この記事のポイント
世界中で生成AI・RAG・エージェントを活用した新規事業が急増中
「業界特化×課題解決」に特化した具体的事例を20件厳選
各事例に対して多角的視点での成功要因を分析
PoCで止まらず実装・スケールフェーズへ進んだ共通要素を抽出
アイデアの創出・社内説得・外部パートナー選定まで実現支援のヒントも掲載

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
生成AIの登場は、ただのトレンドではありません。
いま、企業がAIを使って新たな価値を生み出す──つまり AIを起点とした新規事業を立ち上げる という選択は、経営や事業開発に携わる方にとって避けては通れないテーマとなりました。とはいえ、現場では次のような疑問や不安がつきまとうのも事実です。
* そもそも自社にAIで解決すべき課題があるのか?
* アイデアはあるが、どこから手をつけていいのか分からない
* PoC(概念実証)で終わらせず、どうスケールさせればよいのか?
このような悩みに直面している方へ──本記事では、「AI新規事業を本気で立ち上げたい企業担当者」の目線に立ち、構想・設計・技術選定・運用・事業化までを段階的に、かつ専門的に解説していきます。
実際の企業事例や技術構成にも踏み込みながら、読み終えたときに「自社でやるべきことがはっきり見えた」と思えることを目指して、 執筆しています。
目次
原則①:AIはあくまで“手段”、すべては「課題ファースト」で始まる
原則②:「何を使うか」より、「どう実装・運用するか」を設計する
原則④:拡張性と汎用性──AIが「学習しやすい形」になっているか
01. StackAI(米国)|ノーコードAIエージェント構築
02. JPMorgan Chase(米国)|営業支援エージェント(Coach AI)
03. MinterEllison(豪州)|AIによる訴訟文書レビュー支援
04. Perfect Corp(台湾)|AIによるスキンケア診断と商品提案
05. Artisan(米国)|営業用AIエージェント(BDR自動化)
06. Haemanthus(米国)|非侵襲型の健康診断AIシステム
07. Alice Technologies(デンマーク)|生成AIによる学習コンテンツ最適化
08. Persona AI(韓国)|造船業向けのヒューマノイドAIロボット
09. Swap(米国)|中堅ブランド向けEC物流最適化プラットフォーム
10. Neurofit(米国)|神経科学×AIのメンタルヘルス支援アプリ
11. Scalera(スイス)|建設業向けAI調達アシスタント
12. Mistral AI(フランス)|欧州企業向け業務チャットボット「Le Chat」
13. OptimHire(米国)|採用業務を自動化するAIリクルーター
14. Dash Bio(米国)|AI×ロボティクスによる臨床試験自動化
15. Synthesia(英国)|AIによる自動動画生成(Avataar Video)
16. Sarvam AI(インド)|インド初の国産LLM開発
17. SoundHound(米国)|音声AIエージェント「Amelia 7.0」
18. Burgerbots(米国)|ロボットによるファストフード自動調理
19. Alibaba(中国)|生成AIを活用したオンデマンド商品制作
AI新規事業とは何か
AI新規事業とは、人工知能の力を活用して、これまでにないサービス・業務・体験を設計し、事業として成立させていく営みです。
特に、近年の生成AI(ChatGPTやClaudeなど)は、人間の言葉を理解し、自然な文脈で情報を生成できるため、「知的業務の一部を代替するパートナー」として活用する道が急速に拓けています。
AI新規事業
この転換点において、「業務を効率化する」だけでなく、まったく新しいサービス体験や事業モデルを構想する企業が増えてきました。
AI総合研究所でもAIを活用して事業を立ち上げたいという相談を非常に多くご相談いただきます。
● 本質は「技術ありき」ではなく、「顧客課題ファースト」
失敗するAI導入の多くは、「生成AIが使えるらしい」→「社内で使ってみよう」→「特に使われない」という流れで終わってしまいます。
しかし成功している企業には共通点があります。それは、「顧客や現場の“解消されていない課題”を特定し、それに対してAIがどう応えられるかを逆算している」ことです。
つまり、「どのAIを使うか」ではなく、「なぜAIが必要なのか」を先に決める──ここが、新規事業の成否を分ける最初の分岐点です。
この記事では、そうした最初のハードル──「何を」「どう進めるか」が不明確な状況を整理し、構想から立ち上げ、そしてスケールまでの全体像を、段階的に紹介していきます。
AI新規事業を形にするために、最初に理解すべき5つの原則
AIを活用した新規事業に取り組む際、多くの企業が悩むのは「どうすれば技術を事業に昇華できるのか」という部分です。
ここでは、数多くの成功事例・失敗事例から見えてきた“立ち上げ初期に押さえるべき原則”を3つに絞って解説します。これはテンプレート的な方法論ではなく、自社の文脈に合わせて使える“思考の軸”です。
5つの原則
原則①:AIはあくまで“手段”、すべては「課題ファースト」で始まる
「ChatGPTを使ってみたい」「AIを導入すべきと言われた」──こうした動機からスタートしてしまうと、結果として「誰にも使われないツール」になりがちです。
成功する企業の多くは、技術の前に「解決すべき課題」が明確です。
たとえば、
- 社内の問い合わせが属人化している
- マニュアルが多すぎて業務引き継ぎが非効率
- 顧客対応に時間がかかってコア業務が後回しになっている
といった、現場の声を出発点に据えたプロジェクトは、精度も定着率も圧倒的に高い傾向があります。
原則②:「何を使うか」より、「どう実装・運用するか」を設計する
「GPT-4を使うべきか、Claude 3を使うべきか」といったモデル選定は確かに重要ですが、それ以上に問われるのは**「どのように社内外の業務と結びつけるか」**です。
- どの業務のどのステップにAIを挟むのか
- どこまでをAIが処理し、どこからを人が補完するのか
- 入出力の設計は現場にとって自然か
- 精度が足りない時のフォールバックはどう設計するか
こうした観点を抜きにして「モデルを変えれば解決する」と考えてしまうと、PoC(概念実証)段階から先に進まなくなります。
原則③:AI新規事業は「簡単なチャットボット」だけではない
生成AIというと、「社内ナレッジを読み込んでチャットボットにする」という構想をよく聞きます。もちろん、チャットボットには即時応答・ナレッジ活用の観点で優れた価値があります。
しかし、AI新規事業の本質は、単なるFAQ対応ではなく、“AIが価値の主体となる体験”をつくれるかどうかです。
- AIが営業資料を自動で構成する
- 法務契約のレビューを下書きする
- 工場設備の映像と音を統合的に判断し、異常を検知する
こうしたプロフェッショナル業務の“思考補助”や“判断支援”まで含めて、生成AIは単なるインターフェースではなく、価値そのものに進化しています。
原則④:拡張性と汎用性──AIが「学習しやすい形」になっているか
AIは「導入して終わり」ではありません。運用フェーズに入ってからこそ、継続的な改善=学習が可能かどうかが事業の成否を分けます。
- 入出力が構造化されているか?
- 学習ログやフィードバックを蓄積できる設計か?
- 新しいデータや業務変更に対応しやすい構成になっているか?
このような「AIが育ちやすい設計かどうか」は、目に見えづらいですが極めて本質的な視点です。
拡張性のある構成は、最初はシンプルでも後から横展開・高機能化がしやすく、事業としてスケールするための土台になります。
原則⑤:担当者が熱中できるテーマであること
最後の原則は、あえてとても人間的な要素です。
AI新規事業は、不確実性が高く、技術的な調整や組織調整、社内教育も必要です。つまり、簡単にはいかないことの連続です。
だからこそ、担当者が「そのテーマに本気で向き合いたいか、心から面白いと感じているか」は、実は成功確率に直結します。
- 自社のドメインに強い関心がある
- その業務の改善に思い入れがある
- 未来にこうなったら面白い、というビジョンを描ける
AI事業は「担当者の熱量」と「現場の巻き込み力」で決まる──そう言っても過言ではありません。
AIの新規事業例・事例20選【2025年最新】
生成AIの台頭により、AIは単なる業務支援ツールから「価値創出の主役」へと進化しています。ここでは、注目すべきAI新規事業20件を業界別にピックアップし、その構想背景・導入効果・成功要因を丁寧に分析します。自社に応用可能な発想を得るための“実践カタログ”としてご活用ください。
新規事業20選
01. StackAI(米国)|ノーコードAIエージェント構築
業界:自治体・保険・建設業界
事業概要: ノーコードでRAG型の業務エージェントを構築できるプラットフォーム。非エンジニアでも顧客対応や内部業務をAI化可能。ツール連携(Salesforce, Notionなど)により、特定業務フローを簡易に自動化。
コンサル分析: デジタル化が進みにくい業界にとって、ノーコードでAIを組み込める構造は導入障壁を大きく下げる。PoCフェーズを超えて社内定着・拡張へ進むには、社内データ整備とワークフローの組み込み設計が鍵。
02. JPMorgan Chase(米国)|営業支援エージェント(Coach AI)
業界:金融(富裕層営業)
事業概要: 富裕層顧客のポートフォリオや行動履歴に基づき、AIがパーソナライズされた投資提案を支援。生成AIを組み込んだ営業ダッシュボードにより、顧客の期待に即応する営業体制を構築。
コンサル分析: 顧客接点の高度化が求められる金融業界において、生成AIによる情報要約・パーソナライズ提案は差別化要因となる。重要なのは「人が判断を委ねすぎず、AIを判断補助にとどめるバランス設計」。
03. MinterEllison(豪州)|AIによる訴訟文書レビュー支援
業界:法律事務所・リーガルテック
事業概要: 大手法律事務所が自社開発した生成AI「Lantern」により、数千ページの訴訟資料を自動処理。人間のレビューと比較して58倍のスピードで関連文書を分類・要約。
コンサル分析: 法務業務は制度的・言語的に複雑だが、文書構造の明確さと精緻な言語処理の導入で実現可能性が高い。レビュー結果の解釈可能性を確保することで、AIの「補助的知能」としての地位が確立される。
04. Perfect Corp(台湾)|AIによるスキンケア診断と商品提案
業界:美容・リテール(EC/リアル店舗)
事業概要: 顧客の肌画像をもとにAIが状態を分析し、化粧品やスキンケア製品をレコメンド。Amazonミラノ店舗などに導入され、リアル店舗の接客を「自動かつ精度高く」代替。
コンサル分析: 美容業界は接客の質が売上に直結するが、AIによる視覚データ解析で高い一貫性と提案力を維持できる。購買行動の直前にAIを介入させるUI/UX設計が鍵。
05. Artisan(米国)|営業用AIエージェント(BDR自動化)
業界:SaaS・営業代行・スタートアップ
事業概要: AIエージェントがリード調査・提案書ドラフト・フォローアップメッセージの生成を担当し、営業担当の作業を大幅軽減。アウトバウンド営業の完全自動化に近づく。
コンサル分析: BtoB営業の初期接点構築において、LLMの言語生成能力を「スクリプト標準化」と「迅速化」の両面で活用。成果を出すには、商材ドメイン知識との統合精度が重要。
06. Haemanthus(米国)|非侵襲型の健康診断AIシステム
業界:医療テック・ヘルスケア
事業概要:
ラマン分光法(光を使った分子分析)とAIを組み合わせ、汗や唾液といった簡易なサンプルから健康状態を非侵襲的に診断。従来は採血が必要だった検査を、患者に優しい形で実現。
コンサル分析:
予防医療・遠隔医療の拡大により、侵襲性の低い検査は強いニーズがある。
ただし、医療分野でのAI導入は「科学的信頼性」と「規制準拠」が必要不可欠。
デバイス連携・クラウド処理・医師との役割分担設計など、実装には医療機関との継続的な共創体制が求められる。
07. Alice Technologies(デンマーク)|生成AIによる学習コンテンツ最適化
業界:EdTech・教育支援サービス
事業概要:
教科書や資料をAIが解析し、学習者ごとに最適化された教材(要約・フラッシュカード・クイズ等)を生成。学習進捗や理解度に応じた適応型レコメンドも搭載。
コンサル分析:
生成AIは“学習内容の再構成”に強みがあるため、教育現場でのカスタマイズ教材との相性が非常に高い。
教師の負担を減らしつつ、個別最適化という本質的価値を届けられる。
学校・塾との連携に加え、「保護者にどう価値を伝えるか」のコミュニケーション設計がスケールの鍵となる。
08. Persona AI(韓国)|造船業向けのヒューマノイドAIロボット
業界:製造・重工業・造船
事業概要:
韓国の造船大手HD現代と連携し、溶接・運搬などの現場作業を代替可能な人型ロボットを開発。安全性と柔軟性の両立を目指し、2027年の実用化を計画。
コンサル分析:
熟練工不足に悩む造船・建設分野では、AI+ロボティクスによる省人化ニーズが急速に高まっている。
導入には高コストが伴うが、安全対策費・採用難リスクを勘案すると、投資対効果は高い。
現場との協働性を意識した「人と共存する設計思想」が導入成功の分水嶺となる。
09. Swap(米国)|中堅ブランド向けEC物流最適化プラットフォーム
業界:EC・D2C・ロジスティクス
事業概要:
在庫管理、返品対応、追跡管理など、煩雑な物流オペレーションをAIで一元管理。特に年商500万〜1億ドルの成長フェーズ企業に特化してサービス展開。
コンサル分析:
急成長D2Cブランドにとって、物流はスケーリングのボトルネックとなる。
Swapは「人手不足」「ノウハウ欠如」に苦しむ中堅層に向け、属人化しがちな物流をSaaS化する発想で支持を集めた。
他社との差別化は、単なる自動化でなく“需要予測・返品理由分析”といった高度処理層にある。
10. Neurofit(米国)|神経科学×AIのメンタルヘルス支援アプリ
業界:ウェルネス・メンタルヘルステック
事業概要:
ユーザーのストレス・睡眠・集中状態などを計測し、AIが行動改善・セルフケアをガイド。40以上の言語に対応し、グローバル展開を進めている。
コンサル分析:
メンタル領域は「個別性が高いが相談しにくい」という特性から、パーソナライズと匿名性の両立にAIが非常に適している。
成功の鍵は“共感的UX”と“個別介入の精度”。
ヘルスケア系アプリとの差別化には、神経科学との裏付けと利用継続率の高さが必要。
11. Scalera(スイス)|建設業向けAI調達アシスタント
業界:建設・調達・建材流通
事業概要: Scaleraは、建設業界における入札・発注・材料調達の業務をAIで自動化するプラットフォーム。見積もり依頼、サプライヤー評価、資材の代替提案など、煩雑なバックオフィス処理を一元管理。
コンサル分析: 調達部門は非効率なExcel業務が多く、構造化された判断の自動化に向いている。現場ごとの予算制約・納期圧力にも対応できる柔軟設計がポイント。ERP連携を前提とした設計で、業界の“現実解”となり得る。
12. Mistral AI(フランス)|欧州企業向け業務チャットボット「Le Chat」
業界:情報システム・ナレッジマネジメント
事業概要: Mistral AIが開発した「Le Chat」は、企業内のGoogle DriveやSharePointと接続し、社内文書をAIが横断検索・回答する業務支援エージェント。UIはSlack/Teams連携が中心。
コンサル分析: RAG(検索拡張型生成)の典型例。欧州規制(GDPR)に準拠したローカルLLMで信頼性を獲得。社内導入の成功には、検索精度・更新反映性・ログ管理の3点が鍵。
13. OptimHire(米国)|採用業務を自動化するAIリクルーター
業界:人材・採用・HRテック
事業概要: 「OptimAI Recruiter」は、候補者スクリーニングから初回面接日程調整までをAIが自動対応。平均採用期間を3ヶ月→12日間に短縮。
コンサル分析: 採用業務は“基準化しやすいが時間がかかる”業務の代表例。候補者との対話UXが自然であることが、定着率や応募体験に直結する。公平性の担保とアルゴリズム透明性は導入における前提条件。
14. Dash Bio(米国)|AI×ロボティクスによる臨床試験自動化
業界:製薬・バイオテック・臨床開発
事業概要: Dash Bioは、臨床試験におけるサンプル処理やバイオ分析をAIで自動化。試験準備に必要な期間を数ヶ月→数週間へと短縮し、精度も向上。
コンサル分析: 製薬の臨床工程はコスト・時間・人手すべてがボトルネック。人間に頼らざるを得なかった“判断の精度”をAIが代替できれば、治験フェーズ短縮に直結する。規制対応(FDA, EMA)をどう担保するかが事業継続性の焦点。
15. Synthesia(英国)|AIによる自動動画生成(Avataar Video)
業界:マーケティング・教育・社内研修
事業概要: テキスト入力からAIが動画を自動生成し、アバターがプレゼン形式で話す。研修コンテンツ・社内報・マニュアル化などに活用されており、既に100社以上が採用。
コンサル分析: 動画制作コストを劇的に下げられるため、LMS(学習管理システム)との連携やeラーニング分野での導入余地が大きい。ブランド声質・口調調整など、企業文化との親和性が導入の決め手。
16. Sarvam AI(インド)|インド初の国産LLM開発
業界:政府・基盤モデル・公共政策
事業概要: Sarvam AIは、インド政府主導の「IndiaAI Mission」の一環として、インド国内インフラで動作する多言語対応のLLM(大規模言語モデル)を開発。UIDAI(インド固有ID)と連携し、公共窓口対応や音声認証の高度化を目指す。
コンサル分析: 地域特化型LLMは「文化」「言語」「制度」に密着できる点で極めて戦略的。インドのような多言語国家では国産AIの必要性が高く、行政・金融・教育と広範な応用が見込める。言語資源・法制度との整合性が成功の鍵。
17. SoundHound(米国)|音声AIエージェント「Amelia 7.0」
業界:カスタマーサポート・スマートデバイス
事業概要: SoundHoundの「Amelia 7.0」は、対話型の音声AIエージェントで、電話対応、IVR(自動音声応答)、車載アシスタントなどに組み込み可能。企業の問い合わせ処理を効率化し、マルチターン会話にも対応。
コンサル分析: 音声UIは視覚に頼れない環境(運転中・高齢者支援)で重要性が高い。SoundHoundは汎用対話モデルに音声チューニングを加えており、誤認識対策が進んでいる。活用効果は「定型率の高いFAQ業務」ほど顕著に表れる。
18. Burgerbots(米国)|ロボットによるファストフード自動調理
業界:外食・飲食自動化・人手不足対策
事業概要: カリフォルニアの店舗で導入された「Burgerbot」は、27秒でハンバーガーを自動調理するロボット。注文状況に応じて焼成・組立・梱包まで実行し、労働コスト削減と品質の均一化を実現。
コンサル分析: 飲食業界では賃金上昇・人材確保の難化から、自動化は不可避の流れ。成功の鍵は「スピード・衛生・味の一貫性」。その意味で、同社は“業務単位ごとに切り出してAI+ロボで置換”するモデルとして参考になる。
19. Alibaba(中国)|生成AIを活用したオンデマンド商品制作
業界:Eコマース・D2C・ファッション
事業概要: Alibabaは、テキスト入力から画像生成し、実物の製品デザインに転用する「AI商品生成エンジン」を開発。ユーザーが商品ページを閲覧→注文→工場で製造というオンデマンド体制を構築。
コンサル分析: 「在庫ゼロ・試作不要」というD2C最適モデル。成功の背景には、商品デザイン精度+生産ネットワークとの統合基盤がある。ブランド側は“売れるデザインかどうか”を検証するためのAI分析とも組み合わせるべき。
20. Salesforce(米国)|エージェント型AI「Agentforce」によるサポート再編
業界:CRM・SaaS・エンタープライズIT
事業概要: Salesforceは、顧客対応の自動化を推進するAI「Agentforce」を導入。問い合わせの84%をAIが一次対応し、2,000名のカスタマーサポート要員を再配置。自然言語理解+CRM連携によって高度な対話対応が可能に。
コンサル分析: CRM×AIの完成形に近い。Salesforceの強みは「顧客文脈+業務履歴」が蓄積された基盤との組み合わせであり、エージェントの“記憶力”が違う。人間の関与をどこに残すかがUX設計の最終判断軸となる。
アイデアの作り方と実現の仕方
ここまで紹介してきた20の事例からわかるように、AI新規事業の着想は「現場の課題」や「業界固有の非効率」から始まります。
- 業務の中で繰り返しが多い部分はないか?
- 属人化していたナレッジが形式知化できるか?
- 顧客やユーザーとのインターフェースを変えられないか?
このような視点からユースケースを洗い出し、それに最適なAI技術(生成AI、RAG、エージェントなど)を掛け合わせて構想を磨いていくことが重要です。
さらに、PoC(概念実証)から本番運用、スケールフェーズまでを見据えた「体制設計」と「継続改善」の構造がなければ、事業化は困難です。
ご相談はAI総合研究所へ
ご相談はAI総合研究所へ
AI総合研究所では、事業会社様の課題に寄り添いながら、生成AIを活用した新規事業の企画・構想・実装支援を一気通貫で行っています。業界理解に強いチームとともに、PoC支援・ベンダー選定・評価体制の設計まで幅広く対応しています。
「アイデアはあるが実現の道筋が見えない」「自社に合った生成AI活用が知りたい」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。
まとめ
本記事では、業界を超えて実際に展開されている20のAI新規事業を取り上げ、それぞれの構想意図・実装手法・多角的な視点からの成功要因を分析しました。
生成AI・エージェント・RAG・ロボティクス──
どの技術も“事業価値のための選択肢”でしかありません。
大切なのは、自社ならではの文脈に根ざした**「課題 × 解決技術 × 実装体制」**の三位一体です。
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アイデアの壁出しからパートナー選定・PoC・導入体制の整備まで、AI総合研究所が伴走支援いたします。
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