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Azure Load Balancerとは?その概要や料金、設定方法を徹底解説!

この記事のポイント

  • 新規構築ではStandard SKU一択。Basic SKUは2025年9月に廃止済みのため、既存環境も早急に移行すべき
  • L4レベルのTCP/UDP負荷分散にはLoad Balancer、L7のHTTP/HTTPS振り分けにはApplication Gatewayと明確に使い分けるべき
  • 可用性ゾーン対応のゾーン冗長構成が最適。単一障害点を排除し、SLA 99.99%の高可用性を実現できる
  • インターネット公開サービスにはパブリック型、社内システム間通信には内部型を選ぶのが基本設計の鉄則
  • ルール数とデータ処理量で課金されるため、不要なルールの棚卸しを定期的に行いコストを最適化すべき
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

Azure Load Balancerは、Layer 4(TCP/UDP)で動作するマネージドの負荷分散サービスです。VMやVMスケールセットの前段に配置し、可用性とスケールを高められます。

本記事では、Load Balancerの種類、Application Gatewayとの違い、設定手順、料金体系、SLAを整理します。

Azureの基本知識や料金体系、利用方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
➡️Microsoft Azureとは?できることや各種サービスを徹底解説
✅Microsoft 365 Copilotの最新エージェント機能「Copilot Cowork」については、以下の記事をご覧ください。
Copilot Coworkとは?機能や料金、Claude Coworkとの違いを解説

Azure Load Balancerとは

Azure ロードバランサー
Azure ロードバランサーイメージ画像

Azure Load Balancer(ロードバランサー) は、Microsoft Azureの主要な負荷分散サービスの一つです。
負荷分散技術とは、インターネットトラフィックやネットワークリクエストを複数のサーバーやリソースに分配する仕組みを指します。

インターネット上のデータの流れ(トラフィック)を、複数のサーバーに賢く分配することで、どんなに多くのユーザーがアクセスしてもページの表示速度が遅くなることを防ぎます。
この仕組みは、特に大きなセールや新製品の発売時など、一時的にアクセスが集中する場面でその真価を発揮します。

ロードバランサーの負荷分散イメージ
ロードバランサーの負荷分散イメージ


この技術を利用することで、単一のサーバーに負荷が集中することを避け、システム全体のパフォーマンスを改善し、ダウンタイムのリスクを最小化することが可能になります。

技術的に見れば、Azure ロードバランサーはLayer 4(トランスポート層)に位置するロードバランサーで、TCP/UDPプロトコルを扱います。
これにより、仮想マシン(VM)、VMスケールセット、Webアプリケーションなど、さまざまなリソースにわたってトラフィックを適切に分散させることができます。

また、ユーザーの要求に基づいた柔軟なルーティングルールの設定が可能で、アプリケーションの性能を最適化しながら、可用性を高めることができます。


Azure Load BalancerとApplication Gatewayとの違い

Azure ロードバランサーはLayer 4で動作しますがAzure Application GatewayはLayer 7 ロードバランサーです。

Azure ロードバランサー - Layer 4 ロードバランサー

Azure ロードバランサーはLayer 4 (トランスポート層)で動作するロードバランサーです。
これは、IPアドレスとポート番号を使用してトラフィックをバランスさせることに特化しています。

この方式は、TCP/UDPトラフィックに対して非常に効率的であり、サーバーのステートや負荷に基づいてトラフィックを適切なマシンにルーティングすることができます。

イメージとしては、荷物(データ)を正しい家(サーバー)に届ける役割です。
例えば、複数のサーバーがある場合に、どのサーバーが現在最も負荷が低いかを判断し、そのサーバーにトラフィックを送ります。

Azure Application Gateway - Layer 7 ロードバランサー

Azure Application GatewayはLayer 7 (アプリケーション層)で動作するロードバランサーです。より高度なルーティング機能を提供し、HTTP/HTTPSトラフィックの負荷を分散させることができます。
Application Gatewayでは、トラフィックの内容(URLパスやヘッダーなど)に基づいてルーティング決定を行い、ウェブアプリケーションの複雑なニーズに対応することができます。

イメージとしては、荷物(データ)を家(サーバー)の正しい部屋(アプリケーションやサービス)に届ける役割です(階層が一つ深くなります)。例えば、ウェブサイト内の特定のページやサービスにアクセスしようとするユーザーのリクエストを、そのリクエストに最も適したサーバーにルーティングします。



Azure Load Balancerの種類

Azureロードバランサーは、「Public」と「Private」という公開範囲に加えて、SKUによる機能差を理解することが重要です。現在の実運用ではStandard SKUが前提になります。

Public Load Balancer と Private Load Balancer

Azureのロードバランサー選択は、アプリケーションの公開範囲(インターネット公開か内部ネットワーク内のみか)と、必要とする機能のレベル(基本的なものか、高度なセキュリティやスケーラビリティが求められるか)に基づいて行われます。

Public ロードバランサー

インターネットからのアクセスを受け、外部ユーザーにサービスを提供する場合に使用します。外部公開APIやWebサービスの入口として利用される構成です。

Private ロードバランサー

社内ネットワークやプライベートクラウド内での負荷分散に使用し、内部アプリケーション間の効率的な通信を実現します。マイクロサービス間通信や業務系システムの内部接続でよく使われます。

Standard SKUを選ぶ理由(2026年2月時点)

Microsoft Learnでは、Basic Load Balancerは2025年9月30日に提供終了と案内されています。新規構築・移行のどちらでもStandard SKUを選ぶことが前提です。

Standard SKUでは、可用性ゾーン対応、より高いスケール、セキュリティ機能、運用監視のしやすさが提供されます。商用環境では、Standardを基準にPublic/Privateの使い分けを行う設計が一般的です。


負荷分散の基本とロードバランサーの役割

負荷分散の基本的な概念は、トラフィックや要求を複数のサーバー間で分配し、それによりリソースの利用を最適化し、応答時間を短縮し、システム全体の信頼性を向上させることです。

このプロセスはロードバランサーによって制御され、ロードバランサーは分散されるトラフィックの量を調整し、各サーバーへの負荷を平衡状態に保つ役割を担います。

  • トラフィックの分散
    多量のトラフィックが突発的に発生した際も、ロードバランサーは入力されるトラフィックを複数のサーバーに均等に分配することで、単一のエンドポイントに負荷が集中するのを防ぎます。

  • 冗長性と信頼性の向上
    ロードバランサーはサーバーの正常性を監視し、故障したサーバーがある場合はトラフィックを健全なサーバーへ自動的にルーティングすることで、システムのダウンタイムを減らし、アプリケーションの可用性を高めます。

  • スケーラビリティの提供
    アプリケーションやサービスへの要求が増加するにつれて、ロードバランサーは新しいサーバーの追加や既存のサーバーの拡張を容易にし、災害時の復旧策としても機能します。

支える機能である正常性プローブと負荷分散規則

正常性プローブ

正常性プローブイメージ
正常性プローブイメージ

正常性プローブは、ネットワークの健全性を監視し、すべてのリクエストが処理できるサーバーに適切にルーティングされることを保証するために不可欠です。
正常性プローブはサーバーが「健康」か「不健康」かをチェックします。これにより、サービスが正常に動いているサーバーにだけトラフィックを送るようにします。

もしサーバーが「問題」を持っていたら(つまり、うまく動いていなかったら)、そのサーバーは一時的にトラフィックを受け取らないようになります。

負荷分散規則

負荷分散規則イメージ
負荷分散規則イメージ

負荷分散規則によっては、特定のトラフィックタイプを特定のサーバーに割り当てたり、セッション粘着性を設定したりすることも可能です。
どのデータトラフィックがどの道(サーバー)を通るかを決めます。

例えば、ある種の車(例えば、ビデオストリーミングのデータ)だけ特定の道(高性能のサーバー)を使わせたり、一度サービスを利用したユーザーを同じサーバーに「くっつけて」継続的にサービスを提供したりすることができます。
これにより、トラフィックが適切に分散され、ユーザーに対して速くて信頼性の高いサービスを提供することができます。

このように細かな設定を行うことで、高度な負荷分散戦略を実装し、アプリケーションのパフォーマンスと信頼性を向上させることができます。


Azure Load Balancerの設定手順

Azure Portalから、新しいロードバランサーのインスタンスを作成するプロセスは以下の通りです。

【Azure portalの操作方法はこちら】
➡️Azure Portalとは?操作方法やメリットをわかりやすく解説!

  1. リソースグループの作成:
    管理と整理を容易にするため、新しいロードバランサーインスタンスに対してリソースグループを指定します。
    ロードバランサーの検索画面
    ロードバランサーの検索画面

  2. ロードバランサーの作成
    Azure Portalで「ロードバランサー」リソースを選択し、新しいロードバランサーを作成します。ここで、名前、リージョン、スキュー(Standard)、IPアドレスのアサインメントを設定します。
    ロードバランサーの作成
    ロードバランサーの作成

  3. バックエンドアドレスプールの定義
    ロードバランサーによってトラフィックを受信するバックエンドサーバー群を指定します。

  4. ヘルスプローブの設定
    ヘルスプローブは、バックエンドサーバーの健全性を監視し、故障したサーバーからトラフィックを引き継ぐことを可能にします。

  5. ロードバランシングルールの作成
    トラフィックをどのようにバックエンドプールに分散させるかを定義するルールを作成します。
    Azure CLIを使用する場合、Azure Portalと同様のステップをコマンドラインを通じて実行することが可能です。スクリプトを利用することで、設定プロセスを自動化し、再現性を高めることができます。



Azure Load Balancerの価格体系

Azure Load Balancerの料金は、主にルール数とデータ処理量に基づく従量課金です。見積もりでは「何本のルールを持つか」と「どの程度のトラフィックが通過するか」を先に整理すると、想定と実際の差が出にくくなります。

料金体系の構成要素

料金は大きく分けて「ルール」と「データ処理量」の2つで構成されます。

  • ルール料金
    最初の一定数は時間単価で課金され、追加ルールはルール数に比例して費用が増えます。

  • データ処理量
    通過したデータ量(GB)に応じて課金されます。大量転送がある構成では、ここが支配的になりやすいです。

  • 帯域幅(別料金)
    データ処理量とは別に、ネットワークの帯域幅課金が発生します。見積もり時はロードバランサー側と帯域幅側の両方を確認します。

価格例(2026年2月時点:Japan Eastリージョン想定)

以下はJapan Eastリージョンの代表的な価格例です。利用条件や改定で変動するため、見積もり時は公式の価格ページを参照してください。

項目 単位あたりの価格 補足
はじめの 5 ルール $0.025 / 時間 Standard Load Balancer
追加ルール $0.01 / ルール / 時間 ルール数に比例して増加
データ処理量 $0.005 / GB 帯域幅課金は別途発生

※価格は2026年2月時点、リージョン:Japan East、通貨:USDの参考値です。

ルール数は構成の変更で増えやすいため、設計段階で必要最小限に整理しておくのが基本です。データ処理量が大きいワークロードでは、ロードバランサー料金に加えて帯域幅課金がボトルネックになるため、想定転送量を先に見積もることが重要です。

詳細はAzure公式の価格ページ(Azure Load Balancer の価格 | Microsoft Azure)で確認してください。

【関連記事】
➡️Azureの料金体系を解説!サービスごとの料金例や確認方法も紹介
➡️Azureの料金計算ツールの利用方法!基本機能や円表示の手順を解説


サービスレベルアグリーメント (SLA)

SLAオンラインサービス画像
SLAオンラインサービス画像

AzureロードバランサーのSLAは、サービスの可用性やパフォーマンスに対するMicrosoftの保証を示す重要な指標です。

SLAとは「Service Level Agreement」の略で、日本語では「サービスレベル契約」と訳されます。
これは、サービス提供者と顧客との間で合意される、サービスの品質や性能、可用性などに関する契約です。簡単に言えば、サービス提供者が顧客に対して、どの程度のサービスを保証するかを明確に定めた約束事です。

Basic SKUは提供終了済みのため、現行運用ではStandard SKUのSLAを前提に設計します。可用性要件が高い場合は、ゾーン冗長構成やリージョン設計も合わせて検討することが重要です。

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Load Balancerで培ったトラフィック分散・フェイルオーバー設計の知見は、AIエージェント基盤のスケーラブルな構成設計にも直結します。安定したAI推論基盤を構築するなら、負荷分散の知識が武器になります。

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Load Balancerで培ったトラフィック分散・可用性設計の知見は、AIエージェント基盤のスケーラブルな構成にも活きます。本ガイドでは、Azure OpenAI・AI Agent Hub・n8nを活用した業務効率化の実践方法を解説しています。

まとめ

Azure ロードバランサーは、Microsoft Azureが提供する重要なインフラストラクチャサービスであり、ネットワークトラフィックをサーバーやデータセンター全体に最適に分散させることを可能にします。この記事では、Azure ロードバランサーの基本、Public/Privateの使い分け、Standard SKU前提の設計、Azure Application Gateway との違い、およびロードバランサーが果たす役割を紹介しました。さらに、料金とサービスレベルアグリーメント(SLA)、Azure Portal および CLI を使った設定手順についても説明しました。

Azure ロードバランサーに関する深い理解を得ることで、Azureクラウドプラットフォームでのアプリケーションデプロイメントを向上させることができます。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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