この記事のポイント
この記事では、ChatGPTプラグインの作成方法について詳しく解説しています。
プラグイン開発に必要なマニフェストファイルの作成から公開プロセスまでをステップバイステップで説明しています。
プラグイン開発にはある程度の技術力が求められ、ハードルが高いイメージがありますが、この記事を参考に独自のプラグインを作成することができます。

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
ChatGPTのプラグインはすでに数多くリリースされていますが、「こんな機能があれば便利なのに」と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。
しかし、プラグイン開発にはある程度の技術力が求められ、ハードルが高いイメージがあるのも事実です。「試してみたいけどコーディングできる自信がない」と感じている方も少なくないはずです。
そこでこの記事では、ChatGPTのプラグイン開発に興味を持つ方々に向けて、その基本的な方法とプロセスについて分かりやすく解説していきます。 興味はあるが実際に作ったことはないという方は、ぜひこの記事を参考に独自のプラグインを作成してみて下さい。
2025年12月12日に発表された最新モデル、「GPT-5.2(ChatGPT 5.2)」については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎GPT-5.2(ChatGPT 5.2)とは?その性能や使い方、料金体系を徹底解説!
GPTs(カスタムGPT)とは?【2025年現在の推奨方法】
GPTs(ジーピーティーズ)は、特定の目的に特化したカスタムバージョンのChatGPTを作成できる機能です。プラグインの後継機能として、OpenAIが公式に推奨している方法です。
GPTsの主な特徴
- プログラミング不要:自然言語での対話だけでGPTを作成可能
- 外部API連携:Custom Actionsを使って外部サービスと連携
- ファイルアップロード:独自のデータやドキュメントを学習させられる
- 共有機能:作成したGPTを他のユーザーと共有可能
- GPT Store:優れたGPTを公開して収益化も可能
GPTsの作成方法
GPTsは以下の手順で簡単に作成できます:
1. GPT Builderにアクセス
- ChatGPT Plus、Team、Enterpriseプランが必要
- ChatGPT画面左上の「Explore」→「Create a GPT」を選択
2. 対話形式で設定
- GPT Builderと対話しながら、GPTの目的や振る舞いを設定
- 名前、説明、アイコンなどを自動生成
3. 詳細設定(Configure)
- Instructions:GPTの詳細な指示や振る舞いを記述
- Conversation starters:会話の開始例を設定
- Knowledge:PDFやテキストファイルをアップロード
- Capabilities:Web検索、画像生成、コード実行の有効化
- Actions:外部APIとの連携設定
4. 公開設定
- 自分だけ、リンクを知っている人、全員に公開から選択
- GPT Storeへの公開も可能
Custom Actionsで外部API連携
Custom Actionsを使うことで、プラグインと同様に外部APIと連携できます:
Actionsの設定方法
- Configure タブで「Create new action」を選択
- OpenAPI形式でAPIスキーマを記述
- 認証方法を設定(API Key、OAuth等)
- テストして動作確認
サンプル:天気APIとの連携
{
"openapi": "3.0.0",
"info": {
"title": "Weather API",
"version": "1.0.0"
},
"servers": [
{
"url": "https://api.weather.example.com"
}
],
"paths": {
"/weather": {
"get": {
"operationId": "getWeather",
"summary": "Get current weather",
"parameters": [
{
"name": "city",
"in": "query",
"required": true,
"schema": {
"type": "string"
}
}
],
"responses": {
"200": {
"description": "Successful response"
}
}
}
}
}
}
このように、GPTsとCustom Actionsを組み合わせることで、プラグインと同等以上の機能を実現できます。
【関連記事】
➡️ChatGPTのGPTs(GPT Builder)の使い方や作り方を徹底解説!
GPTs作成時の注意点
GPTsを作成する際には、以下の点に注意が必要です:
1. OpenAIの利用規約とポリシーの遵守
- GPT Store ポリシーに準拠する必要があります
- 違法行為、ハラスメント、詐欺的な内容は禁止
- プライバシーとデータ保護への配慮
2. ブランドガイドラインの遵守
- OpenAIやChatGPTのブランド名の適切な使用
- 公式製品と誤解されるような表現を避ける
- 「GPT」「ChatGPT」などの商標の正しい使用
3. コンテンツポリシー
- 暴力的、性的、差別的なコンテンツの禁止
- 誤情報や偽情報の拡散防止
- 著作権やライセンスの尊重
4. GPT名とアイコンの適切な選定
- 誤解を招かない明確な名前
- 著作権侵害のないアイコン画像
- OpenAI公式と混同されない表現
5. プライバシーとデータ取り扱い
- ユーザーデータの適切な管理
- 第三者へのデータ共有の明示
- プライバシーポリシーの明記(必要に応じて)
6. Custom Actions使用時の追加注意点
- APIキーやシークレットの安全な管理
- 外部APIの利用規約の確認
- レート制限やエラーハンドリングの実装
違反した場合の影響:
- GPTの公開停止
- GPT Storeからの削除
- OpenAIアカウントの利用停止
- 法的措置の可能性
【関連記事】
➡️ChatGPTポリシー違反とは?回避する方法や警告メールについて解説
【参考】ChatGPTのプラグインとは?
ChatGPTプラグインは、ChatGPTの能力さらに引き出し、特定のタスクやニーズに対応するための追加機能です。
例えば、天気情報を提供するAPIとそれを接続するプラグインを作成すると、ユーザーからの「東京の今日の天気は?といった質問に対して、実際の天気データに基づいた正確な出力が可能になります。
このように、プラグインによってChatGPTの回答能力が格段に向上し、より特定のタスクに特化した応答を得ることができるようになるのです。
【参考】ChatGPTプラグインの開発から公開までのフロー
ChatGPTプラグインの開発プロセスは、以下のようなステップからなります。
プラグイン開発の流れ
- マニフェストファイルを作成し、ホストする。
- ChatGPT UIでプラグインを登録する。
- プラグインをActiveにし、会話を開始する。
- モデルがプラグインの説明を挿入し、必要に応じてAPIを呼び出す。
- モデルがAPIの結果を返す。
1. マニフェストファイルの作成
マニフェストファイルとは、プラグインのメタデータを記述するJSONファイルです。ChatGPT側でプラグインの存在を認識するために必要な情報を定義します。ここではai-plugin.jsonという名前で定義します。
マニフェストファイルには、一般情報(名前、説明、アイコン等)に加え、アクション定義を記述します。
アクションとは、ユーザーの質問に対して外部APIにアクセスするための手順です。複数のアクションを定義できます。
ai-plugin.jsonファイルの最小限の定義は以下の通りです。

jsonファイルの定義
2. OpenAPIドキュメントの作成
OpenAPIドキュメントは、外部APIの仕様を記述したファイルです。プラグインがどのエンドポイントにアクセスするかを定義します。
ドキュメントには、APIのURL、メソッド、リクエスト/レスポンス形式などの情報を記述します。この定義に基づき、プラグインからAPIが呼び出されます。
3. プラグインの実装
プラグイン自体はNode.jsで記述されます。マニフェストファイルやOpenAPIドキュメントに定義したとおりに、外部APIを呼び出し、レスポンス結果をChatGPTに返します。
プラグインコード内では、API呼び出しのエラー処理や、レスポンスデータの加工などを実装します。
4. テスト
Developer Portal上でプラグインをテストします。想定した入力に対して、意図した出力が返ってくるかを確認します。
必要に応じて、コードの修正やAPI・マニフェストの見直しを行ないます。
5. ストアへの公開
テストが完了したら、OpenAIの審査をパスすれば、公式ストア上でプラグインを公開できます。
公開が完了すると、ユーザーはChatGPTの公式ストアからプラグインを利用することが可能です。
【参考】ChatGPT プラグインコードのサンプル集
ここでは、OpenAIが公開しているプラグインのサンプルコードを紹介していきます!

ChatGPT用のチュータープラグインを作成することで、教育的なプラグインを作成することができます。今回は例として、家庭教師プラグインを作成するための基本的な概要を説明します:
まず、以下のフィールドを持つplugin.jsonファイルを定義します
{
"schema_version": "v1",
"name_for_human": "Tutor",
"name_for_model": "tutor",
"description_for_human": "Get instant tutoring on various subjects.",
"description_for_model": "Get instant tutoring on various subjects. ChatGPT will provide personalized assistance based on your questions.",
"auth": {
"type": "none"
},
"api": {
"type": "openapi",
"url": "PLUGIN_HOSTNAME/openapi.yaml",
"is_user_authenticated": false
},
"logo_url": "PLUGIN_HOSTNAME/logo.png",
"contact_email": "support@example.com",
"legal_info_url": "https://example.com/legal"
}
次に、このプラグインを動かすためのmock.py を作成しましょう。
import json
import requests
import urllib.parse
import quart
import quart_cors
from quart import request
app = quart_cors.cors(quart.Quart(__name__), allow_origin="https://chat.openai.com")
HOST_URL = "https://example.com"
@app.get("/tutor")
async def get_tutor_response():
query = request.args.get("query")
response_data = {"response": query}
return quart.Response(response=json.dumps(response_data), status=200)
@app.get("/logo.png")
async def plugin_logo():
filename = 'logo.png'
return await quart.send_file(filename, mimetype='image/png')
@app.get("/.well-known/ai-plugin.json")
async def plugin_manifest():
host = request.headers['Host']
with open("ai-plugin.json") as f:
text = f.read()
text = text.replace("PLUGIN_HOSTNAME", f"https://{host}")
return quart.Response(text, mimetype="text/json")
@app.get("/openapi.yaml")
async def openapi_spec():
host = request.headers['Host']
with open("openapi.yaml") as f:
text = f.read()
text = text.replace("PLUGIN_HOSTNAME", f"https://{host}")
return quart.Response(text, mimetype="text/yaml")
def main():
app.run(debug=True, host="0.0.0.0", port=5001)
if __name__ == "__main__":
main()
このファイルは、ChatGPT用のチュータープラグインに関連するリクエストを処理するAPIを作成します。ルート (tutor) を定義し、ユーザーからのクエリ情報に基づいたチュータープラグインへのレスポンスのリクエストを処理します。この例では、get_tutor_response() 内の返答される仕組みは簡単に作成されています。実際のシナリオでは、これをユーザーのクエリに基づいて関連する個別指導のレスポンスを生成する実際のロジックに置き換えます。get_tutor_response()内のロジックは、個別指導の応答を生成するための実際の要件に合わせて調整してください。
さらに、プラグインのロゴ(/logo.png)、AIプラグインのマニフェスト(/.well-known/ai-plugin.json)、OpenAPIの仕様(/openapi.yaml)を提供するルートが含まれています。
GPTs・プラグインに関するよくある質問
Q.GPTsは無料で使えますか?
GPTsの作成と利用には、ChatGPT Plus(月額20ドル)、Team、またはEnterpriseプランが必要です。無料プランでは一部の公開GPTsを利用できますが、自分でGPTsを作成することはできません。
Q.GPTsは自分で作れますか?
はい、ChatGPT Plusプラン以上であれば、プログラミング知識がなくても誰でもGPTsを作成できます。GPT Builderと対話するだけで、簡単にカスタムGPTを作成可能です。
Q.GPTsとプラグインの違いは何ですか?
プラグインは2024年3月に廃止された機能です。GPTsはその後継機能で、より簡単に作成でき、Custom Actionsで外部API連携も可能です。プログラミング不要で、自然言語での設定ができる点が大きな違いです。
Q.Custom Actionsとは何ですか?
Custom Actionsは、GPTs内で外部APIと連携する機能です。OpenAPI形式でAPIスキーマを定義することで、GPTsから外部サービスのデータを取得したり、操作したりできます。
Q.作成したGPTsを収益化できますか?
はい、GPT Storeに公開したGPTsは収益化が可能です。ただし、OpenAIのパートナープログラムへの参加が必要で、具体的な収益モデルは今後発表される予定です。
Q.【参考】ChatGPTプラグインは使えなくなったのですか?
はい、ChatGPTプラグイン機能は2024年3月19日に完全に廃止されました。現在は代わりにGPTsとCustom Actionsの利用が推奨されています。
まとめ
- ChatGPTプラグイン機能は2024年3月に廃止され、現在は利用できません
- **GPTs(カスタムGPT)**が後継機能として推奨されています
- GPTsはプログラミング不要で、対話形式で簡単に作成可能
- Custom Actionsを使えば外部APIとの連携も実現できます
- GPT Storeでの公開・共有・収益化も可能
- 作成時はOpenAIのポリシーとガイドラインを遵守する必要があります
この記事を参考に、あなたもGPTsでChatGPTの能力を拡張したカスタムAIを作成してみませんか。











