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Azure Arcとは?その特徴や料金、使い方をわかりやすく解説!

この記事のポイント

  • Azure ArcはオンプレミスやAWSのインフラをAzureで統合管理するプラットフォーム
  • Windows Server 2025とのネイティブ統合で無停止パッチ適用(ホットパッチ)に対応
  • 2025年に正式リリースされたAWS連携機能やエージェントの自動更新(プレビュー)を解説
  • 廃止されたサービス(PostgreSQL)などの古い情報を最新化し正確な情報を提供
  • AIが稼働するインフラ基盤を保護・管理するArcの正しい役割を説明
坂本 将磨

監修者プロフィール

坂本 将磨

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Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

マイクロソフトが提供するクラウドサービス、「Azure Arc」とは、様々なプラットフォームにまたがるリソースを一元的に管理するためのツールです。
その柔軟性と拡張性により、オンプレミス環境や他社のクラウドサービス上にあるサーバー、Kubernetesクラスター、データサービスをAzureのマネージメント機能で統合管理することが可能になります。

この記事では、Azure Arcが企業のクラウド戦略、特にハイブリッドクラウドやマルチクラウド環境における管理の煩雑さをどのように解決するかを詳しく掘り下げていきます。 Azure Arcの特徴や機能、料金体系に加えて、実際のビジネスシーンでの活用事例も取り上げ、導入の際のメリットやコスト最適化のヒントも提供します。

Azureの管理ポータルを通じたシームレスな体験は、IT運用の効率化とコスト削減をもたらし、企業がデジタル変革を加速するためのキーツールとなることでしょう。

Azureの基本知識や料金体系、利用方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
➡️Microsoft Azureとは?できることや各種サービスを徹底解説

Azure Arcとは

Azure Arcは、マイクロソフトが提供するオンプレミス、エッジ、そしてAWSなどのマルチクラウド環境に散在するITインフラを、Azureから一元的に管理・統制するためのプラットフォームです。

物理サーバーや仮想マシン、Kubernetesクラスター、データベースといった多様なリソースを、あたかもAzureネイティブのリソースであるかのように扱うことを可能にします。

2025年現在、Azure Arcはハイブリッド/マルチクラウド管理ツールとして成熟期を迎え、日々の運用を具体的に効率化し、セキュリティを強化するための実践的な機能が充実しています。その本質は、複雑化したIT環境の管理をシンプルにし、ITチームがより価値の高い業務に集中できるようにすることにあります。

Azure Arcの概要画像
Azure Arcの概要画像


Azure Arcの主要機能

Azure Arcは、管理対象のリソースタイプに応じて多岐にわたる機能を提供します。2025年時点での主要な機能は以下の通りです。

サーバー管理の進化 (Windows Server 2025対応)

オンプレミスや他社クラウドで稼働しているWindowsおよびLinuxサーバーをAzureに接続します。
特に最新のWindows Server 2025では、初期セットアップ時にAzure Arcへの接続が組み込まれ、オンボーディングがこれまで以上に簡単になりました

Arcを通じて、OSを再起動せずにセキュリティパッチを適用できる「ホットパッチ」機能もオンプレミスサーバーで利用可能になり、サーバーの可用性を大幅に向上させます。 中核となるConnected Machineエージェントは、セキュリティと安定性が継続的に向上しており、プレビュー段階の自動アップグレード機能を使えば、常に最新の状態に保つ手間も省けます。

マルチクラウド管理 (AWS連携)

**2025年初頭に一般提供が開始された「Multicloud connector for AWS」**により、AWS上のリソース(VM、データベースなど)をAzureポータルから直接、管理・監視できるようになりました。 これにより、複数のクラウドを利用する企業は、Azureを単一の管理プレーンとして、一貫した運用とガバナンスを実現できます。

Kubernetes管理

オンプレミス、エッジ、他社クラウドで稼働する任意のKubernetesクラスターをAzureに接続します。GitOpsによる一貫した構成管理や、Microsoft Defender for Containersによる統合的なセキュリティ保護を適用できます。

AI基盤としての間接的な役割

Azure ArcはAI開発プラットフォームではありませんが、AIモデルが稼働するインフラ基盤(主にKubernetesクラスター)を、環境を問わず一元的に管理・保護することで、間接的にハイブリッドAIの実現を支えます。安全で安定した実行環境を提供することが、Arcの重要な役割です。


ハイブリッド & マルチクラウド戦略の実現

多くの企業にとって、IT環境はオンプレミスと複数のクラウドが混在しています。Azure Arcは、この複雑な環境に対する具体的な解決策を提供します。

  • 単一の管理画面: オンプレミス、エッジ、AWSを含むマルチクラウドに分散したリソースを、Azureポータルという単一のインターフェースから可視化し、操作します。
  • 一貫したガバナンスとコンプライアンス: Azure Policyを使用して、すべてのリソースに対して統一された構成・セキュリティポリシーを適用。環境を問わずコンプライアンスを維持できます。
  • クラウドネイティブ技術の活用: KubernetesやGitOpsといったクラウドネイティブな開発・運用手法を、オンプレミスを含むすべての環境に展開し、アプリケーション開発の俊敏性を向上させます。

ハイブリッド & マルチクラウド戦略のアーキテクチャ例
ハイブリッド & マルチクラウド戦略のアーキテクチャ例,Microsoftより


Azure Arcを導入するメリット

Azure Arcの導入は、IT運用とビジネス戦略に大きなメリットをもたらします。

統合セキュリティとコンプライアンス

分散した環境全体に、Microsoft Defender for Cloudの脅威検出やAzure PolicyのガバナンスといったAzureの堅牢なセキュリティ体制を拡張できます。場所を問わず一貫したセキュリティレベルを確保し、コンプライアンス要件への対応を簡素化します。

運用の効率化とコスト削減

リソースがどこにあっても、同じツール、同じプロセスで管理できるため、運用チームの学習コストや管理の手間が大幅に削減されます。サーバーのパッチ適用(ホットパッチ)やエージェントの更新を自動化することで、ITチームはより戦略的なプロジェクトに集中できます。


Azure Arcの料金

Azure Arcの料金体系は、柔軟性と透明性を重視して設計されています。

基本的なコントロールプレーン機能(リソースのAzureへの接続と整理、タグ付けなど)は無料で提供されます。Microsoft Defender for CloudやAzure Monitor、Windows Serverのホットパッチ機能など、追加のAzureサービスを利用する場合に、そのサービスに応じた料金が発生するモデルです。

:::warning
注意: プレビュー段階にあった「Azure Arc enabled PostgreSQL server」は2025年7月に廃止されるなど、サービスの統廃合が行われています。 導入を検討する際は、対象のサービスが現在利用可能か公式サイトで確認することが重要です。
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コスト最適化のヒント

  1. 必要なサービスを厳選する: ワークロードの重要度に応じて、適用する有料サービス(ホットパッチ、高度なセキュリティ監視など)を選択します。
  2. Azure Policyを活用する: 不要なリソースの作成を制限したり、適切なVMサイズを強制したりするポリシーを適用し、無駄なコストの発生を防ぎます。
  3. タグ付けを徹底する: すべてのリソースに部署やプロジェクトごとのタグを付け、コスト分析を容易にします。

Azure Arcの活用事例

Azure Arcは世界中のさまざまな業種の企業で導入され、具体的な成果を上げています。

  1. 金融サービス (Avanade):
    AWSとオンプレミスの両方にシステムを持つ金融機関に対し、AvanadeはAzure Arcを活用した統合管理ソリューションを提供。Azureポータルから全サーバーのセキュリティポリシーを一元的に適用し、監査対応の工数を大幅に削減しています。

  2. 製造業 (Siemens):
    世界中の工場に展開された生産ラインのサーバー群をAzure Arcで管理。Windows Server 2025のホットパッチ機能を活用し、生産ラインを止めることなくサーバーのセキュリティを維持。運用効率と工場の稼働率向上を両立させています。

  3. 小売業 (Ahold Delhaize):
    グローバルに展開するスーパーマーケットチェーンは、各店舗のITインフラ(サーバー、Kubernetesクラスター)をAzure Arcで一元管理。新機能のデプロイやセキュリティポリシーの適用を、数千の拠点に対してAzureから一括で実行し、店舗運営の俊敏性と標準化を大幅に向上させています。

➡️Azureの導入事例はこちらからご覧になれます。


Azure Arcの学習リソース

Azure Arcについてさらに詳しく学びたい方のために、公式の学習リソースが豊富に用意されています。

公式ドキュメント
Azure Arcの概要から各機能の詳細な設定方法まで、すべての情報が網羅されています。
➡️Azure Arc のドキュメント | Microsoft Learn

Microsoft Learn
対話形式のチュートリアルやハンズオンラボを通じて、無料で実践的なスキルを習得できます。
➡️Azure Arc を使用してハイブリッドおよびマルチクラウドのインフラストラクチャを管理する - トレーニング | Microsoft Learn

AI総研への相談
自社環境へのAzure Arcの導入検討や、具体的な活用方法に関するご相談も可能です。
➡️AI・Azureの導入の一括相談!AI総研へのお問い合わせ窓口


まとめ

本記事では、Azure Arcが複雑化するハイブリッド/マルチクラウド環境のインフラ管理を、現実的なソリューションで効率化するプラットフォームであることを解説しました。

AWSとの連携やWindows Server 2025とのネイティブ統合といった最新機能により、Azure ArcはIT管理者の日々の運用負荷を軽減し、より一貫したセキュリティとガバナンスの実現を可能にします。

将来的なAIプラットフォームとの連携も期待される一方で、Azure Arcは今すぐ使える実践的なツールとして、企業のIT基盤を支える強力な選択肢となるでしょう。

監修者
坂本 将磨

坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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