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Stable Diffusionとは?利用方法の一覧や使い方、料金体系を徹底解説!

この記事のポイント

  • Stable Diffusionは、テキストプロンプトから高品質な画像を生成するオープンソースのAI技術
  • 利用方法は主にWebサービス(Dream Studio, Mage.space等)とローカル/クラウド環境の2種類
  • Webサービスは手軽だが機能制限や有料プランがあり、ローカル環境は自由度が高いがPCスペックが必要
  • 料金は無料から月額制、クレジット購入制まで様々で、ローカル利用時は環境コストが発生
  • 商用利用は可能だが、利用サービスやモデルのライセンス、生成画像の内容に注意が必要
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

「画像生成AIを使ってみたいけど、Stable Diffusionって何?」「無料で使えるの?それとも有料?料金体系が複雑でよく分からない…」
そんな疑問を抱えていませんか?
Stable Diffusionは、テキストから驚くほど高品質な画像を生成できる強力なAIですが、その利用方法や料金については様々な選択肢があり、初心者には分かりにくいかもしれません。

本記事では、この「Stable Diffusion」について、その基本から料金体系、そして賢い使い方までを徹底的に解説します。
Webサービスでの手軽な利用法から、ローカル環境での本格的な活用、それぞれのメリット・デメリット、料金プラン、そして商用利用時の注意点まで、幅広く網羅的に説明します。

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Stable Diffusionとは

「Stable Diffusion」は、画像生成AIの一つです。画像生成AIとは、簡単に言えば、「AIに言葉(プロンプト)を与えるとそれに対応する画像が出力される仕組み」のことを指します。

例えば、「カフェでリモートワークを行う26歳 成人男性 独身」という言葉をAIに与えるだけで、下記のような高精度かつリアルな画像が生成できます。

このようにして入力する文章は「プロンプト」と呼ばれます。このプロンプトを上手く組みわせることで、ユーザーが望む画像を簡単に出力できる仕組みとなっています。

SD_Img.1
Stable Diffusionを使って作り出した画像

オープンソースとしてリリース

Stable Diffusionは、2022年8月にStability AI社によってオープンソースとしてリリースされました。

従来の画像生成AIは「クラウドサービスに依存する形」が主流で、利用料金も高額な場合が多く、個人で利用するにはハードルが高いものでした。
そのため、StableDiffusionのようにユーザー自身のPCで動作可能なモデルは、まさに画期的なイノベーションと言えます。

しかし、StableDiffusionはローカルPCで実行可能なものの、その計算負荷が大きすぎて一般的なPCでは動作が難しい場合があります。そこで登場したのが、「プロバイダー側のサーバー環境でStableDiffusionを動かし、Webアプリとしてユーザーに提供するサービス」です。
これらを利用すれば、ユーザーは自身のPCの性能に左右されることなく、Webブラウザから手軽にStableDiffusionを利用できるのです。

このようなWebアプリの登場により、「より多くのユーザーがAI画像生成の入り口に立てるようになった」と言えるでしょう。


Stable Diffusionの主な利用方法と料金概要

Stable Diffusionを利用するには、大きく分けて以下の2つの方法があり、それぞれ料金体系や準備の手間が異なります。

画像生成研修

1. Webサービスを利用する方法

  • 概要:
    ブラウザ上で手軽に利用開始でき、専門知識や高性能なPCは不要です。

  • 料金傾向:
    無料で試せるサービスが多いですが、生成枚数制限や機能制限があり、本格利用には有料プラン(月額制やクレジット購入制)が必要になることが一般的です。

  • 主なサービス例:
    Dream Studio, Mage.space, Hugging Face Demoなど。

2. ローカル環境(自身のPC)またはクラウド環境で利用する方法:

  • 概要:
    より高度なカスタマイズや無制限の画像生成が可能ですが、PCスペック(特にGPU)やある程度の知識が必要です。

  • 料金傾向:
    ローカル環境: Stable Diffusionのソフトウェア自体は無料ですが、高性能PCの初期投資や電気代がかかります。
    クラウド環境: Google Colaboratoryのような無料枠のあるサービスから、時間単位で高性能GPUをレンタルできる有料サービスまで様々です。

  • 代表的なツール:
    Stable Diffusion Web UI (AUTOMATIC1111版など)


以下の図は、これらの始め方の選択肢を示しています。
Stablediffusionの始め方マップ
Stable Diffusionの始め方マップ


これらの中から、予算や用途、技術スキルに応じてどの利用方法が最適かを検討していくことをおすすめします。
以降では、それぞれの方法について、より詳しく料金や使い方を見ていきましょう。


Stable Diffusionの料金と使い方:Webサービス編

企業が提供するStable Diffusionのサービスは多岐にわたります。ここでは主要なサービスを取り上げ、料金と基本的な使い方を解説します。
多くのサービスで無料利用枠が提供されているため、まずは試してみるのがおすすめです。

1. Dream Studio (Stability AI公式)

DreamStudio
DreamStudioのトップページ (参考:Dream Studio)

「Dream Studio」は、Stable Diffusionの開発元であるStability AI社が公式に提供するWebサービスです。商用利用も可能で、テーマや画像サイズ、出力する際の重みづけなど、画像生成時に詳細な設定が可能です。

  • 料金:
    アカウント登録時に無料クレジット(執筆時点では25クレジット、画像約125枚分に相当)が付与されます。これを超えて利用する場合は、追加でクレジットを購入(例: 10ドルで約500クレジット)する従量課金制です。

  • 特徴:
    公式サービスとしての信頼性、比較的詳細な設定項目。

Dream Studioの使い方

  1. まず、Dream Studioにアクセスします。初めての人は「サインアップ」、既に登録済みの人は「ログイン」を選択してください。
  2. 左上のプロンプトの欄に、英語で好きな文章を入力し、左下の「Dream」を選択すれば、画像が生成されます。

Dreamstudio_例.1
DreamStudio 操作画面


3. 画面一番右上のアイコンの横に、「クレジット数」の表示があります。この数値が0になると画像が生成できなくなり、追加料金が必要となります。
また、プロンプト入力欄の下部にある「Negative prompt」という項目で、「生成して欲しくない要素」を指定することができます。試しに「personal computer,mac,windows」というワードを入力し、生成された画像からパソコンを消してみましょう。

Dreamstudio_例.2
DreamStudio 出力例.1

  1. すると、このようにパソコンが消された画像が出力されました。
    そして、「Setting」の項目で生成する画像の細かい調整ができます。いくつかの項目を抜粋して概要を確認します。

Dreamstudio_例.3
DreamStudioのSetting機能

Dream Studioの詳細設定

  • アスペクト比の変更:
    一番上にある「1:1」などを操作することで、生成する画像のアスペクト比を変更できます。比率を変えると、クレジット消費数が多くなる場合があります。

  • 生成する枚数の変更:
    「Image count」の数値を上げれば上げるほど、一度に生成される画像の枚数は増えます。クレジット消費も増えるので注意しましょう。

  • Prompt strength:
    この数値を高くすればするほど、プロンプトに忠実に画像を生成しようとします。文章量が多い場合は、クオリティーが下がる場合があるので、基本的には「Auto」または中程度の値がおすすめです。

  • Generation steps:
    画像のサンプリングステップ数を設定できます。簡単に言えば「画像生成までに何回計算を繰り返すか」という数値です。数が高いほど細部まで描画されクオリティが上がりますが、生成時間とクレジット消費量が増加します。


Dream Studioは、「一通りStable Diffusionの機能を体験してみたい」「公式サービスで安心して使いたい」という方におすすめです。

2. Mage.space

Mage_top
Mage.spaceの操作画面 (参考:Mage.space)

Ollano社が運営する「Mage.space」も、無料でStable Diffusionの各種機能を利用でき、商用利用可能なサービスです。

  • 料金:
    基本無料(枚数制限なし、一部モデル制限あり)。有料プラン(月額15ドル~)では、より多くのモデル利用、高速生成、プライベートモードなどが提供されます。
    無料版では登録なしでも利用できますが、一定回数を超えると無料アカウント作成を求められることがあります。

  • 特徴:
    クレジット制ではない無料利用、直感的なインターフェース、他のユーザーの作品やプロンプトを閲覧可能。

Mage.spaceの使い方

Mage Spaceにアクセスすると、上記の操作画面に遷移します。

さっそくプロンプトを入力してみます。
|プロンプト
「A stylish woman walks down a Tokyo street filled with warm glowing neon and animated city signage.
She wears a black leather jacket, a long red dress, and black boots, and carries a black purse.
She wears sunglasses and red lipstick. She walks confidently and casually.
The street is damp and reflective, creating a mirror effect of the colorful lights. Many pedestrians walk about.」

Mage_prompt
Mage.space プロンプトの入力


すると、このような結果になりました。

Mage_results
Mage.space 出力例.1


生成した画像を保存するには、「Enhance」ボタンを選択します。すると、「Upscale + Face Fix」のボタンが出るので、そちらを選択します(一部有料機能の場合あり)。

Mage_results.1
Mage.space 画像の保存方法


画像の下にあるダウンロードボタンをクリックして、ダウンロード完了です。こちらで生成した画像は商用利用できます(利用規約を確認してください)。
「Enhance」ボタンの下に、「Return」「Remix」「ReImage」など、3つの選択肢があり、これらを操作することで出力された画像をさらに加工することができます。

例えば、「Remix」を押してから、プロンプト入力画面で「Cat」と入力すると、女性が猫に置き換わります。

Mage_results_cat
Mage.space Remix機能

また、Mage.spaceは「画像生成に利用するモデル」を変更することもできます。ここでのモデルの変更とは、簡単に言えば、画像のテイストを変えるというニュアンスです。各モデルごとに学習データが異なるため、同じプロンプトでも異なる出力結果が得られます。

Mage_model_model
Mage.space 各モデル


無料で使用することができるのは数種類ですが、有料版では、「特定のアニメ調で出力することが得意なモデル」や「特定の人間の顔を出力することが得意なモデル」など、より多くのモデルを使用できます。

3種類のモデルに対して、同じプロンプトを与えた結果が以下になります。

Mage_model transition
Mage.space モデルごとの出力事例


Stable diffusion v1.5は旧型で、Stable diffusion v2.1は新型のモデルであり、一般的に精度が向上しています。

Mage.spaceは、「無料で多くの画像を試したい」「様々なモデルを手軽に切り替えてみたい」という方に向いています。

3. Hugging Face (Stable Diffusion Demo)

Hugginfface_UI
Hugging Face Stable Diffusion 2.1 Demo 操作画面 (参考:Hugging Face)

AIモデルやデータセットの共有プラットフォームである「Hugging Face」でも、Stable Diffusionのデモ版が多数公開されています。Stability AI公式のデモなどがあります。

  • 料金: 多くは無料・登録不要で利用可能。

  • 特徴: 手軽に最新モデルのデモを試せる場合がある。ただし、機能は限定的で、生成速度や画像の品質は専用サービスに劣ることがあります。

Hugging Face (Stable Diffusion Demo) の使い方

  1. デモページ(例: Stable Diffusion 2.1 Demo)にアクセスします。
  2. 「Enter your prompt」と記載している部分に作りたい画像の元となる文章(プロンプト)を英語で入力します。
  3. 必要であれば、その下にある「Negative prompt」も入力します。
  4. 右横の 「Generate image」を選択すると、画像が生成されます。

4. Stable Diffusion Online

Stable Diffusion Online
Stable Diffusion Online (参考:Stable Diffusion online)

Stable Diffusion Onlineは、無料でStable Diffusionを利用できるWebサービスです。

  • 料金: アカウント登録時に「クレジット」が付与され、これを消費して画像を生成。クレジットは1日おきに更新されますが、上限を超えて生成したい場合は別途課金が必要です。

  • 特徴: 入門者向けでシンプルな操作性。ローカル環境での利用に比べて細かな設定はできず、カスタマイズ性は低いです。

Stable Diffusion Onlineは、「ひとまずStable Diffusionを使ってみたい」という初心者の方におすすめです。

5. Leonardo.Ai (旧 Leonaldo AI 表記箇所あり)

Leonardo.Ai
Leonardo.Aiのトップページ (参考:Leonardo.Ai)

「Leonardo.Ai」は、Stable Diffusionをベースとしつつ、独自の学習モデルや多彩な画像編集機能を搭載した高機能な画像生成プラットフォームです。

  • 料金: 登録時に無料トークンが付与され(毎日リセット)、その範囲内で画像生成が可能。より多くのトークンや高度な機能(画像の非公開化、新機能への優先アクセスなど)は有料プラン(月額10ドル~、年間契約で割引あり)で提供されます。
  • 特徴: 独自の高品質モデル、多彩な編集ツール、コミュニティ機能。
プラン名 料金(月額目安) 使用可能トークン数(月目安) 画像を非公開にする機能 新機能への優先的なアクセス権 同時実行ジョブ数
Free プラン 無料 1日あたり約150トークン × × 1
Apprentice 約$12 約8,500トークン 5
Artisan 約$30 約25,000トークン 10
Maestro 約$60 約60,000トークン 20
(料金やプラン内容は変動する可能性があるため、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください)

Leonardo.Aiは、高品質な画像を求めるクリエイターや、ゲームアセット制作など特定の用途で活用したい方におすすめです。


Stable Diffusionの料金と環境構築:ローカル・クラウド編

Webサービスの手軽さも魅力ですが、より自由度の高い画像生成や、枚数制限を気にせずに利用したい場合は、自身のPC(ローカル環境)やクラウド上の仮想マシンにStable Diffusionをセットアップする方法があります。

この場合、Stable Diffusionのソフトウェア自体は無料ですが、実行環境を用意するためのコストがかかります。特に高性能なGPU(グラフィックボード)が重要となり、これが初期投資の大部分を占めることがあります。

ローカル環境でStable Diffusionを動かす際によく使われるのが「Stable Diffusion Web UI」(AUTOMATIC1111版が有名)というGUIツールです。
これを利用すると、ブラウザ経由で比較的簡単に操作でき、無料かつ無制限で画像を生成できます。また、拡張機能によるカスタマイズ性も非常に高いのが特徴です。ただし、導入にはある程度のPC知識や環境設定の手間が必要です。

具体的なインストール方法や使い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎Stable Diffusion Web UI Forgeのインストール方法・使い方をわかりやすく解説

以下は、Stable Diffusionを快適に動作させるための推奨PCスペックの目安です。

種別 推奨スペック
PCの形態 デスクトップ型
OSの種類 Windows(64bit) (Linux, macOSも可)
CPUの性能 最新モデルのCore i5~Core i7、Ryzen 5~7相当
GPUの性能 NVIDIA RTX 30シリーズやRTX 40シリーズのVRAMが12GB以上
メモリ容量 16GB~32GB以上
ストレージ容量 512GB以上 (SSD推奨)


これらのスペックを満たすPCを既に持っている場合は追加コストは少ないですが、新規に購入する場合は数十万円の費用がかかることもあります。
自分のPCスペックが足りない場合や、初期投資を抑えたい場合は、クラウドサービスを利用して、必要な時だけ高性能な計算リソースをレンタルする方法も有効です。

以下では、そのようなクラウドサービスについて紹介していきます。

【無料・有料|Google Colaboratory (Colab)】

Googleが提供するクラウドサービスで、ブラウザからPythonコードを記述、実行できます。

無料版でもGPUを利用できますが、利用時間や割り当てられるGPUの種類に制限があります。長時間の利用や高性能なGPUを確実に使いたい場合は、有料版の「Colab Pro」や「Colab Pro+」へのアップグレードが必要です。
➡️Google Colab

【無料・有料|Paperspace Gradient】

Paperspaceは、AIと機械学習の開発に特化したクラウドコンピューティングプラットフォームです。Gradientはその中の一サービスで、ディープラーニングモデルのトレーニングと開発を容易にするためのツールとインフラを提供します。
また、Jupyterベースのノートブックインターフェースを通じてアクセスでき、高性能なGPUリソースをレンタルできます。無料枠もありますが、本格的な利用には有料プランが必要です。設定が少し複雑で、初心者の方にはハードルが高いかと思われます。

【有料|Vast.ai】

Vast.aiは、個人や企業がGPUリソースを共有し、レンタルすることができるマーケットプレイスを提供しています。「RTX4090」などのハイスペックなGPUを搭載した仮想PCがオンラインで1時間あたり数十円から提供されており、利用者はニーズに応じてGPUの種類や性能を選択し、時間単位でレンタルすることができます。
比較的安価に高性能GPUをレンタルできるというメリットがある一方、個人間のレンタルサービスである為にセキュリティリスクが無いとは言い切れません。

個人間でのレンタルということは、「GPUを使用するにあたっての処理が、ホスト側に筒抜けになる」ということになります。そのため、レンタル時には機密情報の取り扱いに注意しましょう。

【有料|GPUSOROBAN】

GPUSOROBANは、1時間50円から「RTX A4000級」のサーバーが利用できる日本のサービスです。通信料・ストレージの100GB分が無料で利用可能なため、ディスク容量と費用、ネットワーク費用などの従量課金について心配する必要がなく、予算が組みやすい点が特徴です。

【有料|さくらのクラウド】

さくらのクラウドは、日本の大手クラウド事業者であるさくらインターネットが提供するサービスです。2023年度にデジタル庁が募集した「ガバメントクラウド整備のためのクラウドサービス」に認定された実績があり(※最新の認定状況は公式サイトでご確認ください)、政府共通のクラウドサービスの利用環境として使用されていることから、セキュリティ面で信頼できるサービスと言えます。

初期費用をかけることなく、高性能なGPUをを1日単位で利用できることが特徴です。

各種クラウドサービスの整理

無料で手軽に始めたい場合は、Google Colabの無料枠がおすすめです。操作方法も比較的簡単で初心者でも扱いやすいでしょう。

より高性能なGPU機能が必要な場合や長時間の利用を考える場合は、Google Colabの有料版や、Vast.ai、GPUSOROBAN、さくらのクラウドなど、予算や必要なスペックに応じて多様な選択肢があります。それぞれの選択肢で料金計算が変わってくるので、それぞれの特徴から使用するサービスの判断をしましょう。

また、商用利用で機密情報を扱う場合は、さくらのクラウドなどセキュリティに信頼がおけるサービスを使用することを推奨します。


Stable Diffusionの出力精度を上げるポイント

前提として、Stable Diffusionはインターネット上の大量の画像データを学習しており、画像の生成はプロンプトを元にそのデータベースから行われます。人間でいうところの記憶のようなものです。
この時、プロンプトが与える情報の方向性(ベクトル)に対して、最も一致度が高いのはどのような画像かという観点で出力されるようになっています。

情報の方向性(ベクトル)について、「Mage.space」を使って確認していきましょう。

例えば、若者向けサービスの広告用に「男性の画像」が欲しいとします。
試しに「man」という**「情報の方向性」**を入力すれば、以下のように出力されます。

Mage.space_man
男性の画像.1

出力されたのは、マンガ風のタッチで描かれた白髪の白人男性です。
これでは若者向けの広告としては使えそうにありません。何故このような出力結果になったのかは、2つの理由が考えられます。

  1. 学習の偏り
    Stable DiffusionなどのAIモデルは、開発された地域や開発者がアクセスできるデータに基づいて学習されます。
    したがって、モデルが学習するデータが海外、特に開発者の国や地域のデータに偏っている場合、その影響がモデルの出力に反映される可能性があります。

  2. 情報の方向性の曖昧さ
    「man」という言葉には、「右を向いている男性」や「男性の全身雑」など、複数の可能性が同時に含まれています。
    そのため、「man」という抽象的な情報の方向性だけでは、狙ったポージングや表情、服装などの具体的な画像を出力させることが難しいです。


つまり、コンピューターにとっては、一つの言葉が、人間の思い描く一つのイメージや物体に対応することはありません。
AIにとって、言葉や文章は一定のベクトルとして理解されます。
つまり、「man」という情報は、多くの異なる意味を持つ可能性があり、その結果としてその意味が不明瞭になります。

次に、「Photo of a young Japanese man standing on the side of the road.(若い日本人男性が道端に立っている写真)」と入力してみます。

Mage.space_man2
 男性の画像.2


さきほどより良くなりましたね。
このように、「シンプルに一人の男性の画像を生成する場合」にも、情報の方向性を明確に定義する必要があります。

しかし、なんとなく自信がなさそうで、広告に使うにはまだ十分ではありません。

ここで発想を転換してみましょう。
「Street snapshot of a 20-year-old Japanese male(20歳の日本人男性のストリートスナップ)」と入力してみます。

Mage.space_man.3

先ほどに比べ、おしゃれでイケてる風の男性画像が生成されました。ここでは、プロンプトの内、何が有効に機能したのでしょうか?

それは「ストリートスナップ」という文言です。
「ストリートスナップ」は、ファッション性を目立たせるために、大半の写真が、全身像で、ファッショナブルなことが特徴です。
また、構図や背景が一定のリテラシーの元で構成されています。

つまり、「ストリートスナップ」という情報の方向性は、再現性が高いのです。

ここでの再現性は、「どのストリートスナップ」をみても、画像の見た目は似ているという意味です。
このように、画像の出力方法の仕組みを何となくでも理解しておけば、望んだ画像を入手しやすくなります。


Stable Diffusionの商用利用と注意点

Stable Diffusionは基本的に商用利用が可能ですが、使用するモデルやライセンス、利用方法によって条件が異なるため、いくつかの重要な注意点があります。

Webサービスの場合の商用利用と注意点

企業が提供するWebサービスを利用する場合、基本的に各サービスの利用規約に従います。
多くのサービスでは商用利用が認められていますが、無料プランでは制限があったり、有料プランでのみ許可されたりする場合があります。必ず各サービスの利用規約を確認しましょう。

例外として注意が必要なのは、「画像から画像を生成する場合(image to image)」です。AIに入力する元画像(素材)が他者の著作物である場合、それを元に生成した画像を商用利用すると著作権侵害にあたる可能性があります。例えば、「DreamStudio」や「Mage.space」はimage to image機能がありますが、使用する画像の著作権には十分注意が必要です。

ローカル環境の場合の商用利用と注意点

自身のPCやクラウド環境でStable Diffusionを利用する場合(特にStable Diffusion Web UIなどを使用する場合)は、以下の点に注意が必要です。

技術的な側面

Stable Diffusionの性能を最大限に引き出すには、適切なハードウェア(特に高性能GPU)とソフトウェアの設定が求められます。スペックの足りないPCで無理に動かそうとしても、動作が非常に遅かったり、エラーが発生したりすることがあります。

商用利用の側面(モデルのライセンス)

Stable Diffusionの基本的なオープンソースモデル(例: SD 1.5, SDXLなど)自体は比較的自由に商用利用できるライセンスが付与されていることが多いです。
しかし、ローカル環境では、他のユーザーが作成・公開している追加学習モデル(チェックポイント、LoRA、Textual Inversionなど)を組み合わせて使用することが一般的です。これらの追加モデルの中には、商用利用が認められていないものが存在することに十分注意してください。モデルをダウンロードする際には、CivitaiやHugging Faceなどの配布サイトで、各モデルに付与されているライセンス(例: 「creativeml-openrail-m」, 「fair-use」, 「personal-use-only」など)を必ず確認し、商用利用の可否を判断する必要があります。

生成する画像の内容に関する一般的な注意点

Webサービス利用、ローカル環境利用を問わず、生成する画像の内容については以下の点に注意が必要です。

  • 著作権: 実在するキャラクター、ブランドロゴ、芸術作品など、他者の著作物を模倣した画像を無断で商用利用することは著作権侵害のリスクがあります。
  • 肖像権・パブリシティ権: 実在の人物、特に有名人の画像を無許可で生成し、商用利用することは肖像権やパブリシティ権の侵害にあたる可能性があります。
  • 倫理的配慮: 誤情報、名誉毀損、差別的内容など、他者に危害を加えたり、社会的に問題のある画像の生成・利用は避けるべきです。

トラブルを避けるためには、利用規約やライセンスを事前にしっかりと確認し、著作権法や関連法規を遵守することが重要です。不明な場合は専門家に相談することも検討しましょう。

AI駆動開発


まとめ

この記事では、画像生成AI「Stable Diffusion」の概要から、主な利用方法(Webサービス、ローカル/クラウド環境)、それぞれの料金体系、主要なWebサービスの使い方、ローカル環境で利用する際の推奨スペックとクラウドサービスの選択肢、さらには出力精度を上げるためのプロンプトのコツ、そして商用利用する際の重要な注意点まで、幅広く解説してきました。

記事のポイントをまとめると、以下の通りです。

  • Stable Diffusionとは: テキストから高品質な画像を生成できるオープンソースのAI技術で、Webサービスやローカル環境で利用可能です。
  • 主な利用方法と料金:
    • Webサービス: 手軽に始められ、無料枠も多いですが、本格利用は有料プランが中心。本記事ではDream Studio, Mage.spaceなどの使い方と料金を紹介しました。
    • ローカル/クラウド環境: 自由度が高いですが、PCスペックや知識が必要。ソフトウェアは無料でも環境コストがかかります。Stable Diffusion Web UIが代表的なツールです。
  • 出力精度向上のコツ: プロンプトの具体性、効果的なキーワードの選択、情報の方向性の理解が重要です。
  • 商用利用と注意点: 基本的に可能ですが、利用するサービスやモデルのライセンス、生成する画像の内容(著作権、肖像権など)には十分な確認と配慮が必要です。


Stable Diffusionは、あなたの創造性を刺激し、アート制作からビジネス活用まで、新たな可能性を切り開く非常に強力なツールです。この記事が、あなたがStable Diffusionをより安全かつ効果的に利用するための一助となれば幸いです。

個々のサービス内容や料金プラン、各種モデルのライセンスは変更されることがありますので、利用前には必ず公式サイト等で最新の情報を確認するようにしてください。

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監修者
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