Motion Brushとは、画面内の特定の箇所をブラシでこするように塗りつぶすことで、その範囲だけに動き(Motion)をつけることができる機能を指します。
以下の動画はRunway公式が「Gen-2」のMotion Brush機能を紹介する際に公開されたものです。
「Gen-3」ではこのMotion Brushの精度がより高度になった形でリリースされるようです。(記事公開時点ではMotion Brushの機能は実装されていませんのでご注意ください。20204.7.4)
イメージ動画
より詳細なアートディレクション機能
ディレクター・モード
「Gen-2」には「ディレクター・モード」という設定項目がありました。この項目を操作することで、生成された動画にダイナミックなカメラワークを付与することが可能になります。
ディレクター・モードの操作画面
上記画像における黄色い枠に囲った部分が「操作バー」です。これらを組み合わせることで、ビデオ内でのカメラの動き、強度、速度を操作できます。
一般的に、数多ある動画生成AIサービスでは、高画質でリアルな映像を出力してくれるものの、その映像がどのようなカメラワークを行うかは、細かくプロンプトで指定するしかありませんでした。
そのため、意図したカメラワークを行えず、ある種の偶然性に身を任せるような部分がありました。
しかしその一方で、「Runway」では「ディレクター・モード機能」があることで、生成される動画の「見せ方」に大きく介入できるようになります。
この「ディレクター・モード」は現在「Gen-2」のみ対応しており「Gen-3」では対応しておりませんが、今後のアップデートでは、「Gen-2」と比べてよりクオリティの高い「ディレクター・モード」が搭載されることが公式から予告されています。
プロンプトによる細かい制御
「Gen-3」は、現段階では「Text to video」のみ対応しています。これはつまり、文章から動画が生成されるということを指します。
そして、そのプロンプトを理解して、動画へと反映させる力がとても高いことで話題になっています。
Runway公式が公開しているプロンプトガイドラインでは、プロンプトのキーワードや構造など、効果的に動画を生成するためのプロンプトのコツが掲載されています。
項目 | 説明 | 例 |
---|---|---|
カメラの動き | カメラの動きやアングルについて説明します。 | 低角度静止ショット |
シーンの概要 | シーンの主要な内容を記述します。 | カメラがオレンジ色の服を着た女性を見上げるように角度をつけ、色鮮やかな植物が生い茂る熱帯雨林に立っています。 |
追加の詳細 | シーンの追加情報や特別な要素を記述します。 | 空は曇り、灰色です。 |
サンプルプロンプト
タイプ | プロンプト例 |
---|---|
シームレスなトランジション | 連続したハイパースピードFPV映像: カメラが氷河の峡谷をシームレスに飛び抜け、夢のような雲の風景へと移行します。 |
カメラの動き | 夜の発光する海: 夜の発光する生物が水中にいる。カメラは発光するクラゲのマクロクローズアップから始まり、その後、様々な発光色で照らされた海全体を星空の下で映し出します。カメラの動き:クラゲのマクロショットから始まり、ゆっくりと引いて上に移動し、発光する海を見せます。 |
テキストタイトルカード | 動的な動きのあるタイトル画面: シーンはカラフルなペンキで覆われた壁から始まります。突然、黒いペンキが壁に流れ、「Runway」という言葉を形成します。滴るペンキは詳細でテクスチャがあります。中央に配置され、優れたシネマティックライティングが施されています。 |
プロンプトキーワード
キーワードは、特定のスタイルを出力に反映させるために役立ちます。
キーワードがプロンプト全体と一貫していることを確認することで、その効果がより顕著になります。
シーンの種類 | キーワードの例 |
---|---|
クローズアップショット | 肌の質感、詳細なディテール |
ワイドショット | 環境の詳細、風景の広がり |
動的なシーン | ハイパースピード、シームレスなトランジション |
シネマティック | 劇的な照明、シネマティックライティング |
以下の画像は、URLへと飛んだ先のページのスクリーンショットです。
黒い線の枠の中で、「Keyword」に対してどのような「Output」が出力されるかの見本がたくさん載せられています。
プロンプトのキーワード - その⑴
プロンプトのキーワード - その⑵
リップシンク
gen-2に比べて、リップシンクも大幅に進化しています。
そもそもリップシンク(リップ・シンクロナイゼーションの略称)とは、「映像内の口元の動き」と、「流れている音声の言葉」が一致している状態のことを指します。
アップデート以前のGen-2の状態においても、リップシンクのクオリティは高かったと言えます。
しかしながら遠方の人物の口元だけを正確に動かしたり、横顔の状態にある人物の口元を動かすことは難しかったようです。
今回のアップデートでは、そういった障壁もクリアし、より質の高いリップシンクが実現されています。
これによって、動画生成AIだけで映画やMVなどを作成することも、より現実味を増してきていると言えます。
「リップシンク」の機能は、生成した動画の左下にあります。
リップシンクのボタン
「リップシンク」のボタンを選択すると、音の素材をどのようにつくるかの選択をすることができるようになります。
録音するか、テキストで音声を生成するか、音声ファイルを入力するか、の3択で音素材の選択ができます。
素材が用意でき次第、「Generate Lipsync」を選択することで、リップシンク動画が生成されます。
Image to Video
Runway gen3の最新アップデートとして、Gen-3 Alpha Image to Videoが登場しました。この新機能により、静止画から動画を生成することが可能になります。
通常の動画生成(Text to Image)と同様に、テキストプロンプトを追加することで、より詳細な指示を与えることも可能です。
➡️Imgage to videoの使い方
【主な特徴】
- 1280x768ピクセルの固定解像度で動画を生成
- 5秒または10秒の動画長を選択可能(デフォルトは10秒)
- 生成された動画へのリップシンク(口の動きの同期)機能
- 画像アップロード後のオプションテキストプロンプト入力
Today we are releasing Gen-3 Alpha Image to Video. This update allows you to use any image as the first frame of your video generation, either on its own or with a text prompt for additional guidance.
— Runway (@runwayml) July 29, 2024
Image to Video is major update that greatly improves the artistic control and… pic.twitter.com/OieDwMIspz
Runway Gen-2とRunway Gen-3の違い
以下は、Runwayの動画生成AIモデル「Gen-2」と「Gen-3 Alpha」の主な違い一覧です。
特徴/機能 | Runway Gen-2 | Runway Gen-3 Alpha |
---|---|---|
動画の長さ | 最大16秒 | 5秒~最大10秒 |
生成方法 | テキスト、画像、ビデオクリップから生成 | 現在はtext to videoのみ |
Motion Brush | 静止画の特定部分を動かす機能 | 改良されたMotion Brush機能 |
Director Mode | カメラの動きをシミュレートする機能 | 詳細なアートディレクション機能 |
インフラ | 記載なし | 大規模なマルチモーダルトレーニング用の新しいインフラ |
安全対策 | 記載なし | 改良された視覚的モデレーションシステム、C2PA証明標準 |
カスタマイズ | 記載なし | エンターテインメントやメディア業界向けのカスタムバージョン |
コントロールモード | Motion Brush、Director Mode | Motion Brush、Advanced Camera Controls、Director Mode |
現時点では、生成可能な動画の最大秒数ではGen-2に軍配が上がるものの、Gen3はより高品質な動画生成、複雑なシーンの変更、アートディレクション機能など、さまざまな改良が加えられています。
Runway Gen-3の使い方
ここからは実際に手を動かしながら「Runway Gen-3」の使い方を確認していきます。
まず、Runwayを使うにはアカウント登録が必要です。下記URLからRunwayのWebページへとアクセスし、ログインしましょう。
Runway公式ページ
ログインが完了すると、このようなページに案内されます。画面中央にある「Get started」を選択しましょう。
トップページ
「Get started」を選択すれば、動画生成画面へと遷移します。
下記画像にあるように、画面の機能は大きく3つの要素で成り立っています。
画面向かって一番左(1)では、「Prompt入力画面」「設定画面」などが選択でき、その選択が画面中央(2)に反映されます。一番右は、生成された動画が表示されるようになっています。
動画生成画面
画面中央のプロンプト欄に文章を入力していきましょう。ここでは、以下のプロンプトを入力しました。
Low angle static shot: The camera is angled up at a woman wearing all orange as she stands in a tropical rainforest with colorful flora. The dramatic sky is overcast and gray.
プロンプトの入力
ポイントはプロンプトの冒頭にカメラワークについての記述を置き、その後に、カメラを主語に、どのような光景が写っているのかを詳しく記載することです。
漠然としたプロンプトでとりあえず生成してみるのであれば話は別ですが、狙った動画を生成するにはある程度のプロンプトの具体性が必要になってきます。
下にあるように「4W1H」を意識すると作りやすいのでおすすめです。
・いつ
・どこで
・誰が
・何を
・どのように
Image to Videoの使い方
トップページ左側のツールバーから、「Text/Image to Video」を選択します。
2.次のような画面が出るので、使用したい画像をアップロード・選択します。
3.画像を選択したら、必要に応じてプロンプトを入力します。
加えて、生成する動画の秒数(5秒もしくは10秒)を選択します。
4.「Generate」ボタンを押すと、画面右側に動画が生成されます。
生成された動画は保存が可能です。
Runway Gen-3の料金
Runway Gen-3を利用するには、有料プランである「Standard」以上のプランに加入する必要があります。
各プラン | 料金 | クレジット/1ヶ月 | 特徴 | Gen3 Alphaの利用 |
---|---|---|---|---|
Feee | 0ドル | 125クレジット | 部分的なAI Magic Toolsへのアクセス。 クレジット数、エクスポートの解像度、ストレージ容量、 利用可能なプロジェクト数への制限。 |
× |
Standard | 15ドル | 625クレジット | 解像度の向上、作成したコンテンツに付随するロゴマークの削除、 100GBのアセット容量、無制限のビデオ編集プロジェクトなど |
⚪︎ |
Pro | 35ドル | 2250クレジット | 500GBのアセット、その他機能多数 | ⚪︎ |
Unlimited | 95ドル | 無制限 | プロプランの全機能に加えて、無制限のビデオ生成が可能、 その他機能多数 |
⚪︎ |
クレジットの消費量や、機能ごとの費用感については機能ごとのクレジット消費量をご覧ください。
決済方法の一覧
- クレジットカードまたはデビットカード
- Amazon Pay(アマゾンペイ)
- Apple Pay(アップルペイ)
- アリペイ
- Cash App Pay(現金払い)
- WeChatペイ
(参考:Runway)
クレジットの追加購入
「Standardプラン」および「Proプラン」では、「プランごとにあらかじめ付与されるクレジット(先述の料金表参考)」に加えて、1000クレジットあたり$10で追加購入が可能です。(Freeプランは不可)
追加クレジットの購入
機能ごとのクレジット消費量
それぞれのモデル(Gen-シリーズ)および、機能ごとのクレジット消費は以下の通りです。
実際に筆者がGen-3で動画を生成してみたところ、公式の記載通り10秒の動画で約100クレジットを消費する形でした。
Runway Gen-3の商用利用について
Runway Gen-3の商用利用は無料プランと有料プランで条件が異なり、著作権や責任の所在にも注意が必要です。
商用利用を含むすべての利用は、Runwayの利用規約に従う必要があります。利用規約に違反した場合、アカウントの停止や強制退会の可能性があるため、注意が必要です。
プラン別の利用条件
Runwayの全てのプラン(無料、Standard、Pro、Unlimited)で、生成または編集したコンテンツの商用利用が可能です。
ただし、ウォーターマークの有無に違いがあります。
【無料プラン】
生成されたコンテンツにRunwayのウォーターマークが付与されます。
【有料プラン】
ウォーターマークなしでコンテンツを生成・編集でき、商用利用が可能です。
著作権について
著作権に関しては、「ユーザー側が生成したコンテンツに対して著作権を保持」します。
ただし、Runwayも生成されたコンテンツに対して一定の権利を有します。具体的な権利の範囲は利用規約に定められています。著作権侵害に関する申し立ては、Runwayの著作権エージェントに連絡する必要があります。
【ユーザーの権利】
- 生成したコンテンツの著作権を保持
- 商用利用を含む自由な使用が可能
【Runwayの権利】
- コンテンツの所有権は主張しない
- AIモデルの改善のために、入力(プロンプト)と出力(ユーザーの生成物)を使用する権利あり
- 非独占的で広範な利用ライセンスを保有
エンタープライズプランの場合
組織が「Runway Enterprise Services」を利用する場合は、別途「Enterprise Services Termsが適用されます。
この条件は、通常の利用規約とは内容が異なる可能性があるため、確認が必要です。
Runway Gen-3を商用利用する際は、これらの点を十分に理解し、適切なプランを選択することが重要です。また、著作権や利用規約に関する疑問がある場合は、Runway社に直接問い合わせることをお勧めします。
まとめ
本記事では、最新の動画生成AIモデル「Runway Gen-3 alpha」について、その特徴や機能、使用方法を実際に試しながら紹介しました。
Gen-3は画質や一貫性が大幅に向上し、改良されたMotion Brushや詳細なアートディレクション機能を備えています。
動画生成AIは急速に進化しており、今後はクリエイティブな活動やビジネスでの活用がさらに広がると予想されます。
Runway Gen-3を通じて、AIによる動画生成の最前線を体験していただければ幸いです。