この記事のポイント
- ChatGPTと従来のチャットボットの違いについて詳しく解説しています。
- ChatGPTは自然言語処理技術を基盤とするAIベースのチャットボットで、一方的な応答ではなく対話形式で自然なやり取りが可能です。
- 一般的なチャットボットは、ルールベースの応答や特定のタスクの自動化に適しています。
- 企業ではChatGPTを使って社内情報検索システムを導入したり、自動ニュース配信を行う事例があります。
- チャットボットも保険診断サービスや社内問い合わせ対応の効率化など、幅広く利用されています。
監修者プロフィール
坂本 将磨
ChatGPTとチャットボットの違いが曖昧な方も多いのではないでしょうか。
本記事では、これらの違いを具体的に説明し、ビジネスや日常生活でそれぞれのチャットボットを効果的に活用する方法を提案します。また、企業がChatGPTや従来のチャットボットを実際にどのように利用しているのかを、事例を交えて紹介していきます。
ChatGPTと従来のチャットボットの特性を理解し、適材適所で使い分けることで、コミュニケーションの効率化やサービスの向上につなげることができるでしょう。
本記事が、読者の皆様にとって、チャットボットの活用の幅を広げる一助となれば幸いです。
最新モデル、OpenAI o1(o1-preview)について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください⬇️
OpenAI o1(ChatGPT o1)とは?その特徴や使い方、料金体系を徹底解説!
ChatGPTとチャットボットの違いとは
ChatGPTとチャットボットは、どちらもユーザーとの対話を通じて情報提供や問題解決を行うプログラムですが、その特徴や能力には大きな違いがあります。
以下は、それぞれの違いをわかりやすくまとめた表です。
項目 | GPT | チャットボット |
---|---|---|
定義 | OpenAIによって開発された、自然言語処理技術 を基盤とするAIチャットボット。 |
テキストや音声入力を通じてユーザーと 対話するプログラム。 |
活用例 | 文章作成、情報提供、教育的質問への応答、エンターテインメントなど、高度な自然言語処理を必要とする用途。 | カスタマーサポート、FAQの自動回答、シンプルなタスクの自動化など、幅広い 用途に利用可能。 |
関係性 | ChatGPTは、高度なAI技術を利用した チャットボットの一種。 |
チャットボットは、シンプルなルールベースの ものから、ChatGPTのような高度なAIを利用したものまで、多様な形態を含む広いカテゴリー。 |
ChatGPTは、チャットボットの一形態であり、特に自然言語処理における先進的な技術を活用することで、より自然で人間らしい対話を実現しています。
一方、チャットボットは、その用途や複雑さに応じて多様な形態が存在し、ChatGPTのようなAI技術を取り入れることで、その能力を大幅に拡張しています。
ChatGPT
ChatGPTは、2022年11月にOpenAIが開発した、自然言語処理(NLP)技術を基盤とした高度なチャットボットです。
膨大なテキストデータを学習することで、質問に対する答えを生成したり、文脈を理解した自然な会話を行ったりすることができます。
文章作成、情報提供、教育的質問への回答、エンターテインメントの提供など、幅広い用途に活用できます。ただし、リアルタイムの情報更新や個人情報に基づいた応答は苦手としています。
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チャットボット
チャットボットは、テキストや音声入力を通じてユーザーと対話するプログラムの総称です。シンプルなルールベースのものから、AIを利用した高度なものまで、さまざまな形態が存在します。
主な用途は、カスタマーサポート、FAQの自動回答、簡単なタスクの自動化などで、効率化とアクセシビリティの向上を目的としています。
ただし、複雑な文脈の理解や創造的なコンテンツ生成は、高度なAIチャットボットでない限り難しい場合があります。
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ChatGPTとチャットボットの使い分け
ChatGPTと一般的なチャットボットがそれぞれ得意な項目について見ていきましょう。
項目 | ChatGPT | チャットボット |
---|---|---|
自然な文章や音声での要約・翻訳 | ◎ | △ |
計算問題・クイズ・ソースコードなどの作成・回答 | ◎ | × |
アイデアの創出や創造的なタスク | ◎ | × |
広範囲のトピックにわたる質問への回答 | ◎ | △ |
感情的なサポートやユーザーの気持ちを理解する対話 | ○ | △ |
特定の商品やサービスに関する案内・質問への回答や問い合わせ対応 | △ | ◎ |
アンケートや調査の実施 | △ | ◎ |
シンプルなタスクの自動化 | △ | ◎ |
ルールベースの応答 | △ | ◎ |
上記の表は、ChatGPTと一般的なチャットボットの得意分野を比較したものです。
ChatGPTは、自然言語処理における高度なタスク、例えば要約、翻訳、複雑な質問への回答、創造的なアイデア生成などに非常に優れています。
一方、一般的なチャットボットは、特定の商品やサービスに関する案内、問い合わせ対応、アンケートや調査の実施、シンプルなタスクの自動化、ルールベースの応答など、予め定義された範囲内での対応に特化しています。
両者の違いは、設計と目的に基づいています。ChatGPTは汎用的な自然言語処理AIとして開発されたのに対し、一般的なチャットボットは特定の用途に特化しているのです。
したがって、ユーザーや企業は、自分たちのニーズや目的に合わせてChatGPTとチャットボットを使い分けることが重要です。
ChatGPTの活用事例
ChatGPTは、その高度な自然言語処理能力により、様々な業界で企業の業務効率化や顧客サービスの向上に貢献しています。
ここでは、ChatGPTを導入し、その恩恵を受けている企業の事例をいくつか紹介します。
【GMOペパボ】ChatGPTを活用したマーケティング支援
GMOペパボ株式会社は、同社が提供するEC関連の3サービス(カラーミーショップ、SUZURI、minne)において、AI(ChatGPT)を活用したマーケティング支援機能の提供を開始しました。
この新機能は、出品者が商品説明文を作成する際に、ChatGPTを用いて適切な説明文を自動生成することで、出品者の作業負担を軽減し、より効果的な商品アピールを可能にします。
具体的には、商品画像をアップロードすると、AIが画像を分析し、商品の特徴や利点を捉えた説明文を提案してくれます。
GMOペパボでは、今回の取り組みを皮切りに、AIテクノロジーを活用した研究・開発をさらに加速させていく方針です。
参考:GMOペパボ
【ライブドアニュース】ChatGPTによる自動ニュース配信
ライブドアニュースは、最新のAI技術であるChatGPTと自動音声技術を駆使した、革新的な24時間ニュース配信サービスを開始します。このサービスの大きな特徴は、VTuber(バーチャルYouTuber)のキャラクター「速見」をニュースキャスターとして起用していることです。
「速見」は、許諾を得たニュース記事を自動で選定し、音声読み上げと動画配信を通じて、視聴者に最新のニュースを届けます。この取り組みは、デジタルネイティブ世代をターゲットに、彼らに親和性の高いVTuber文化を取り入れることで、ニュース配信の新しい形を提案するものです。
このサービスは、ニュース配信の24時間化を実現するだけでなく、視聴者にとって親しみやすく engaging(魅力的)なコンテンツを提供することを目指しています。
参考:PR TIMES
上記で紹介した事例以外にも、医療、金融、クリエイティブ産業など、様々な分野でChatGPTの活用が広がっています。
詳しくは以下の記事で50の活用事例を紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
➡️ChatGPTの活用事例50選!企業や自治体、教育現場での例を徹底解説!
チャットボットの活用事例
従来のチャットボットも、企業のカスタマーサポートや業務効率化に大きな役割を果たしています。
ここでは、チャットボットを導入し、顧客満足度の向上やコスト削減を実現した企業の成功事例を紹介します。
【SHIBUYA109】LINE上で動く自動接客ツール
株式会社FANATICは、LINE上で動作する自動接客ツール「WazzUp!」の提供を開始し、第一弾としてSHIBUYA109に導入されました。
WazzUp!は、AIを活用した自動応答機能により、店舗の基本情報から商品の在庫状況、コーディネート提案まで、幅広い質問に24時間365日対応可能です。ユーザーはLINEでSHIBUYA109の公式アカウントと友だちになるだけで、気軽に店舗スタッフとのコミュニケーションを楽しめます。
SHIBUYA109では、WazzUp!の導入により、店舗スタッフの業務負担を軽減しつつ、若者に浸透しているLINEを通じてユーザーとの接点を強化しています。
参考:PR TIMES
【ライフネット生命株式会社】保険相談と保険料見積もりサービス
トランスコスモス株式会社は、ライフネット生命保険株式会社に対し、LINEおよびFacebook Messengerを利用した自動応答による保険診断と保険料見積りサービスを提供しています。
このサービスでは、ユーザーがLINEやFacebook Messengerを通じて簡単な質問に答えるだけで、AIが自動的に保険の診断を行い、最適な保険プランと保険料の見積りを提示します。
従来、保険の選択には専門知識が必要で、時間もかかるものでしたが、このサービスを利用することで、ユーザーは手軽に自分に合った保険を見つけることができます。
ライフネット生命保険は、このサービスの導入により、特に若年層のユーザーから高い支持を得ており、保険加入へのハードルを下げることに成功しています。
参考:PR TIMES
AIチャットボットの活用事例
ここでは、企業がAIチャットボットを導入し、業務効率化や顧客満足度の向上を実現している事例をいくつか紹介します。
【江崎グリコ株式会社】社内問い合わせの効率化
Allganize Japan株式会社は、江崎グリコ株式会社のグループ会社における社内問い合わせ対応の効率化を、同社のAIチャットボット「Alli」を用いて支援しています。
Glicoグループでは、グループ全体で「すこやかな毎日、ゆたかな人生」をミッションとして掲げており、社内業務の効率化や従業員のサポートにも力を入れています。しかし、問い合わせ対応に多くの時間を割かれ、業務の生産性が低下するという課題を抱えていました。
そこで導入されたのが、Allganizeが提供するAIチャットボット「Alli」です。Alliは、自然言語処理技術を用いて、従業員からの問い合わせ内容を理解し、適切な回答を自動的に提供します。
これにより、問い合わせ対応にかかる時間を大幅に短縮することができます。
Alliの導入により、Glicoグループでは問い合わせ件数を毎月約30%以上削減することに成功しました。また、非システム部門でもFAQのタイムリーな更新が可能になり、従業員が自己解決型の問題解決を行う文化が醸成されつつあります。
参考:PR TIMES
【阪神電車】生成AI搭載のアバター接客
株式会社ティファナ・ドットコムは、阪神電車の神戸三宮駅に、生成AI搭載のアバター接客「AIさくらさん」を導入しました。これは神戸エリアでの初の取り組みです。
「AIさくらさん」は、駅員の業務負担を軽減し、利用客のサポートを強化するために開発されました。先進的なAI技術を用いて、利用客からの質問に24時間365日対応可能で、乗り換え案内や観光情報の提供、施設の案内など、幅広い内容に対応します。
アバターには、日本的な美しさを感じさせる「さくら」という名前が付けられ、親しみやすいキャラクターデザインが採用されています。利用客は、AIさくらさんとの対話を通じて、駅員とのコミュニケーションを疑似的に体験することができます。
神戸三宮駅では、AIさくらさんの導入により、駅員の業務効率化と利用客の満足度向上を図っています。
特に、観光客が多く訪れる神戸エリアにおいて、AIさくらさんは多言語対応も可能なため、外国人観光客のサポートにも大きく貢献すると期待されています。
参考:PR TIMES
まとめ
この記事では、ChatGPTと従来のチャットボットの違い、その活用事例について解説しました。
ChatGPTは、高度な自然言語処理技術を用いて、文脈を理解し、自然で人間らしい対話を生成することができます。
一方、従来のチャットボットは、シンプルなルールベースの応答から、AIを活用したより高度なものまで、幅広い形態が存在します。
これらのツールを適材適所で活用することが、業務効率化の鍵となります。例えば、定型的な問い合わせ対応や簡単なタスクの自動化には、ルールベースのチャットボットが適しています。一方、複雑な質問への対応や、創造的なコンテンツ生成が必要な場合は、ChatGPTのような高度なAIチャットボットが威力を発揮します。
ChatGPTとチャットボットは、それぞれの強みを生かしながら、人々のコミュニケーションや業務を支援する役割を担っています。今後も、AIやITの進歩に合わせて、これらのツールが進化し、より幅広い分野で活用されていくことでしょう。私たちは、ChatGPTとチャットボットの特性を理解し、うまく活用することで、業務の効率化と生産性の向上を実現していくことが求められています。